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続々とコラボ商品やCM出演を行い、飛ぶ鳥を落とす勢いの5人組のアイドルグループ「ももいろクローバーZ」。ヒャダインこと前山田健一さんはじめ、著名なクリエイターが楽曲提供をしていますが、その中に"アムロちゃんのあの曲"の作詞家も参加していることをご存じでしょうか。

その作詞家とは、前田たかひろさん。安室奈美恵さんが史上最年少(当時19歳)で日本レコード大賞を受賞した5枚目のシングル『Don't wanna cry』の作詞など、これまで数々の作品を手がけています。

現在、前田さんはももクロの『CONTRADICTION』『DNA狂詩曲』の2曲の作詞に携わっています。ファンの間で「神曲」とも言われているこの2曲。前田さんが詞を書くときに大切にしていることは何なのでしょうか。

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※この画像は「週末ヒロイン ももいろクローバーZ オフィシャルサイト」のキャプチャーです

―――そもそも、ももクロはご存じでしたか?
前田:知り合いの放送作家から「ももいろクローバーっていうのがすごいんですよ!」と聞いて、存在は知っていました、その後に実際にオファーが来てびっくりしましたね。でも、いわゆるももクロの世界観ってあるじゃないですか。それって制作側のプロデュースで作られたものだと思うんで。だけど、オファーをしてくれたキングレコードの担当ディレクターに「(曲の世界観は)お任せします」って言われたので、じゃあ僕は自由に書いてしまおう、と。それで書いたのが『CONTRADICTION』なんです。

―――私も実はももクロが大好きで、初めてあの曲を聴いたときに「何てかっこいい曲なんだ」って思ったんですよね、ベースの効いたところに良い詞が乗っていて。2曲とも、元UNDER THE COUNTERのベーシスト大隅知宇さんが作曲ですね。
前田:大隅さんのことは実はよく知らないんですよ。面識もなくて、曲だけもらって詞を書いてます。

―――そうだったんですね! 2曲ともお二人のコンビネーションが良いので、てっきりタッグでお仕事されているのかと思っていました。
前田:モノノフ(ももクロファンのこと)の方には、そう勘違いされちゃってるみたいですね(笑)。評判がいいのはうれしいです。

―――『DNA狂詩曲』の詞を書く際のインスピレーションはどこから?
前田:QUEENの『Bohemian Rhapsody』のメロディのオマージュになっているから、ここはうまく生かさなきゃいけない。でも、QUEENなんて知らない若い世代も聴くわけですから、確信犯として残そうということで狂詩曲(ラプソディ)っていうのをタイトルに入れることを最初に決めました。

―――なるほど。それでは"DNA"というのはどこから?
前田:自分はもう48歳ですから、ももクロのコアファン層とか、ももクロ自身はどういうことを考えてるのかなって思ったとき、想像の目標地点があった方が潜っていきやすい。それで14歳の息子のことをうっすら考えながら書きました。だから改めて読み返してみると、そこまで意識していないけど、この詞を自分と息子って考えると相当合致するところがたくさんあるんです。だから"DNA"。

―――息子さんをイメージして書かれたとは、意外です。
おやじにそんなことを直接言われても気持ち悪いと思うんで、息子には言ってないですけど。そもそも息子はAKB48のファンなんで(笑)。でも、『DNA狂詩曲』が出るか出ないかくらいの頃に「ももクロっていいよなぁ」とか言い出したんですよね。3つ上の姉が『CONTRADICTION』を聞いていて、自然と息子も聴くようになって。

―――作品で子育てをするってカッコイイですね。
息子は反抗期真っただ中。この年頃って、目標もあるんだかないんだかわからない、ただサボってるだけかもしれないけどとにかく迷ってる。彼らの"今"に響くように。そういえばDNA狂詩曲を書いたとき、アニメの挿入歌かエンディングかっていう風に聞いてたんですけど、結果は桃屋のCMに使われましたけどね(笑)。

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―――私が特に好きな部分は、『DNA狂詩曲』の「遺伝子が笑う」っていうところなんです。あんな日本語、使えないじゃないですか普通。でもなぜか納得できるというか。
前田:日本語として細かいことを言えば、遺伝子"で"笑うが正しい文法なんですけどね。でも、遺伝子が笑っているその集合体がその人なんですよ。「60兆の細胞が上向いて背伸びする」、つまり大きくなる、育っていくっていう意味合いもあったり。

―――そういえば、ももクロのメンバーが生まれるくらいの年に安室さんの曲『Don't wanna cry』の歌詞を書かれていますよね。当時のJ-POPでは、ブラックミュージックというかゴスペル調のものってあまりありませんでしたよね。
前田:そうですね。その前に出た『Body Feels EXIT』で安室さんはどーんと売れたんですよね。その後、僕と小室哲哉さんの詞の共作『Chase the Chance』もミリオンセラーだったので、『Don't wanna cry』は好きにしていいということになったんです。

―――歌詞を好きに書いていいと?
前田:ちょうどそのとき、自分も上の子が生まれて。当時はフランスが核実験をしたりしていて、将来どうなるのかなぁという気持ちが世の中に渦巻き出した。さらにいじめ問題も叫ばれ始めて。子どもがこれから学校に行っていじめと直面するかもしれないし、戦争もあるかもしれないし嫌だなぁと思っていたときに書いたのが『Don't wanna cry』なんですよ。「殺し合い」という暴力的な言葉もあえて使いました。

―――けっこうご自身の生活を反映してお書きになるんですね。流行を盛り込んで書くというのはないんですか?
前田:流行はあまり盛り込まないですね。そういうのはいつか古臭くなるんですよ。もっと"普遍的なもの"を作っていきたいんです。


「好きに書いていいと言われると燃える」と語る前田さん。その作品には、身近な存在への普遍的な思いが込められていました。気になった方は、前田さんの著書『作詞のリズム』を読んでみてはいかがでしょうか。

最近ではCD付き絵本『さんぽのき』(前田たかひろ・原作、サトシン・文、真珠まりこ・絵、文溪堂・刊)の原作も手掛けています。これからも前田さんの作品に目が離せませんね。

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取材・文=くわ山ともゆき
撮影=田中結(プレスラボ)

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