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かつて、「冬のソナタ」や「宮廷女官チャングムの誓い」などにより、爆発的な人気を誇っていた韓流コンテンツ。今や停滞の一途をたどり、このまま消えていくように思っている方も少なくないだろう。ブームより10年が過ぎた"現在の韓流"について、ソネットエンタテインメント株式会社メディア事業部プロデューサーで、「アジアドラマチックTV」編成担当の山内優氏にお話を伺った。

<視線の先>韓流は"終わった"のか――ソネットエンタテインメントが据える"韓流第2フェーズ"戦略


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ソネットエンタテインメント株式会社 山内 優氏「アジアドラマチックTV」の番組編成を担当


まずはご自身について。
――もともと韓流がお好きだったんですか?


番組編成の業務に携わるまではどちらかというと欧米ドラマが好きで、いわゆる韓流と呼ばれるものは私の頭の中で"年配の人が見るもの"であり、ベタベタな展開のラブストーリーや時代劇が多いイメージでした。担当するにあたりまずはここを抑えておかないといけないだろうと、韓流10周年目になる去年の夏に初めて「冬のソナタ」を見ました。
見てみたら、あまりにもそのベタな展開に......正直、全然しっくりこなかったんです(苦笑)。でも確かに日本のドラマにはない新しさというかみんなが熱狂した理由もわかりました。最初はありえない設定と思っても"韓流ドラマはこういうものなんだ"と楽しめるようになったんです。"ヨン様が学生服着てますけど何か?""登場人物全員に出生の秘密がありますけど何か?"といったような開き直った感じが、私には新鮮で面白かったです。


ソネットエンタテインメントで放送している「アジアドラマチックTV(以下、アジドラ)」は、チャンネル名の通り、韓流のほかにも台湾や中国のドラマはもちろん、ジャンルも現代ものから時代劇、それに映画も放送しているので、毎日仕事から帰ってからもずっと見ていて、今や社内でいちばん本数を見ています。私、韓流ドラマ好きかもと今ではすっかり夢中です(笑)。


■韓流ドラマの特徴とは 「ファンミーティングがカルチャー的にもビジネス的にも大きな特徴」


韓流ドラマはとにかくパワフル! 誤解を恐れずに言うと、日本のドラマって気持ちを胸のうちにしまっておくみたいな内向きで静かな感じが多いけれど、韓流ドラマは好きなら「好き!!」と言って、失恋したら思いっきりグチャグチャになるというようなパワフルさがすごくて、私はとても新鮮でした。
欧米のドラマと比べると、欧米のものは一話完結が続いている感じですが、韓流ドラマは20話くらいでやっと「そういうことだったのか」となるものが多い。時代劇やイルイルドラマと呼ばれる平日朝に毎日放送されるものは100話を超えるものもあり、バリエーションがとても広いというのも韓流ドラマの魅力だと思います。


また、ドラマイベントや俳優のファンミーティングが頻繁に開催されるのも大きな特徴の1つです。「ドラマを見る→ハマる→(俳優に)会える→ファンになる」というサイクルが確立しているのは、日本のドラマにも欧米ドラマにも無いカルチャーですね。
韓流がカルチャー的にもビジネス的にもここまで長く根強く続いているのも、そこに理由がある気がします。


■最近人気の韓流ドラマの傾向は? 「人を飽きさせないテーマやトリック、"幽霊系""タイムスリップ系"」


ジャンルとしてはやはり歴史もの、そして2006年前後の名作の再放送は手堅く人気ですし、最近では日本で少し前に流行っていた医療系、刑事系などの職業ものがたくさん出てきました。いつの時代の作品も脚本が良いというのは韓国ドラマの魅力ですね。
最近の流行は、"タイムスリップ系"。男女どちらかが時空を超えてやってきて、戻らなきゃいけないのに、お互い好きになってしまってどうする!? というものです。その次は"幽霊系"。幽霊が見える、もしくは自分や相手が幽霊といったものですね。
昔は携帯電話やSNSもなく連絡手段が限られていたためによくすれ違いを起こしていましたが、今では連絡が取り合えなくて会えないなんてことは、ほとんどないじゃないですか。韓流ドラマでは、「これは絶対に結ばれないでしょ、切ないでしょ」というシチュエーションを、タイムスリップだったりこの世とあの世といった、人を飽きさせないテーマやトリックなどでうまく取り込んできているなと思います。


"タイムスリップ系"でオススメはアジドラでも今年の5月に放送した「ナイン~9回の時間旅行~」。欧米ドラマに引けを取らない内容で、とても緻密に練りこまれているんです。複雑で難しい内容だったので韓流ドラマファンに受け入れられるか心配でしたが、視聴率も好調でしたし、Twiterなどでの反応も大変良かったです。12月に放送予定の「屋根部屋のプリンス」はタイムスリップ系ラブコメの傑作として日本でも大ヒットしました。
ちなみに、去年韓国でヒットしたのは「星から来たあなた」という宇宙人(!)と女優の恋の話で、いわば"タイムスリップ系"と"幽霊系"のハイブリッドとも言えるかもしれません。


