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「永遠に」(とわに)をはじめ数々のヒット曲を放ち、日本におけるアカペラ/ヴォーカル・グループ・ブームの火付け役となった5人組、ゴスペラーズ。今年12月にメジャーデビュー20周年を迎える彼らに、11月19日にリリースする最新シングル「クリスマス・クワイア」に対する思いを聞くとともに、メンバーチェンジも活動休止もせず活動を続けてきたこれまでの20年を振り返ってもらった。

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ファン投票によるベスト盤から見えたものとは? ゴスペラーズ20周年インタビュー後編/<視線の先>

■今もなお新鮮でいられる理由「僕らは未完成な状態でデビューし、必死だった」

――「G20 Anniversary Summit」と題したデビュー20周年を記念するさまざまな企画が絶賛進行中ですね?

酒井雄二: その中で昔の写真が出てくることがあるんですけど、若いと言うか、つるっつるの子が出てきちゃうわけですよ(笑)。そういう時、20年の月日を感じますね。でも、そんなつるっつるの状態でデビューできたんだからすごいですよね。

――なんでも、現在のメンバーがそろったとたん、いきなりデビューの話が決まったそうですね?

黒沢薫: 華々しいと言えば華々しいんですが、その時点で1曲も歌えるレパートリーがなかったんです。2週間必死で練習して、これならできるだろうってレコーディングしてみたらやっぱりできなかった(笑)。いつまでもたってもレコーディングが終わらないぞ、いつになったら終わるんだろうって。

北山陽一: 最初の数年間は朝7時までとか9時までとか、平気でレコーディングしていましたからね(笑)。僕らは必死だからいいけど、スタッフは本当に体調管理が大変だったと思います。それで本当に体調を崩した人もいますからね(笑)。

黒沢: 僕らはグループとしては未完成な状態でデビューしたんです。だから一から積み上げていくしかなかった。それこそオリジナル曲が1曲もなかったんですから、必死でやるしかなく、気づいたらここまで来ていたみたいなね(笑)。もし、アマチュアで2、3年やって、それなりに人気を集めてからデビューしていたら全然違ったと思います。
もうちょっと準備してからデビューしたかったと思った時期もあったんですけど、今考えてみると、目的意識がいつもあったので、いや、危機感って言ったほうがいいのかな。だからこそ20年やってこられたのかなって思います。もし、これが2、3年経験があってからデビューしていたらもしかしたら途中で飽きちゃっていたかもしれないし、俺はこんなことしたくないんだよって言い出すメンバーも出てきたかもしれないし、それってわからないじゃないですか。でも、一から作り上げる中で、いろいろ考えながらやってこられたんでね。それが20年たっても新鮮でいられる理由なんじゃないかって思います。

■20年続けてこられたのは「運や縁に誠実に接し、人のせいにして諦めたことがなかった」

――メンバーチェンジも活動休止もせず、ゴスペラーズが20年続けてこられた理由を今日はお聞きしたいです。未完成でデビューしたこと以外にも何かありますか?

村上てつや: 運が良かったんですよ。デビューだって自分たちがデビューしたいと思ってできるものではない。結局、人の都合で決まるんです。タイアップが決まっているんだけど、やるかやらないか決めてくださいって言われたら、やりますとしか言えないですよ。ホント、それだけだったと思うんですが、それに対して、どれだけ真面目に、できるだけのことをやるかということの結局は連続だった。
たぶん、メンバーそれぞれが違うタイミングで、俺たちほどツイているやつはいないかもって気づいたんだと思います。そういう運とか縁とかに対して誠実になれる理由としては、大学の音楽サークルという純粋な場で出会っているってことが大きいのかな。アカペラとかヴォーカル・グループとかが日本の世の中では今ほどなじみあるものではなかった時代にもかかわらず、意気揚々と、そんなに自信もないのに俺たちやれるんじゃないかっていう気持ちを、レコーディングの時までみんな持ってて、さっきも言ったようにレコーディングではのけぞっちゃうんだけど、そういう経験を共有していることも大きいと思います。
結局、何かをやめる時って人のせいにする時じゃないですか。いや、もちろんレコード会社に腹が立った時もあるし、事務所に腹が立ったことやメンバーに腹が立ったこともあるんだけど(笑)、最終的に誰のせい? ってなったら、少なくとも自分たちだよなってなれるというのは、グループの成り立ちによるところが大きいですよね。そういうことがファンの人が俺たちを好きでいてくれている理由の一つなんだろうなっていうのはけっこう感じます。

