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タモリにつきまとう「昔は、お昼の顔になるなんて想像できない芸風だった」という言葉。かつてのタモリはどんな芸人で、そして、いかに今のスタイルに変わっていったのでしょうか?

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10月22日、「森田一義アワー 笑っていいとも!」(フジテレビ系)(以下、いいとも)の終了を番組内で突如発表。32年続く長寿番組の終焉(えん)は大きな話題となり、ベッキーやさまぁ~ず・三村マサカズ、南海キャンディーズ・山里亮太や田原俊彦といった数多くの芸能人がコメント。ネット上でも、一般の人々が連日「いいとも!」やタモリについて語り合いました。

■タモリは元・嫌われ者?

その中でよく出てくる言葉が、「昔のタモリは、お昼の顔には程遠い芸風だった」というもの。2012年に放送されたタモリ司会の「FNS27時間テレビ 笑っていいとも!真夏の超団結特大号!! 徹夜でがんばっちゃってもいいかな?」(フジテレビ系)では、生放送中に江頭2:50が乱入した際、タモリがお昼の番組の司会に抜擢(ばってき)されたことが当時いかにセンセーショナルな出来事だったかを訴えています。
そのときに言い放った「タモリさんは俺と一緒!"底辺の芸人"なんだよ!」という言葉は大きな話題に。また、爆笑問題もTBSラジオ「火曜JUNK 爆笑問題カーボーイ」(6月12日放送)で、「昔は江頭みたいな感じだった」「お昼が一番似合わないキャラだった」と語っています。

■イグアナとハナモゲラ

そんなタモリの昔の持ちネタといえば、なんといっても"イグアナのモノマネ"。口を大きくゆがめ、ブリーフ1枚で床をはいまわる姿は確かにギャグにしても不気味......。
そして、もうひとつ有名なのが"ハナモゲラ"。これは日本語のようだけどよく聞くと違う言葉を話すというもので、日本語のモノマネといえるでしょう。

このハナモゲラをはじめとして、タモリは言語モノマネが大の得意。いろいろな「○○語"っぽい"」言葉を披露する"四カ国語マージャン"や、「アフリカ民族音楽"っぽい"」歌の"アフリカ民族音楽ソバヤ"などレパートリーは広大。これらはよく考えると、深い知識や鋭い分析がベースにあるギャグなのですが、ただ見るだけでは、タモリは意味不明な言葉を大声でわめく人。アングラと呼ばれるのも納得です......。

トレードマークのサングラスが得体のしれなさに拍車をかけ、80年代は「抱かれたくない男」ランキング常連。今ではすっかり「タモリがタイプ」なんて女子は珍しくない存在ですが、昔は気持ち悪い男の代名詞だったようです。確かに江頭とかぶるものがありますね。

■博識なお昼のタモリへ

しかし、そんなアナーキーなモノマネや、ラジオ番組「タモリのオールナイトニッポン」(ニッポン放送)での毒舌は徐々にカルト的な人気を集めていきます。そして、1982年、「いいとも」の司会に大抜擢(ばってき)。「夜の顔を昼の顔に」という挑戦的な起用に、番組は短命で終わると予想されていましたが、やがて押しも押されもせぬ大人気番組へと成長していきました。

そして、90年代になり、「タモリの音楽は世界だ!」(テレビ東京系)、「タモリのボキャブラ天国」(フジテレビ系)「ブラタモリ」(NHK)などが放送開始。どの番組もタモリの博識を生かす内容であり、かつ19時~23時台のプライムタイム番組。これまで、トークのふとした瞬間や「タモリ倶楽部(くらぶ)」(テレビ朝日系)などの深夜番組でしかうかがい知ることのできなかった"物知りなタモリ"像が、一般的に広く知れ渡るようになりました。

タモリは10月24日に放送されたラジオ番組「われらラジオ世代」(ニッポン放送)の中で、「自分の芸の本質はなりすまし」だと語っています。数々のモノマネも、ゲストの素を引き出す司会術も、知識や分析眼を駆使して"相手の立場を想像する=なりすます"ことから生まれたワザなのです。タモリの芸とは、知性に裏打ちされたもの。しかし、その知性の使い先が、昔はアングラ的な芸に、そして現在は司会にと変化したようです。

■これからは人間・タモリとして

「いいとも」が終わり、タレント・タモリが今後どう活動していくのかは皆の感心事。ネット上でも、「『タモリ倶楽部(くらぶ)』みたいな番組をたくさんやってほしい」「昔の変な芸をまた見たい」とさまざまな声が上がっています。

7月に刊行された「タモリ論」という本の中で、著者の樋口毅宏は"タモリはオープニングやコーナーなど「いいとも!」の仕切りを他の出演者に任せることが年々増えてきている"と指摘しています。でも、「じゃあタモリが面白くなくなったかというと全然違う」。「むしろ、タモリがタモリからどんどん楽になっていく、自由になっていく印象を受ける」と主張。「『笑っていいとも!』が最終回を迎えた後、『芸人・タモリ』は、ようやく『人間・タモリ』に戻ることができる」という言葉は、今となってみると予言めいて感じます。

「いいとも!」から自由になった"人間・タモリ"は、これから何を始めるのか? もしかしたら、また数年後は「あの人、昔はお昼の顔って呼ばれていたんだよ」なんて言われる時代が来るかもしれませんね。

(文/原田美紗@HEW )

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