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大宮エリーは、無垢で謎多き女性だ。生演奏のもと大宮が即興で言葉をつむぎ出す、一夜限りのセッションイベント「物語の生まれる場所 at 銀河劇場(東京・天王洲 12月13日開催)」の演出のほか、ミュージックビデオの監督を務め、個展を開き、エッセイを連載するなどその活動は多岐にわたる。また、"迷"エッセイを収録した著書「なんとか生きてますッ」でも明かしているように、記憶がなくなるほどお酒におぼれ、路上で眠っていたところをちょうど通りがかった斉藤和義に助けられるという逸話を持ち、さらには南こうせつ、ムッシュかまやつ、おすぎ......と交友関係は幅広く、みな彼女の魅力にひきこまれていく。


得体が知れないけれども、なぜか憎めない。人の懐(ふところ)に飛び込む天才・大宮エリーの正体とは? 彼女を形作る"出会い"のヒミツを明かしてくれた。


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作・演出を手がけるセッションイベント「物語の生まれる場所 at 銀河劇場」が12月13日(土)に開催。


――映画監督、演出家、ラジオDJ、作家、コピーライター。いろいろな活動をされていますが、ご自身としてメインの肩書は?


「自分では全然どれでもないというかどれにもなってないという感じです。『マルチに活動』とか言われるの本当に恥ずかしいんですよ。いただいた仕事をありがたく全部やっていたら、たまたま肩書がそうなっちゃっただけで」


■お笑いタレント、俳優 板尾創路との出会い


――エリーさんは交友関係が広いですが、そのなかでも板尾創路さんは特別な存在とお聞きしましたが?(大宮と板尾は「橋田壽賀子と泉ピン子のように作品を出していこう」とタッグを組んでいる)。


「私が出会った頃は、板尾さんって名脇役みたいな立場だったんです。でも、私はテレビで初めて見たときから、板尾さんに高倉健を感じたんですよね。こんな男前な人いない! 板尾さんを主役で絶対撮りたい! って強く思いました。


その後、PV撮影の仕事がきたので、板尾さんでいきたい! とよしもとさんへ直談判しました。けれど提示したギャラが低くて......、スタッフさんに驚かれちゃった。諦めていたら、後から『本人が面白がってるからやります』って連絡がきてね。それが出会い。
まぁその撮影、板尾さんがキレやすい女の夫役で、ひたすらビンタされるっていうひどい撮影現場だったんですけど(笑)。それでもPVが完成したら、板尾さんが『嫁に見せたら嫁がめっちゃ褒めてくれてうれしかった』って言ってくれて。しかもご家族に出演作を見せるのは初めてだったそうで、うれしかったな。
芸能人と言われる方で初めて私のことを食事に誘ってくれたのが板尾さんなんです。付き合いはもう8年くらいになるのかな。長いですねぇ」


■アーティスト 斉藤和義との出会い


――斉藤和義さんには、出会ってすぐにお仕事を依頼されたんですよね?


「斉藤さんは、たまたま私の連載を読んで、『面白い女だな』と思ってくれてたんです。そしたら偶然、友だちの集まりでお会いすることができて、『今度飲みに行きましょう』って連絡先交換。ある日、『あ、今日飲みに行けんじゃん』って斉藤さんに連絡したら、答えが『じゃあ仙台でライブやってるから来て』。そこからダッシュで東京駅行って、仙台にライブ見に行って、朝まで飲みました。


で、その飲みの場で突然、『今度自分が大阪城で弾き語りライブをやるから、演出してほしい』って頼まれたんですよ。私も、斉藤さんの事務所のスタッフさんもビックリしてた。そもそも斉藤さん、私の作品ちゃんと見たことないし。


でも、そこで斉藤さんが、『見てないけど大体わかる』って言ってくれたのが本当にかっこよかった。それで、ライブの演出とかしたことないけど、もしやることになったら絶対にやろう、すごく頑張ろうとやる気が出た。その後、斉藤さんがいろんな人を説得して、正式に私にオファーをくれたんです」


――なんだか少年漫画のようなアツイお話ですね。


「いやいや、そんなことない(笑)。斉藤さんからのお題が、『俺は演技しないけど、映画みたいにして』っていうの。『どういう映画がいいんですか?』って聞いても、『それはエリーが考えてよ』って言われて、『えぇっ?』って。結局、斉藤和義が曲に向かう姿勢みたいのが表わせたらいいなと思って、ステージ上にいろんなセットを4セットくらい組みました。斉藤さんがそのセットを行き来して、さらに映像で、その場を夕焼けや雨にしてみせることで、"365日いろんなところで歌に向きあってる人"みたいになるだろうと」


■仕事への姿勢 出会いをつなげるコミュニケーション術


――お話を聞いていると、かなりむちゃぶりに応えるタイプのようですね。


「むちゃぶりに応えてきて今があるって感じですかね」


――依頼は基本断らない姿勢ですか?


