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"寺社フェス"ことお寺を舞台としたフェスイベント「向源(こうげん)」は、音楽あり、京野菜を使ったグルメあり、座禅や写経といった修行体験あり、生花や能などの日本文化の体験あり、なかには、余命わずかというストーリーを追体験していくなかで自身の大事なものを確認しなおす"死の体験旅行"といったユニークなワークショップなどもありで、いわば仏教神道、日本文化のごった煮イベント。2011年にスタートし、2014年は浄土宗の大本山である東京・増上寺で開催して約2000人以上の集客を記録した一大人気イベントとなっている。

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この寺社フェスを主催するのは、元DJという異色の僧侶・友光雅臣(ともみつがしん)さん。イベントにかける熱い思いに迫った。

・2013年度開催時の様子



――どんな人がイベントに来ますか。

「2、30代の若い方が多くて、女性が7、8割です。普段から宗教的なことに興味があるというよりは、単純な好奇心で来てくれる方が多いです。

リピーターも結構多いですね。第1回から来てるって方もいて、僕、『向源』で声明(仏教音楽のひとつ)をやってるんですけど、『最初の頃に比べて上手になったね』って声をかけられました(笑)」

――お客さんからはどんな感想が寄せられていますか?

「どのワークショップも初めて体験する方ばかりなので、やっぱり『知らなかった日本の文化に触れることができた』という喜びの声が多いです。『もっとほかの体験もしてみたい』『敷居の高いイメージが変わった』とも言ってもらってます。

意外だったのは、写経や念仏といった"いかにもお寺の修行"という感じのワークショップは若者からの人気が出ないかなと思ったら、そういうストイックなもののほうが人気があったこと。若いお客さんは、楽しいというよりも少しピリッとした時間を求めて来ているみたいです」

――「向源」を始めたきっかけは?

「『今一番若者が集まることってなんだろう?』って考えてみたら、コミケとロックフェスかな......と。ロックフェスなら僕がもともとDJをやっていた頃からクラブイベントのオーガナイズの経験もあるんでまだできそうかなと思って始めてみました。

なので、『向源』は最初はお寺で音楽を聞くライブイベントだったんです。でもバンドの演奏を聞くだけだとお寺でやる意味がないので、最後に皆でお経を聞こうって風にしたら、音楽目当てに来てくれた人たちが『お経が一番よかった』ってすごく喜んでくれました。さらに『座禅を組んでみたり精進料理を食べたりしてみたい』って言ってくれました。だからこっちも『じゃあやってみるか』とおっかなびっくりにプログラムを増やしていったって感じです。

皆、別に宗教についてダサいとか意味がないとは思ってないんです。むしろそれ以前の"縁遠い"って感じなんで、身近に感じてくれさえすればそこからはとても好奇心旺盛に接してくれますね。」

――今後の展望は?

「来年は増上寺で2日間開催、5000人来場を目指してます。どんどん規模を拡大して、2020年の東京オリンピックの頃には10カ所近くの寺社で1カ月間開催というレベルにまでもってきたい。外国人対応できるサポーターも増やしたいですね。

でも、それだけの規模にするためには、いろんな宗派の偉い方々の理解も必要になってきます。今も徐々に働きかけてはいるんですけど、『じゃあ数年後に』みたいな返事で......。どうしても嫌というよりは、よくわからないから先延ばしにされちゃってる感も多少あります。

でも実際の開催風景を見ていただくと、そういう偉い方々も『若い人がこんなに真面目に修行したり、心から手を合わせている姿なんて見たことない』って驚いてくれます。しかも、『向源』のお客さんって、神仏を崇め奉るというよりはフラットに、『これは自分にとって意味があるな』とか『面白い』って感じで宗教と触れ合ってくれるんです。だから、『こういう場が現れたことがよかった』って言われますね。

ただ敷居を下げた結果内容も薄くなってしまっては意味がありません。このイベントは型破りに見えるかもしれませんが、伝えてる内容はごくごくベーシックなことです。敷居を下げたうえで、しっかりと昔ながらの本物の修行体験ができるようになっている。なので実際に来てみると『意外とちゃんとしたイベント』って各宗派の方々もわかってくれました」

――運営のなかで感じることは?

「約1500年続いている仏教の世界の中で、前例がないことって基本もうないんです。でも今は、情報革新が進んでSNSなんかもあって遠くに住む人同士でも思想や意志を理解しあってポンとつながれる、普通に暮らす若者も興味をもった瞬間に仏教にアクセスできるという時代。これは本当にすごいタイミングで、お坊さんも仏教を説くなかで初めてのことにたくさん出会っています。こんな面白いタイミングないなって同じお坊さん同士でも話してます。

そして、この瞬間に若手として今までにない寺社フェスということをやらせてもらってるっていうのは、すごく光栄だし、すごく怖いことでもあります。すごい責任も、すごい充実感もあります。とにかく『すごく面白い』って心から感じています。

生きづらい世の中ですけど、仏教や神道、日本文化の教えを振り返れば振り返るほど間違いないことを言っていると感じます。この時代をどうサバイブしていこうかってときに皆ドラッカーとかカーネギーといった経済学者の本に手を伸ばしますけど全然そうじゃない。スティーブ・ジョブズなんかより、こっちのほうがもっとやばいこと言ってるよって、これからも皆とともに学び、伝えていきたいです」

(文/原田美紗@HEW )
写真:トレンドニュース


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・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
>>友光雅臣が出演する、GYAO配信番組「ぶるぺん」


世界最大級の寺社フェス「向源」とは?(00:04:40)>>



人気ワークショップ「死の体験旅行」とは(00:05:04)>>


 ※その他の出演番組>>

・寺社フェス「向源」を始めた理由
・寺社フェス主催者が語る「向源」の魅力
・現役僧侶が語る寺と神社の違いとは
・僧侶ならでは「お坊さんあるある」

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