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SNSやブログなどへ、気軽に自分の顔画像を投稿できるようになった今。「女子会の写真」「ノリで撮ったプリクラ」などが、もし、見ず知らずの人に無断で使用されていたら......。

先日、Facebookのチャットで友人から筆者(ライター・山本莉会)宛に「これって山本?」とURLが送られてきました。リンク先を見ると、「林春香」という知らない女性のFacebookで、そのプロフィール画像はなんと筆者の顔写真! 以前トレンドニュースの記事用に撮影した画像が、無断で使われていました。

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林春香というなりすましアカウントのプロフィール写真に無断転用


林春香ってだ、誰やねん! と突っ込みたくなりますが、詳しくプロフィールを見ると、会社を辞めて兵庫県立大学に入学した大学生という設定のよう。いわゆる、なりすましアカウントのようです。

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「年齢=彼氏いない歴」と書かれていました。おい、林春香! カマトトぶるな!


こういったFacebookのなりすましアカウントは、友だちになった相手にダイレクトメールを送り、「出会い系サイト」「成人向け有料サイト」へ誘導を行ったり、「個人情報の収集」などをするのが目的だと言われています。世の中にはいろいろな業者がいるものですね。

「顔出しするほうが悪いだろ!」と言う人もいるかと思いますが、ライターという仕事をしている以上、顔写真をネットで公開することもあります。他人の顔写真を勝手に使ってもいいのでしょうか?
この疑問を、西川達也法律事務所の西川弁護士に伺ってみました。

■他人の顔写真をネットで無断利用。違法性はある?
「違法ですね。今回の件は、『肖像権』『著作権』の侵害に当たります。ケースによっては『プライバシー権』の侵害にも当たります。それぞれの権利を詳しく紹介します」

・肖像権
肖像権とは、人の顔や姿形を無断で撮影されたり公表されたりしない権利のことで、個人の私生活を守るために設けられている権利のこと。最高裁判所の判例によって、有名人に限らず一般の人にも認められています。今回のような『ネット上で他人の顔写真を無断で使うこと』は、肖像権の侵害に当たります。

・著作権
著作権とは、文章、音楽、写真などを創作した著作者に与えられる権利のこと。その顔写真が、単なる証明写真ではなく、今回のケースのように構図や照明などを工夫して撮影したものである場合は、撮影した人に著作権が認められます。つまり、自分撮りなら、写っている本人が著作権者に当たるのです

・プライバシー権
プライバシー権とは、私生活を守るための権利のこと。使用された顔写真が本人に無断で撮影されたものである場合は、プライバシー権の侵害も問題となります。

■これらに違反するとどんな罰則が科せられるの?
「肖像権、プライバシー権の侵害についての罰則は特に定められていませんが、著作権の侵害に対しては罰則があり、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金(著作権法119条1項以下)に処されます。また、罰則ではありませんが、肖像権、プライバシー権、著作権の侵害により損害を負ったと言えるときは民事上の『損害賠償請求』が認められることがあります」

■過去に裁判で違法となったケースはある?
「肖像権について、過去の例として一般人の顔写真が無断で週刊誌に掲載された際に、肖像権の侵害であるとして出版社に民事上の損害賠償責任が認められたという裁判例があります。一般の人が、ネット上に無断で顔写真を掲載されたというようなケースでは、具体的な損害を証明することは困難な上、無断で使用した相手を特定することも容易ではないことから、現実に法的な責任を追及することはなかなか難しいと言えますが、あまりにも悪質で、相手も判明しているケースでは法的責任が認められることは十分ありえます」

■最近、著名人を装ったSNSアカウントがありますが、法律違反なの?
「TwitterなどのSNSで著名人になりすますこと自体を直接取り締まる法律はありません。ただし、なりすました偽アカウントの発言内容によって、本人の業務に混乱・支障が出れば『業務妨害罪』が、経済的な信用を傷つければ『信用毀損罪』が成立することがあります。結果として本人の名誉が傷つけられれば『名誉毀損罪』が成立することもあります。また、民事上も、発言により本人やそれを信じた人に金銭的な被害が発生したときは、なりすました人に『損害賠償責任』が認められます。もちろん、プロフィール画像に本人の顔写真を使用していれば、先述の『肖像権』や『著作権』の侵害になることもあります」

軽い気持ちでネット上から他人の画像を借用して使うと、場合によってはさまざまな法律で罰せられることもあるよう。違法性を知らずにやってしまった場合でも、賠償金を請求される大惨事につながることもありそうです。無断転用、ダメ、ゼッタイ!

次回は、実際にFacebookのなりすましアカウントを停止するための方法をご紹介します。
★謎の美女アカウントに注意!「Facebookのなりすましアカウントを削除する方法」>>

(山本莉会/プレスラボ)


協力:西川達也法律事務所
弁護士 西川 達也
〒160-0023 東京都新宿区西新宿1-11-11河野ビル5F
TEL 03-5909-1772 FAX 03-5909-1773
東京弁護士会所属。インターネット上のトラブルなどIT関連の法律問題を中心に、離婚、相続、刑事事件まで。

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