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シンガーソングライター・齊藤ジョニー。何やら、じわじわといい感じで盛り上がってきた新進気鋭のアーティストが7月25日、2作目のフルアルバム『齊藤ジョニー』をリリースする。前作のリリースからわずか9か月。そんなところからも24歳の若きアーティストの勢いが感じられる。今回は彼の魅力に迫りたい。

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昨年2月、世紀のスーパー・アイドル、テイラー・スウィフトからの直々の指名によって、メジャー・デビュー前にもかかわらず、彼女の日本公演と香港公演のオープニング・アクトを務めた実力派だ。その時のパフォーマンスが話題となって、その年の夏、SUMMERSONIC、ARABAKI ROCK FEST.といった大規模フェスティバルに出演するチャンスもつかんだ。

そして、昨年の10月、『I am Johnny』でメジャー・デビュー。今年3月には毎年、テキサス州オースティンで開催される世界最大級の音楽見本市&フェスティバル、SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)に出演。現地の観客を大いに沸かせ、「音楽に国境はない。気負わずに自分に出せる音を出せばいいんだ」と確信した。

自ら作詞作曲を手掛けるいわゆるシンガー・ソングライターには違いない。しかし、バンジョー、マンドリン、フィドルといった楽器も使い、ブルーグラスの要素を取り入れたサウンドが、J・ポップ・シーンにおいてひときわ、個性を放っている。

アメリカの民謡とも言えるブルーグラスとジョニーの出会いは大学時代にさかのぼる。もともと、ロック・ファンだった彼はマンドリンにひかれ、ブルーグラス同好会に入部。ロック・バンドと掛け持ちでブルーグラス・バンドを始めた。

「マンドリンって音がきれいなんですよ。開放で(弦を)ポロンと鳴らしただけでもすごいいい音が鳴る。それにコロコロした形もかわいいし(笑)」

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デビューのきっかけは、自分のオリジナル曲をブルーグラス編成のバンドで演奏しているライヴ・ビデオが認められたことだった。

「今思うと不思議なんですけど、そもそもブルーグラスは趣味だと割り切っていたんです。ブルーグラスをやっていても日本の音楽業界からは見向きもされないだろうと思っていました。そもそもブルーグラスの人口が日本では少ない。そういう狭いコミュニティーでやっている自覚があったんですよ」

テイラー・スウィフト他、ブルーグラス/カントリー・シーンの海外ミュージシャンとの共演経験もある。玄人筋の音楽ファンからも注目されている。しかし、ブルーグラスを背負っているとか、ブルーグラスを演奏しているとかという意識はあまりないという。

「自分らしくやっているだけ。自分が今、鳴らせるのがこういう形なんです。ただ、ブルーグラスは、みんなが思っているよりもアグレッシヴな音楽なんだという気持ちはあります。そのへんのロックよりも全然攻撃的なんじゃないかって」

2作目にして、自らの名前を冠したニュー・アルバムは、そんな思いが形になった作品だ。前作同様、バンジョー、マンドリン、フィドルを使いながらも、サンプリングのリズムも使うなど、自由度の高いサウンドはもはやブルーグラスのカテゴリーに収まりきらないものになっている。また、原曲が持つダンス・グルーヴを殺さず、アコースティック・サウンドでカヴァーしたダフト・パンクのテクノ・ナンバー「One More Time」のアプローチ方法はアグレッシヴという表現がふさわしいものだ。

「新作は、いい曲を作ることにこだわりました。インディーズで好き勝手やっていた頃とは違って、たくさんの人が聴いたらどう思うんだろうってことを考えて、いろいろな視点から曲を作った結果、芯の通った曲が作れました。やっぱり多くの人に聴いてもらうには芯が通っていないとダメだと思う。僕の場合、その芯はメロディーであることが多いんですけど、今回は、いい曲が作れたという自信があったので、アレンジはこうでなきゃというこだわりはなかった。おかげで、新作はアレンジも聴きごたえあるものになっていると思います」

ちなみにロックンロールのビートが痛快な「お世話になります」には奥田民生(ドラムとコーラス)と岸谷香(エレキギターとコーラス)がゲスト参加している。大先輩2人の客演は新作の話題の一つだ。

「プロデューサーの河合マイケルさんがUNICORNとプリンセス・プリンセスのプロデューサーだったんですよ。この曲のデモを聴かせたとき、『何かはっちゃけたことをしたいね。民生にドラムをたたいてもらうか』ってマイケルさんが言い出して、それが実現しちゃいました(笑)。ベーシック・トラックは民生さんがドラム、岸谷さんがギター、僕がバンジョーを弾いて、3人で『せーの!』でレコーディングしたんですけど、2人の演奏がすごかった。これがプロかとビビリました。でも、歌詞には『まだペーペーだけど、いつか見てろよ。これからがんばるぜ。覚悟してろよ』って気持ちを込めました(笑)」

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一見、好青年に見えて、いや、実際、好青年には違いないのだけれど、時折、向こう意気や辛辣さをのぞかせる。それが「お世話になります」含め、歌詞にも表れているところも魅力の一つだろう。

「もともと、ロックのフィールドの人間だったし、それにアコースティックだからって、やさしい表現にしなきゃいけないって発想もない。アコースティック・サウンドって自分のパッションを一番ダイレクトに伝えられる手段だと思うんですよ。その昔はアコースティック・ギター1本で悪魔に魂を売り渡したなんて歌っていた人もいたわけですからね。攻撃的な歌詞になるのは自分でも気持ちいいです(笑)」

聴いているこっちが照れくさくなってしまうくらいピュアなラブソングがある一方で、世界の終わりをセンチメンタルに歌った「星の終わりのラブソング」のような曲があるところもおもしろい。

「アイディアは2年前ぐらいからあって、いつか曲にしたいと思っていたんですけど、東日本大震災とその後の社会情勢を見ているうちに今歌にしなきゃダメだなと思ったんです。だからどうだって、はっきりした答えを出しているわけではないけど、いろいろなことを考えてほしいという意味も込めて、そういうシリアスな歌も入れてみました」

女性ファンをうっとりさせる甘さも持ちながら、決してそれだけじゃない。いや、むしろ、そのへんのロック・ミュージシャンよりも骨っぽいところが齊藤ジョニーというアーティストの本質であることが今回、インタビューを通して、理解することができた。

最後に新作について、改めて印象を尋ねると、「デコボコしているって印象ですね」というおもしろい答えが返ってきた。デコボコしている!? そのココロは?

「こんな曲もあれば、あんな曲もあるし、前作以上になんだこりゃって作品(笑)。すごいものが出来たという実感はある。聴く人に届いたらどう化学反応が生まれるのか楽しみです」

この夏、齊藤ジョニーは新曲をひっさげ、数々のフェスティバルやイベントに出演する予定だ。

(インタビュー・文/山口智男@H14+HEW)

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『齊藤ジョニー』
ユニバーサルインターナショナル/ Delicious Deli records
UICV-1020
\3,000

◆斎藤ジョニー公式サイトはコチラ>>

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