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保護者や教師らによる「気持ち悪い」という意見により、ジャポニカ学習帳が昆虫写真を使った表紙を廃止。ネット上では、この対応を「クレームに負けた」とする見方もあるが、ジャポニカ学習帳を製造するショウワノート株式会社 開発部担当者に取材をしたところ、"児童を思いやる温かな判断"による撤廃だったことがわかった。

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――カメラマンは「復活させたい」

ジャポニカ学習帳といえば、世界中の珍しい動植物の写真をあしらった表紙が印象的な学習ノート。昆虫の姿がバンと大胆にレイアウトされた表紙を思い浮かべる人も多いだろうが、実は、2012年よりジャポニカ学習帳の表紙から昆虫写真が消えている。原因は、保護者や教師たちから「気持ち悪い」という声が上がったことだった。

36年間続いた表紙の伝統を変えることに、もちろんショウワノート内でも反対の動きはあった。とくに悲しんだのが最初期から表紙写真の撮影とその解説を担当している昆虫生態写真家・山口進氏で、撤廃を今でも残念に感じており、「いつかなんらかの形で昆虫の表紙を復活させたい」と口にしているという。また、社内でも、昆虫生態写真家である山口氏を起用しながら昆虫写真をなくすことを「ブランド価値の損失につながらないか」と懸念する声が上がっていた。

――"昆虫ノート"の指定文具化で苦しむ児童

しかし、話し合いの結果、やはりショウワノートは昆虫写真の使用撤廃へと踏み切った。実際のところ、「気持ち悪い」という意見は、クレームというほど強い指摘ではなく、あくまで要望というほどのおだやかなトーンだった。それでもショウワノートがそれら少数の要望を無視せず撤廃に至った大きな理由のひとつは、多くの小学校でジャポニカ学習帳が指定文具として生徒に配布されていたことだった。学校から配布されている以上、児童は別のノートを使うことが難しい。なかには昆虫が苦手なためにノートを使うことができない児童もいるという意見を聞き、ショウワノートは、昆虫写真の撤廃を決断した。

「もともと表紙は約半数が昆虫、残り半数が花となっており、ブランドコンセプトとして虫がメインというわけではなかったんです。なので、これをいい機会として、"虫の学習帳"から"花の学習帳"へとイメージを転換することにしました」

その結果、今現在ジャポニカ学習帳を使用している小学生や、20代の人々の間では、ジャポニカ学習帳というとすっかり花のイメージが定着しているという。

「より多くの方に楽しい気持ちで使っていただくための新たなブランドイメージの構築ができたと私たちは考えています」

けしてクレーマーに屈したわけではない。ジャポニカ学習帳から昆虫表紙が消えたのは、伝統を押し通すことよりも、現代の児童の気持ちを尊重したショウワノートの優しさということだろう。

(文/木村彩乃@HEW

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