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今年春から『人志松本のすべらない話 プレミアムライブ』ツアーが始動、12月17日にはこのライブの模様を収録したDVDが発売......と、放送10周年を迎えて、さらなる快進撃を続ける『人志松本のすべらない話』。実力派芸人が一堂に会し、日常の中で見聞きした笑える話="すべらない話"をひたすらしゃべりまくるというこの番組で、ほのぼのとしながらも強烈なインパクトを残す爆笑エピソードの数々を披露しているのが、ベテラン漫才コンビ「矢野・兵動」の兵動大樹だ。ソロトークライブ『兵動大樹のおしゃべり大好き。』も好評の"一人しゃべりの達人"が語る、すべらない話の極意とは――?

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写真:トレンドニュース


■『すべらない話』をきっかけに、人生がぐるり~んと変わった

――『人志松本のすべらない話』10周年を迎えて

「思えば、その10年のうち、僕は7年くらい出させてもらってるんです。こんなすごい番組の末席に加えていただいているっていうのは、もう感謝の一言しかないです。いやほんまに、この番組に出させてもらって以来、仕事も一気に増えて。人生がぐるり~んと変わりましたからね」

――今回DVD化される『プレミアムライブ』尼崎公演、札幌公演に出演されていますね。

「実は最初、若干不安もあったんです。『すべらない話』って本来、密室でしゃべってる感じが面白いわけでしょ。それが果たして、お客さんの前で成立するんかなって。ところが、いざやってみたら......やっぱり面白いんですよねぇ(笑)。尼崎も札幌も、あったかい雰囲気のお客さんばかりで、素晴らしい空間でした。放送できないようなアブない話がどんどん飛び出すのも面白かったですね。
あと、札幌のときは僕、一人で本番前に近くを散歩して、通りすがりの人と世間話をしたりして、それも楽しかったです。『これから(宮川)大輔さんのライブに行くんです』って言うてた女の子がいて、ちょっとショックでしたけどね、『そのライブ、俺も出るんやけどなぁ』って(笑)。でも、そんなふうに地元の人とふれあえるのも、ライブツアーの醍醐味(だいごみ)なのかなと」

――7年前、初めて出演されたときのことは覚えてらっしゃいますか?

「ええ、もちろん。とにかく、めっちゃ緊張しましたね。それからも、しばらくは『すべらない話』に出演が決まるたびに、ものすごいプレッシャーを感じてました。お話をいただいてから本番当日まで、毎日憂うつでね。最近ようやく緊張しなくなってきましたけど」

――それは何かきっかけがあったんですか?

「考えてみたら、あこがれの松本(人志)さんに自分がおもろいと思う話を聞いてもらえるっていうのは、ものすごく幸せなことやなって。そう思ったら、よけいな緊張感はなくなりましたね」

■兵動流・「おもろいこと」の見つけ方

――『すべらない話』の収録に臨むにあたって、どんな準備をされているのでしょうか。

「毎回、頭の中に5、6個の話を用意しておく。それだけです。大輔みたいに、ネタ帳を手元に置いておくこともなく(笑)」

――日頃から、何か面白い出来事はないかと街を徘徊(はいかい)しているんですか?

「(笑)。いや、いつもだいたい、おもろいことが向こうからやってくるんですよ。ほんまに僕、日本一トラブルに巻き込まれやすい男なんで(笑)。ただ、確かに、自分から進んで面白いところへ飛び込んでいくこともありますよ。」

「この間も、おもろいことがあってね......、立ち食いうどん屋さんに入って、肉うどんの券を買うたんです。で、おなかが減ってたから、追加で肉のトッピングの券を買うて。それでも足りひんと思って、さらにもう1枚、肉のトッピングを買うたんです。つまり、『肉うどん』1枚と『肉』2枚と、食券が3枚になったわけですね。ほんで、店のおばちゃんにその3枚を渡したら、急に神妙な顔になって、僕の前に券を1枚ずつ並べていくんですよ、必殺仕事人の小判みたいに『肉うどん、肉、肉......』って。で、最後、僕をキッとにらんで言うた一言が、『あんた、死ぬで!』って(笑)。栄養が偏りすぎや、言うて怒られたんです。さすが大阪のおばちゃんやなぁ、思うたんですけど。でもね、僕も『肉うどん』『肉』『肉』と買うてる時点で、どっかで、おばちゃんのおもろいリアクションを期待してるんですよね」

――なるほど。面白い出来事を引き寄せるために、自分から誘い水をまくこともあると。

「そうです、そうです。僕も決して正常な人間ではないんで(笑)」

■話芸の天才が、下ネタをしゃべらないそのワケは?

――話し方について何か気をつけていることは?