■番組編成担当として気をつけていることは 「視聴者の声を聞くことにも力を入れています」


縁があってこの仕事に携わる事になったわけですが、私なりのちょっとした目新しさを入れていきたいですね。
視聴者さんの中には「もうベタベタは飽きた」という人も「韓流に求めているのは昔ながらのベタな展開」という人もいます。一方で、今までアジドラでは扱っていなかったジャンルも、人の手による編成次第で面白く観てもらえるようになるのではという思いもあります。
新規のユーザーには興味を持ってもらえそうな新旧ドラマを織り交ぜた特集をPRしたり、既存のユーザー向けにはドラマのメイキング番組などプラスアルファをつけてもう一度楽しんでもらえるようにしてみたりなど工夫しています。視聴者に一方的に投げかけるのではなく、Twitterでやりとりをするなどして、視聴者の声を聞くことにも力を入れています。


■最近の韓流俳優の傾向はいかがでしょうか? 「今も昔も、(日本人と)似てるけどちょっと違うというのがポイント」


傾向という意味では、ヨン様ことペ・ヨンジュンのようなやわらかくて紳士な感じから、K-POPブームを経て、年齢層も若めでカジュアルでワイルドなイメージが強まっているとは思います。ただ、私個人の見解としては、今も昔も人気の根底にあるものに変わりはないと感じています。
韓国には兵役制度があるせいか、韓国俳優は基本的にみんないい体しているんですよね(笑)。
クォン・サンウやソン・スンホン、ソ・ジソブに代表されるような韓流ブーム初期から人気の俳優は、そういった体格や紳士的な振る舞い、シュッと締まった顔つきとか、そういうところが魅力なのではないかと思います。顔はアジア系で親しみやすいのですが、日本人にはない欧米の香りがする、という感じでしょうか。私は逆にヨン様が例外な存在のような気がします。


近年の人気は、アジドラでも今年4月に特集を組んだパク・ユチョン(JYJ)やチャン・グンソクなど兵役に行く前にブレークした比較的若い俳優ですが、「外国人なんだけど、日本語もある程度話せるし、見た目や空気感という意味でも共感できる部分が多い」というのが人気の根底にあると思います。また、日本の同世代の俳優と比べると、いい体つきの俳優さんが多いような気もします。(笑)


今も昔も、「(日本人と)似てるけどちょっと違う」というのがポイントなのではないでしょうか。その時その時で、日本の俳優にはあまりいないようなタイプを補完してきたのではないかと思いますね。


■今後韓流はどうなっていくと思いますか? 「いつも日本にないものを補完してきた」


流行のドラマジャンルなどを眺めてみると、アメリカと日本のドラマの関係のように、韓国ドラマは日本の5年、10年前をなぞっているなというのは感じます。ブームという意味では、韓流に確かに昔の勢いはありません。ただ、10年も続けば衰退するのは当然ですし、ブームが始まればいつか終わるというのも世の常です。
しかし1つ言えるのは、韓流というのは、コンテンツでも人でも、いつも日本にないものを補完してきたと考えています。これからもそれが続くとすれば、韓流がなくなることはないでしょう。私はまだ韓流一年生。その視点を生かしつつ、韓流だけでなくアジアのさまざまなコンテンツも取り入れて、これからも私が経験した面白いカルチャーショックを、いろんな人に広めていきたいと思っています。


(文/青山美乃@HEW)


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山内 優(やまうち ゆう)


1983年生まれ。宮城県出身。
立命館大学産業社会学部卒業後、2006年にソネット株式会社に入社。WEBサービスの企画・運営を経験後、経営企画部門に異動し、映像事業分野における韓国企業への出資や業務提携をサポート。2013年に同社から映像事業を分社化し設立したソネットエンタテインメント株式会社に経営企画スタッフとして出向。同2013年にメディア事業部プロデューサーに。「アジアドラマチックTV」の番組編成を担当する。
座右の銘:これといったものは特にありませんが、「毎日美味しいビールを飲む」を目標にしています。毎日お酒がおいしく感じるように過ごすというのは意外とむずかしいことですよね。(笑) 


ソネットエンタテインメント株式会社


ソネット株式会社100%出資のメディア事業会社。韓流・華流コンテンツを中心としたCSチャンネル「アジアドラマチックTV」を、スカパー!やケーブルテレビ、ひかりTVなどで放送展開。そのほか韓流ドラマを主とした放送権やDVD共同事業、VOD権を販売し、近年では韓流スターをはじめとするアーティストマネジメント、日本公式FC運営、DVD企画販売にも着手している。
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表舞台を飾る「演者・アーティスト」、裏を支える「クリエイター、製作者」、これから輝く「未来のエンタメ人」。 それぞれの立場にスポットをあてたコーナー<視線の先>を展開。インタビューを通して、"情報"にとどまらない「エンタメの真髄」に迫り、読者の皆様にお届けいたします。

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