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仕事小説とは、ある職業をフィーチャーした小説のこと。働く上での悲喜こもごもや成長、「この仕事にはこんなヒミツがあったんだ!」という驚きが魅力のジャンルです。働く人に元気を与えるような仕事小説を、その仕事にまつわる「お仕事トリビア」も交えて紹介します!

■スピーチライターという職業を知っていますか?
『本日はお日柄もよく』(著:原田マハ、刊:徳間書店)

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平凡なOL・二ノ宮こと葉は、ひそかに片思いしていた幼なじみの結婚式でのスピーチに感動。その祝辞を述べた伝説のスピーチライター・久遠久美に弟子入りする......。

演説原稿を作るだけでなく、衣装や話し方などスピーチに関わる全てを演出する「スピーチライター」という仕事。日本ではなじみの薄い職業ですが、彼らは人に思いを伝えることのプロフェッショナル。「作中のスピーチのひとつひとつに感動した」「名言の数々に思わず膝を打った」という感想が寄せられているこちらの一冊、とくに結婚式でのスピーチの人気が高いようです!

お仕事トリビア:「問いかけるのは、聴衆の興味を喚起するのに最も効果的な手法」


■書店経営の裏側がわかる
『昼田とハッコウ』(著:山崎ナオコーラ、刊:講談社刊)(書店経営)

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街の本屋さん・アロワナ書店の三代目店主・田中白虹(ハッコウ)とそのいとこの昼田実。変わり者のハッコウと、如才なく世渡りする昼田の凸凹コンビが書店の危機に"ゆっくり"立ち上がる。

本屋さん愛にあふれた1冊。「本屋さんってどんな仕事をしてるの?」「本の流通ってどうなってるの?」「フェアはどんな風に企画されるの?」など、読んでて思わず「へぇ~」と感心するような書店の裏話が満載ですが、薀蓄(うんちく)くさくならないのは、昼田とハッコウ、対照的な2人のゆるいつながりが負けず劣らず魅力的なポイントだから。

地方書店を盛り上げるため、著者の山崎ナヲコーラさんが「トークイベントなどを企画してくださる東京以外の書店さんを募りたい」と呼びかけたのも話題を呼びました。

お仕事トリビア:「サイン本は返本(売れなかったぶんを出版社に返すこと)できないので、書店が作家にサインを頼むのはリスクでもある」


■和菓子屋店員の日常
『和菓子のアン』(著:坂木司、刊:光文社)

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食べることが何より大好き、"アンちゃん"こと梅本杏子はデパ地下の和菓子屋「みつ屋」で働き始める。同じ和菓子を買い続けるお客さんに、「半殺し」なんて脅してくるヤクザ風の男、クールな店長が言った「戻ってきてほしい人」のヒミツ......。日常の些細(ささい)な不思議を和菓子の意匠をキーに解き明かしていく、史上初(!?)の和菓子ミステリー。

読み始める前に和菓子を用意するのをお忘れなく。読めば読むほど和菓子が食べたくなってきます......!「みつ屋」以外のデパ地下店員も登場し、和菓子の世界だけでなくデパ地下という職場の空気も味わえます。

お仕事トリビア:「あんころもちは、季節によって呼び方が変わる」


■自衛官だって恋をする
『クジラの彼』(著:有川浩、刊:角川書店)

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自衛官たちの恋愛を描いた短篇集(たんぺんしゅう)。恋愛ものといってもドロドロではなく、少女漫画みたいにあま~いラブコメばかりです。

表題作『クジラの彼』は、潜水艦乗務員・冬原とOL・聡子のラブストーリー。航海は数カ月に渡り、海の底は携帯の電波も通じない......なんてカップルにはつらすぎるシチュエーション。待つ立場と待たせる立場、それぞれの切なさに胸が締め付けられます。

お仕事トリビア:「潜水艦乗務員は、航海の出発日も行き先も帰還予定も機密事項」


■悩める消防士
『鎮火報』(著:日明恩、刊:双葉社)

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「楽して給料をもらいたい」。消防士・丸山雄大は、殉死した消防士の父を"反面教師"に、いつか事務職へ移ることを願いながら、「熱い消防馬鹿なんてまっぴらごめん!」と言い放つ。しかし、外国人アパートを襲う連続放火事件を調査していくうちに、次第に消防士としての誇りを抱き始める......。

なんだかんだ言いつつ根が生真面目な主人公とひきこもり中年の友人・守、兄貴分の仁藤と個性豊かな登場人物たちのやりとりからも目が離せない青春ミステリー。熱血じゃない悩める消防士・雄大に共感したなら、続編「埋み火」もどうぞ。

お仕事トリビア:「消火活動に使った水道料金は、後で支払う」



真摯(しんし)に仕事に向き合う人々の物語を読んだ後は、「自分も頑張らなくちゃ!」と力が湧き出ます。働く皆に感謝を、働く自分に誇りを感じられるような物語の数々。仕事に悩んだときこそ手に取ってみて下ください。

(文/原田美紗@HEW )

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