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"イマドキの若者"的な明るくノリのいいキャラクターで、バラエティ番組からも引っ張りだこの歌舞伎俳優・尾上松也。ほかにもドラマにミュージカルに......と一見歌舞伎の枠にとらわれず奔放に活動しているようにみえる松也だが、本当は、誰よりも真摯に歌舞伎の未来を見据える人間だった。


松也も出演する、若手歌舞伎俳優による公演「新春浅草歌舞伎」が来年1月に行われるにあたり、今一度彼の歌舞伎への情熱に迫った。


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12月7日(日)放送のトーク番組「ウチくる!?」(フジテレビ系)にて、尾上松也が出演。


――ミュージカルに舞台にバラエティ出演と、歌舞伎以外にも幅広く活動されています。歌舞伎俳優としてどういった思いでの挑戦でしょうか。


「ベースが歌舞伎であることはゆるがない。でもそれとは別に、いち役者として自分がどれだけ通用するかという興味もあるんです。歌舞伎以外のことは、僕にとって『可能性を広げる』という気持ちでやっていますね」


――そういった舞台などの経験が歌舞伎にも活かせる部分はありますか?


「たとえばミュージカルの表現方法は歌舞伎でそのまま通用しないですし、その逆もまた同じなんですけど、経験値はいつか絶対活きてくる。いろんなアンテナを張って引き出しを多く持っておくということは、役者にとって損にならないと思います」


――今後挑戦してみたい分野は?


「あまりジャンルにこだわりはないんですけど、僕は舞台が好きなので、ミュージカルでもストレートプレイでも、とにかくいろんな舞台をやってみたい。


あと20代前半くらいまでは、どちらかというとヒーロー側の役が多かったんですけど、この頃少しずつ悪役をやらせてもらえるようになってきたら、悪役って楽しいなと感じてきて。チャンスがあれば積極的にやっていきたいですね」


――バラエティ出演には、すっかり慣れましたか?


「雰囲気には少し慣れてきたかな。でも元々人と話すことが好きなんで、気負いしている部分は全然ないんです。お仕事というよりリフレッシュするつもりでやらせてもらっちゃってるところがあるので、友達と話しているような気持ちです。そのとき思いついたこと、言いたいことを言っているだけなんで。めっちゃ自然体ですね(笑)」


――テレビ番組に出演することで、ファンが増えたという感覚はありますか?


「歌舞伎のお客様から『今まで歌舞伎を見たことがなかったんですけど、バラエティを見て興味を持ったので来ました』っていうお手紙をいただいたりすること、やっぱりありますよ。昔から支えてくださっていたファンの方も、僕が注目していただいているということを喜んでくださいますし。僕がテレビに出ることが歌舞伎の集客に繋がるのであれば、こんなにありがたいことはないです。


それとは別によかったこととして、バラエティではいろんな方に出会う機会があるので、仕事とはいえ他ジャンルの方のお仕事の話なんかが間近で聞けるじゃないですか。そういった経験も蓄積していくとお芝居に活かせると思うんですよね」


――市川海老蔵さんも新作歌舞伎はじめいろんな試みをされていますが、お互い歌舞伎界の若手として情報交換のようなことはするんですか?


「情報交換とかはないですけど、行動を見ていれば伝わりますから。だから、わかりあえていると思います。伝統をそのまま継承しても未来には残っていかないというのは、皆が実感としてありますんで。継承しつつもやはり進化していかないといけない。きっと今の歌舞伎の形と、歌舞伎の発祥したときの形って全然違っていると思うんです。形を変えて進化してきたからこそ、こうやって現代にも歌舞伎が根付いているはず」


――新規ファン獲得のために次々と新しいことを始めているのだと思っていたのですが、そうではなく、歌舞伎を進化させていくためだったんですね。


「これまでのお客さんも大事だけども、今後大事になってくるのは、僕らより下の世代のお客さん。そういう若い人に興味を持ってもらおうとなると、歌舞伎の進化が結局、集客にもつながるわけなんです。


僕は、進化っていうのも継承のひとつだと思っているんです。もちろん伝統的な型を踏まえたうえで、その時代を生きる役者がその時代の感覚で新たに作っていくこと、それも立派な継承のひとつ。なにか新しいことをして世の中に興味を持ってもらおうとするということは、賛否両論あるかもしれないけど、そうしないと、下の世代に歌舞伎が浸透していかないんじゃないかな。


今でこそどこの歌舞伎もお客さんが入っていますけど、きつい時期もあったんです。そういう時期をまた生まないために、歌舞伎の危機を生まないために、今のうちから『このままじゃダメなんだ』というつもりで全員取り組んでないと、またいつか痛い目にあうと思うんですよね」


――歌舞伎を進化させるために、今はミュージカルやバラエティにも出演して、引き出しを増やしておくということですか?


「現時点では直接的にどう活かせるかわからないし、個人的に興味があってやっていることもありますが、いつか僕ら若手が歌舞伎界を引っ張ってかなきゃいけない立場になったときに、そういった経験が活きてきたらなと思います」


――歌舞伎の進化の形として、松也さんが理想とするものは?


「シェイクスピアとか戯曲を歌舞伎に置き換えたこともあるし、今古典としてある演目も、実はもとが最近できた落語のひとつだったりするんです。僕たちもいい作品があったら、『あ、これ歌舞伎にしてみたら面白いんじゃないかな』って目で見ちゃいます。そうやっていつも頭のどこかに歌舞伎を置きながら、どんどんどんどんアンテナを広げていって、ゆくゆくは、僕たちの世代で作った新作が未来で古典となれば。それが理想です」



☆「新春浅草歌舞伎」は、2015年1月2日~26日に浅草公会堂にて上演。尾上松也をはじめ、坂東巳之助、中村歌昇、といった20代の若手歌舞伎俳優が集結する。松也は、「仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)」五段目・六段目の早野勘平などを演じる。


☆12月7日(日)放送のトーク番組「ウチくる!?」(フジテレビ系)にて、尾上松也が出演。
歌舞伎俳優としての想いや最近の活動についての話、さらに気が置けない友人から次々と暴露される赤面必至な話など、そのプライベートの素顔にも注目。
・MC:中山秀征&中川翔子
・毎週日曜日12:00~13:00


◆尾上松也(おのえ・まつや)
1985年1月30日生まれ、東京都出身。父は6代目尾上松助。1990年、「伽羅先代萩」の鶴千代役で、2代目尾上松也として初舞台を踏む。2009年より歌舞伎自主公演「挑む」を毎年主催。歌舞伎のほかにも来年放送のドラマ「永遠の0」(TX系)景浦介山 役やミュージカル「スリル・ミー」私役、さらに今年11月より「メレンゲの気持ち」(日本テレビ系)で男性初のMCメンバーを務めるなどさまざまな分野で活躍する。
座右の銘は、「継続は力なり」。


(取材・文/原田美紗@HEW


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