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雑誌や新聞を見れば、売れている本や話題の本は簡単にわかります。みんなが読んでいるものも良いけれど、本のプロが注目しているタイトルも知りたい......。そこで、紀伊國屋書店のなかでも特にイベントや棚作りに力を注ぐ「新宿南店」の店員の方に話をうかがいました!

選ばれた本はこちら。読書の秋に、ぜひ手にとってみてください。

■『気づかいルーシー』(松尾スズキ著/千倉書房刊)

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「気づかいがもたらす悲劇と幸せ」と帯にある通り、この本のテーマは、"気づかい"。子馬とおじいさんはルーシーを気づかうけれど空回り、でも気づかいの出来る女の子であるルーシーは2人の失敗を見て見ぬふり......。よかれと思ってやったことが裏目に出てしまうかみ合わなさを面白おかしく描いています。

ところで、作者の松尾スズキといえば、劇団「大人計画」を主催する脚本家。「大人計画」といえば、エロ・グロ・ナンセンス満載の過激な舞台で有名ですが......。そう、この「気づかいルーシー」でも松尾のセンスが炸裂(さくれつ)。死んでしまったおじいさんの皮を剥くという冒頭のシーンから飛ばしまくりです。けれど最後は大団円! 気づかいって難しいけれど美しいものだとしみじみ感じられる終わり方です。

コメント:
「松尾さんらしく、グロありシュールな笑いありの一筋縄ではいかない絵本。大人も楽しめます!」

■『愛しのインチキガチャガチャ大全-コスモスのすべて-』(池田浩明・ワッキー貝山著/双葉社刊)

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なんと約1000点にもおよぶインチキガチャガチャを紹介。ガンダム"っぽい"消しゴムやなめ猫風のエリマキトカゲ免許証と著作権・商標権を完全に無視した景品なんて序の口。なかには、蛇口の模型や緩衝材のかけら、釣具のミニチュアなど「なんでこれを作ったんだ?」と言いたくなるグッズも満載。それらうさんくさい品々を"インチキ"の名の下に、愛あるツッコミを入れています。

コメント:
10月初旬は、この本も含め"ニセモノ"をテーマにした本のフェアを展開していました。ニセモノの世界も奥が深いんですよ。

■『きのこ文学ワンダーランド』(飯沢耕太郎監修/DU BOOKS刊)

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きのこ愛好家・飯沢耕太郎の研究成果を余すところなく披露したブックガイド「きのこ文学を読む」、飯沢耕太郎×作家・いしいしんじの「WE LOVE きのこ」対談に、きのこ料理、きのこグッズ、きのこアート、きのこ漫画とありとあらゆる方向からきのこを考察した一冊。きのこ大好きなイラストレイター・玉木えみのファンシーなイラストとは裏腹に、変質的なまでの"きのこ愛"が詰まっています。

コメント:
秋といえば、きのこですからね! 文章も読み応えがありますが、掲載されているきのこグッズがかわいくてパラパラ読むだけでも楽しいんです。

■『沈むフランシス』(松家仁之著/新潮社刊)

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北海道の小さな村をめぐる郵便配達員の女と、川のほとりの木造家屋に住む男。2人の関係が静かに深まりゆく様子を描いた恋愛小説。食卓に並ぶ料理の数々にオーディオマニアの男が収集する世界中の"音"、そして北海道の大自然......。五感の全てを開かれるような鮮やかな描写には、思わずため息が漏れてしまいそう。『沈むフランシス』という謎めいたタイトルの意味は、ラストでわかります。

コメント:
仕入れ担当の店員さんがこの小説を大プッシュしているとか。手作りのポップが飾られていました。

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「現実と虚構のあわいの中にこそ、この小説を手にした愉悦があるのかもしれない」

■『昼田とハッコウ』(山崎ナオコーラ著/講談社刊)

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街の本屋さん・アロワナ書店の三代目店主・田中白虹(ハッコウ)とそのいとこの昼田実。変わり者のハッコウと、如才なく世渡りする昼田の凸凹コンビが書店の危機に"ゆっくり"立ち上がる。

個性的な2人のゆるやかなつながりも見所ですが、大手チェーンのあおりを受ける地域密着型書店や、トークイベントの企画、本が書店に届くまでの流れと本屋さんの裏側を描いているのも大きなポイント。取材を重ね、リアリティを追究したそうで、仕事小説としても楽しめます。

コメント:
やっぱり書店員としては気になりますよね。"書店員"が注目という意味では、これが一番かもしれません。

いかがでしょうか。紀伊國屋書店新宿南店では、「@super_wakuwaku (スーパーワクワク)」という棚で、スタッフオリジナルの企画やフェアを行っています。ひとつのテーマに従って3冊の本を紹介する"1テーマ3ブックス"や、スタッフの本棚を披露する "キノミナの本棚"など、スタッフの素の読書生活が伝わる内容なのが魅力的。通っていくうちに、自分と趣味のピッタリ合うスタッフが見つかったりして......?

売上と、自分にとって面白いかどうかはまた別の話。ベストセラーとはまた少し違うラインアップのなかに、あなたのツボをくすぐる1冊が隠れているかもしれませんよ。

(取材・文/原田美紗@HEW )

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