「最初はまず断りますよ。『もっと適任いますよ』って伝えるんだけど、『エリーに頼むと、どうなるか読めないから是非やってみたい』って言われると、『じゃあやらせてもらおう』みたいに思っちゃう。


私は、自分の表現したいものをどうしても作りたいっていうタチじゃなくて、まずお客さんがいて、お客さんはどんなものがほしいのかなって聞いて、それに応えるのが好きって感じですね。」


――人と出会って、その人からオーダーをもらうことでまた自分が広がっていく......という感じでしょうか?


「あぁー、そうですね。うまいこと言いますね。人との出会いが自分のターニングポイントになってるんです。いろんな依頼を受けてるうちに、最終的にはなにやってるかわかんないですよね(笑)」


――エリーさんがコミュニケーションのうえで心がけていることとは?


「例えるならラーメン屋の大将は、話しやすい相手だと思うんですよ。だって気さくだけど、私のことなにも興味ないじゃないですか。そういう"好意はあるけど興味はない"って状態が一番いいと私は思いますよ。『いつもどうしてるんですか?』とか好意があって興味もあると重い。そういう"好意はあるけど......"みたいな温度の人が私は好きだし、自分もそうでありたいなと思っています。


あとは、『人とうまくしゃべれない』っていう悩みに対して、よくアドバイスするのが『自分が喋らないと相手に迷惑がかかると思ってみて』ってこと。自分がしゃべらないと相手はもっとしゃべりづらいし、自分が恥ずかしそうにしてると相手はもっと恥ずかしい気持ちになっちゃう。そう考えてみると、つまらないことでもなんでもしゃべってみようと思えないかなって。本当になんでもいいんですよ。『服かわいいですね』とか見たものそのまま言えば」


――そういうささいな会話から、ターニングポイントとなるような出会いが生まれるんですね。


「本当にそうですよ。私は確かにいろんな知り合いがいるかもしれませんけど、○○会社のなになにさんっていうよりは、友達のなになにさんが、たまたま○○会社だったっていうだけ。いろんな人と仲良くなりたいなんて気負わずに、自分が楽な人と付き合っていければいいんじゃないかなぁ。結局、一緒に仕事をするうえで大事になってくるのって、相手の能力よりも"そこに愛があるか"なんだと思いますよ」
・・・・・・・・・・・


人づきあいでは、「"好意はあるけど興味はない"適度な距離を保つこと」「ステータスや能力は関係なく"そこに愛があるか" に尽きる」と語ったエリーさん。分け隔てなく人と交流し何事にも真摯に取り組む彼女は、今後も人との出会いがターニングポイントとなり、さらに活躍の場を広げていくだろう。



★作・演出を手がけるセッションイベント「物語の生まれる場所 at 銀河劇場」が、12月13日(土)に東京・天王洲 銀河劇場で開催。おおはた雄一らミュージシャンによる生演奏のもと大宮が書き下ろしの物語を朗読したり、漫談やバイオリンも披露。音楽とことばの即興が観客の前で生まれる、一夜限りのものがたり。演奏から思いついた物語や観客からお題をもらってつくる物語など、その場で物語が生まれ、心をときほぐすリラックス空間を会場全体に届ける。


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大宮エリー(おおみや・えりー)
1975年11月21日生まれ、大阪府出身。広告代理店勤務を経て、2006年に独立。スピッツやケツメイシ、MISIAなどさまざまなアーティストのMVを撮影し、映画『海でのはなし。』で映画監督デビュー。ドラマや舞台の脚本・演出も手がけている。『生きるコント』など著作も多数。
座右の銘は、「私にはそれ以外のことはないので、『正直に、誠実に』」。


(取材・文/原田美紗@HEW


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表舞台を飾る「演者・アーティスト」、裏を支える「クリエイター、製作者」、これから輝く「未来のエンタメ人」。 それぞれの立場にスポットをあてたコーナー<視線の先>を展開。インタビューを通して、"情報"にとどまらない「エンタメの真髄」に迫り、読者の皆様にお届けいたします。

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