「しゃべりのテクニックみたいなことは、あんまり意識していないんですよ。それよりも、見てくれる方々にいかに笑ってもらうか、そこに徹してます。そうすると一番大事なのは、とにかく一生懸命しゃべるっていうこと。自分の話はすべらないんだと信じて、ひたすら一生懸命しゃべる、という。この番組は、個人個人の戦いなんで」

――『すべらない話』は、チームプレーではなく、個人プレーの場である、と。

「そう思いますね。『すべらない話をする』という目指すゴールはみんな一緒なんですけど、そのゴールの決め方が、メンバーそれぞれ違うんで。とはいえ、各々の役割とかキャラクターがあるっていう意味では、"一座"感みたいなものはあると思いますけど」

――では、その一座の中で、ほかのメンバーが持っていない、兵動さんの武器は?

「"もっちゃり"しているところ、ですかね(笑)。褒められたことではないのかもしれませんけど、そこがほかのみなさんにはない、自分の持ち味なんかなと。言うたら、きれいなマカロンがいっぱい並んでるなかに、いなり寿司が1個混ざってる、みたいな(笑)」

――でも確かに、老若男女が理屈抜きに笑ってしまう兵動さんのお話は、おしゃれなマカロンというより、昔ながらのいなり寿司に似ているのかも......。

「あっ、そうですね。僕の話は、家族団らんで聞いてもらいたいというか、オヤジもオカンも、息子も娘も、じいさんもばあさんも、全員に笑ってもらいたい、というのはわりと意識してるんで」

――その意味では、兵動さんの話は、下ネタも少ないですよね。

「そうなんですよ。実は下ネタもしゃべりたいんですけどね、周りのみんなが『やめとけ』って。ウ○コとかの下ネタはいいけど(笑)、女性絡みの下ネタは、どうも僕には似合わないみたいで。
そう言えば、この前、ウーマンラッシュアワーの村本(大輔)にそのあたりをちょっと相談したんですよ。村本って、ゲスい下ネタもガンガン言うし、Twitterが炎上しても全然めげないでしょ? 僕もそういう鉄のハートが欲しいなと思って、『俺が一皮むけるにはどうしたらええと思う?』って聞いたんですね。そしたら、『兄さんは隙がなさすぎる。まず、ファンに手を出してください』って言われて(笑)。こいつ頭おかしいなと思うたんですけどね」

■『すべらない話』は、芸人としての日々の生きざまを見せる場所

――(笑)。でも実際、番組では何度もMVS(※「Most Valuableすべらない話」。その回で最も面白かった話に贈られる)を獲得されていますよね。

「ええ、ほんまにありがたいですね。ただ、MVSをいただけなくても毎回、達成感はありますんで。収録が終わったときの解放感は、たまらなく気持ちいいですから。まぁでも、『すべらない話』の一番の至福の瞬間は、松本さんから『すべらんなぁ~』って言ってもらうときですかね(笑)。ほんま、僕にとって松本さんは"笑神(わらいがみ)"ですから」

――では最後に、ずばり、兵動さんにとって『すべらない話』とは?

「僕はずっと、『おしゃべり大好き。』という一人しゃべりのライブをやってまして、これは僕のライフワークなんですね。一人で2時間しゃべり続けるライブっていうのは、めちゃめちゃ緊張するし、しんどい作業なんやけど、芸人として絶対にやり続けなければいけないことやと思っていて。で、それを踏まえて言うと、『すべらない話』というのは、自分が芸人として日々どんなふうに生きているのかを、半年に一回、発表する場だと思うんです。普段、怠けてぼーっと生きてたら、すべらない話のネタも尽きてしまうわけやから。これからも常に、しっかりと笑いに取り組んでいきたいと思いますね」
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「いつか、すごい漫才ができるようになるためにも、まずは一人しゃべりを極めたいんですよねぇ......」。インタビューの最後に、"浪速のエビス顔芸人"というキャッチフレーズにふさわしい満面の笑みを浮かべながら、そうつぶやいた兵動大樹。しかし、その優しいまなざしの奥には、鋭く熱のこもった意志の光が宿っていた、ような気がした。

☆ 12月17日(水)、DVD『人志松本のすべらない話 プレミアムライブ』がリリース。尼崎公演(4月29日開催)、札幌公演(7月13日開催)、東京公演(8月9日開催)を収録し、東京公演ではパブリックビューイングも開催された、まさに"プレミアムライブ"とあって、ファンならずとも見たい1枚。また、今回のインタビューを公開&プレミアムライブ 兵動大樹(矢野・兵動)のすべらない話「狭い道」を18日よりGYAO!にて動画公開。
さらに兵動大樹が、たった一人で舞台に立ち、ただただ"おもろい話"を語り尽くすトークライブ『兵動大樹のおしゃべり大好き。』が、東京・明治座に進出。クリスマスイブの夜を、笑って過ごしたい方にオススメ。(明治座=12月24日(水))

■プロフィール
兵動大樹(ひょうどう・だいき)
1970年7月24日生まれ、大阪府出身。1990年、NSC(吉本総合芸能学院)大阪校の同期生(第9期)矢野勝也と、漫才コンビ「矢野・兵動」を結成。以降、大阪を拠点に、実力派漫才師としてテレビ、舞台などで活躍。『モモコのOH!ソレ!み~よ!』(関西テレビ)、『兵動大樹のほわ~っとエエ感じ。』(ABCラジオ)などにレギュラー出演中。

(取材・文:泉英一)



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