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日本でただひとり"お化け屋敷プロデューサー"と呼ばれる人物がいる。それが東京ドームシティ アトラクションズを中心に毎年新作お化け屋敷を発表している五味弘文氏。時には数時間待ちの行列ができるという"恐怖"の秘密に迫った。

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――"お化け屋敷プロデューサー"になったきっかけを教えてください。

「僕は大学時代から演劇をやっていて、卒業後は劇団を主宰していました。そのつながりでイベント関係の仕事を手伝うようになったんですが、1992年に後楽園ゆうえんちでルナパークというイベントがあったんです。これは、当時夜間の営業をしていなかった遊園地を大人向けに開放しようというもので、ライブとかビアガーデンとかいろいろな企画がある中に、大人向けのお化け屋敷というものがあったんですね。それが非常に評判が良かったというわけです」

――確かに、昔はおどろおどろしい音や機械仕掛けの人形など"子供だまし"という印象があったお化け屋敷が、大人も楽しめるものになっていますよね。そのポイントは何なのでしょうか。

「それは"想像力"です。基本的に、闇があって角が多ければある程度怖くなる。でも大人の場合それだけだとなかなか想像力が働かない。そこにどんないわれがあってどんなものが潜んでいるかという情報を提供していかないと想像力が大きくなっていかないんです。だから、僕のお化け屋敷ではストーリーが非常に重要になってくる」

――五味さんのお化け屋敷は、入る前にまずストーリーをがっつり読まされ、聞かされます。その時点でもう怖い(笑)。

「ストーリー以外にもありますよ。例えば、"入り口と出口を近くにする"。これは、順番待ちしている時に、出口から出てくる人の様子が見られるようにするためです。出てくる人がものすごく怖がっていたり、上気していたり、楽しそうだったりすれば、期待も高まりますよね。あと"触感"もそう。ただ歩くだけじゃなく、触覚も刺激したい。一度、靴を脱いで入るお化け屋敷を作ったことがあったんですが、無防備な感じが出て良かったですね。

それともう一つ、僕の作品で重要なのが"ミッション"。つまりお客さんが受け持つ"役割"です。僕のお化け屋敷には、ストーリーに付随して"誰々の髪をくしでとかしてきてほしい""誰々の歯を抜いてきてほしい"というミッションが課せられる。ストーリーも大事ですが、一言では語り尽くせません。でもミッションは一言で言えるじゃないですか。それを聞いて『怖いな』『嫌だな』って思わせることができたら、勝ちですよね」

――五味さんは、お化け屋敷は"恐怖"だけでは足りない、"恐怖"を"アミューズメント"にして提供しなければいけないとおっしゃっています。それを可能にするために必要なことは何なのでしょうか?

「一番のポイントは"出口"があることです。終わりがあって、それが認識されている。つまり、自分が戻れる場所があるという安心感をどこかに持っていることで、すごく怖いことを体験しているんだけど楽しさにつながるんですよ。

何かが出るんじゃないか、出るんじゃないかという不安を持ちながら、扉を開けたり角を曲がったりして、やっぱりバーンと出る。すごく怖いんですが、そのバーンと出たものが不安の正体なわけで、そこで1回終わるんですよ。怖い、でも終わった。それが"出口"と一緒で、ホッともする。この"緊張から緩和"のギャップが楽しさの正体だと思っています。緊張が一気に解放されると、人は楽しくなるんです。それも、その波が何度もあったほうがいい。楽しいという体験があることで、次の恐怖、つまり不安や緊張が期待に転化します。恐怖をエンタテインメントとして成立させるポイントは、いかに緊張を緩和させるかということに尽きます」

――なんでわざわざ行列してまで恐怖を体験しに行くのかって話ですよね。楽しくなきゃ行かない。

「楽しいことって、みんなそこで積極的に"楽しもうとする"じゃないですか。でもお化け屋敷は違う。怖がりに行っているのに、いざ中に入ると、逆に怖がらないぞって思いますよね。驚かないように平静を保とうとする。その、"逆"の感じ、つまり1回ひねった感じが、ほかにはない楽しさなんだと思います。1回何かを乗り越えてる感じがどこかあって、その乗り越えた分だけ違う楽しさになっている。楽しさの構造が違うから、ほかのものでは味わえない特殊性になっているのではないでしょうか」

全国で2014年お化け屋敷が開催中

☆東京ドームシティ アトラクションズ「恐怖のかくれんぼ屋敷」他
 
☆「サマーソニック2014」(8月16・17日 東京会場)にて「呪いバサミの家」開催!
 サマソニで五味さんのお化け屋敷が体験できる!

(取材・文/大木信景@HEW)
写真:トレンドニュース


■「視線の先」 ~築く・創る・輝く~
エンタメ業界を担う人が見ている"視線の先=考え、狙い、戦略"を一緒に見てみたい。


表舞台を飾る「演者・アーティスト」、裏を支える「クリエイター、製作者」、これから輝く「未来のエンタメ人」。 それぞれの立場にスポットをあてたコーナー<視線の先>を展開。インタビューを通して、"情報"にとどまらない「エンタメの真髄」に迫り、読者の皆様にお届けいたします。

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・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
>> 五味弘文氏が出演する、GYAO配信番組「ぶるぺん」

日本に1人「お化け屋敷プロデューサー」とは(00:02:51)



お化け屋敷Pの恐怖への「こだわり」とは(00:01:57)


触感でも恐怖を与える方法とは?(00:01:10)


 ※その他の出演番組>>

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・お化け屋敷は恋が生まれるスポットだった?
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