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AKB48が火をつけ、未だなお続いているアイドルブーム。現在のアイドル事情についてよく言われるのが、「昔のアイドルは美少女ばかりだったけれど、最近のアイドルは普通っぽい」という言葉です。今、アイドルはどのように愛されているのでしょうか。

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アイドルの定義ははっきりしていません。「かわいければアイドル?」。でも容姿が必ずしも人気につながらないことは、アイドル業界を見渡せばすぐわかります。それなら、「疑似恋愛の対象?」。HKT48・指原莉乃は、男性スキャンダルをものともせず総選挙1位を勝ち取りました。では、「握手会などで交流できるのが人気の秘密?」。ももいろクローバーZは、ファンとの接触イベントを行っていないにも関わらず数万人の動員力を誇ります。

「これが人気メンバーなの?」「あのグループって皆かわいくないじゃん」......。飛び抜けてかわいいわけでもなく、恋人にできるわけでもない女の子に夢中になるアイドルファンの姿は、アイドルに興味のない人たちの目には奇妙に映ります。

■Twitterで愚痴るアイドル

近頃のアイドルたちは、キラキラ輝く部分以外もしっかり見せるのが特徴的。楽屋裏は隠すのではなく、効果的に見せていきます。再ブレークの兆しと言われているモーニング娘。のリーダー・道重さゆみは、「昔はトップアイドルといえばモー娘。だった」「今のトップはAKB48で悔しい」とやるせない思いをバラエティ番組で率直に語り、AKB48だってメンバーが公式Twitterで愚痴を吐き出します。

ネガティブな面も見せるという点で最たるグループが、でんぱ組.inc。いじめや引きこもりなどメンバー全員が挫折経験を持つ彼女たちは、その過去をさらして、「マイナスからのスタート」をうたい、支持されています。アイドルたちが素の感情を見せる......、これは現在のアイドル業界が、共感、感情移入を大きなテーマにしているからこその現象なのです。

■普通の女の子のような気はするけど......

新潮社発行の女性誌「ROLa」創刊号の特集は、「萌(も)えよアイドル」。現役アイドルも交えながら人々が自分なりのアイドル論を語っています。作曲家・ヒャダイン、DJ・tofubeats、振付師・竹中夏海らの対談で出た結論が、「"推す"(アイドルを応援すること)とは感情移入すること」。さらに、「アイドルはセーラームーンで仏像」......。セーラームーン=戦う女の子というのはわかりますが......仏像って?

仏像というのは、「ただの木でしかないとわかっていても、なんか美しいし信じたい」という意味だそう。ということは言い換えると、アイドルファンがアイドルを応援する気持ちは、「本当は普通の女の子なんじゃないかという気もするけれど、彼女は世界で一番かわいいし特別な力を持っているんじゃないか」という感情。「きっとそうに違いない」と祈り、 "推す"ことで、ファンは彼女を本当の仏、アイドルに変えようとします。

一方アイドルたちは、ファンの理想を体現したり、ときどき裏切ってみせることで、「あなたの見込んだ通り、私は普通の女の子じゃないよ」と伝え続ける。アイドルの役割は、ファンが少女に抱く夢をかなえてみせることにあります。

■アイドルは戦友

アイドルグループ・BiSは「ROLa」インタビューの中で、「アイドルって周囲の人が作るものだと思うんです。それこそ町内会のアイドルとか、部署のアイドルとか......」と語っていました。

そう、アイドルは、美少女を1人連れてくれば出来上がるものではありません。悩み、もがきながらも上を目指す女の子に共感を覚えたファンが、少女を本当のアイドルにしようと推し、彼女も期待に応えようとする......。それがアイドルとファンの関係。なので、ファンは、アイドルを憧れの存在として崇拝すると同時に、"戦友"のような気持ちも抱いています。

そんな複雑な結びつきだからこそ、アイドルとファンの関係は、周囲には不可解に見えてしまうのですが......。なんにせよ現代では、完璧な高根の花ではない、頑張る女の子というのが人々に元気を与える存在であることは間違いないようですね。

(文/原田美紗@HEW )

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