■クリスマス・ソングは20周年記念でのファンへのプレゼント

――11月19日にはニュー・シングル「クリスマス・クワイア」がリリースされます。

黒沢: 全曲がクリスマス・ソングという試みは今回が初めてなんです。

酒井: 「クリスマス・クワイア」について言えば、初めてクリスマス・ソングっていうのを正面きって作ってみました。ゴスペラーズという名前でアカペラやコーラスをやっているせいか、これまではクリスマス・ソングと銘打ってしまうと、季節物みたいに誤解されて、それだけにされちゃうみたいな怖さをうっすらと感じていたんです。同じように、カヴァーをやりなよ、やりなよってデビュー直後から言われてきたんですけど、それもちょっと......と思いながら(活動を)続けてきて、昨年、とうとう『ハモ騒動~The Gospellers Covers?』という初めてのカヴァー・アルバムをリリースしました。そのとき、自分たちなりにカヴァーを世に問えるようになったと思えたので、クリスマス・ソングもやってみてもいいんじゃないかと提案してみたところ、「クリスマス・クワイア」がシングルになりました。変な構えが取れたというふうに受け取ってもらえればうれしいです。

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――変な構えが取れたとはいえ、正面きってクリスマス・ソングを作るうえでは、それなりにプレッシャーや気負いもあったんじゃないでしょうか?

酒井: ゴスペラーズのクリスマス・シングルが5枚も6枚も出たらおかしいと、みんな感じると思うんですよ。それを考えると、そんなに何枚もリリースできるものではない。その意味では、そうですね、ありましたね。だから、リーダーの意見を聞きながら、あまり個人の突っ走りで作らずにグループに寄せたり、わかりにくいところをわかりやすくしたりしながら作りました。

村上: クリスマス・ソングを作るというアイディアはあったんですけど、最初からA面にしようと考えていたわけではないんです。

酒井: 20周年記念のプレゼントとして、ファンのみなさんに喜んでもらえるんじゃないかなって感じでね。

村上: その意味では、ソウルのグルーヴとかゴスペル風のコーラスとか僕らのミュージシャンシップと、ファンの人たちに喜んでもらえるかなという僕ら的に考えたプレゼント的要素とのミックス具合がうまくいったかなって気はするんですよ。
A面で行くぞってなったとき、トラックのアレンジはけっこう攻めたところがあったんですが、同時にファンと一緒に楽しむクリスマス・ソングというところにはうまく落とし込めたと思います。ヴォーカルワークなんかも、がーっと歌いこみすぎると、それはそれでかっこいいってなったかもしれないけど、聴いている人が口ずさめるところはどこ? みたいになってしまいかねない。やっぱり、そういう部分は大事だと思うんです。今回、ここは真似できないだろうって部分とここは一緒に歌えるだろうって部分の両方を入れられたのかな。そのへんがトラックのレコーディングも含めて、かなりうまくいったと思います。

――過去のレパートリーをメドレーでつないだ3曲目の「G20 Christmas Medley」もファンはうれしいでしょうね?

村上: これはスタッフのアイディアだったんです。4曲のうち2曲はシングルのカップリングなんですけど、カップリングの曲ってアルバムの収録曲に比べて、届けきれていないところがあると思うんですよ。初期の曲の場合は特にね。そういう意味で、こういう曲もあったんだってことをうまくプレゼンできたと思います。知らなかった人も絶対いると思うし、相当、若いわれわれの歌声も新鮮に聴いてもらえるんじゃないかな。その差、19年(笑)。そういうのは普通ベスト・アルバムに入っているもので、シングルではあまりないと思うんですけど。

酒井: それも20周年の振り返り企画の一つで。

村上: このタイミングでなければ、やれなかった。

――20周年記念と銘打ちながら、20年の回顧だけに止まらず、回顧と現在進行形のゴスペラーズ。その両方をいろいろな形で見せているわけですね?

北山: 今年はヒャダインさんに書いてもらったシングル「SING!!!!!」と最新アルバム『The Gospellers Now』もリリースしたし、「クリスマス・クワイア」が出てあとにはベスト・アルバムもありますし、おっしゃるとおり、その両方をうまい具合に見せられているんじゃないかな。

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ゴスペラーズ
安岡優、村上てつや、黒沢薫、北山陽一、酒井雄二の5人からなるヴォーカル・グループ。1991年、早稲田大学のアカペラ・サークル<Street Corner Symphony>で結成。メンバーチェンジを経て、1994年にキューンレコードよりシングル「Promise」でメジャーデビュー。2000年8月リリースのシングル「永遠に」(とわに)、10月12日リリースのアルバム『Soul Serenade』のヒットでブレイクを果たす。その後も「ひとり」「星屑の街」「ミモザ」など多数のヒット曲を世に送り出している。

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(取材・文/山口智男@HEW、撮影/神谷渚)
 写真:トレンドニュース


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