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――「カリカチュア」と呼ばれる、一風変わった似顔絵をご存じだろうか。カリカチュアとは、「似顔絵」のジャンルのなかでも外見や内面の個性をデフォルメして表現したユニークなタッチのもののこと。雑誌の表紙や音楽・映像ソフトのジャケットなどで見たことがある人も多いだろう。

アメリカでカリカチュアと出会い、帰国後は日本でカリカチュアの会社を立ち上げてしまった人物がいる。それがカリカチュア・ジャパン株式会社の代表で自身も世界的なアーティストであるKage氏。カリカチュアをエンターテインメントの1ジャンルに定着させたいというKage氏に、絵が持つ力と、自身の夢について聞いた。

サムネイル

(GYAO! トークバラエティ「ぶるぺん」出演 Kageさん)
写真:トレンドニュース


■アメリカではエンターテインメントとして認知されている

発祥はイタリアといわれていますが、エンターテインメントとしてのカリカチュアの主流はアメリカ。僕が出会ったのはラスベガスなんですが、テーマパークやイベント、パーティなど身近にカリカチュアがある。音楽の生演奏があって、いかにも美味しそうな食事があって、マジシャンがいて、クラウンがいて、バルーンアーティストやカリカチュアのアーティストがいて。それぞれがパフォーマンスをしながら人々を楽しませている光景をよく目にしました。

一方で、雑誌の挿絵などのイラストにもよく使われます。カリカチュアには風刺画のイメージを持っている人もいると思いますが、大きくイラスト系とエンターテインメント系に分かれるんですね。いずれもアメリカが大変盛ん。私はどちらも好きですが、パーティ等で描くライブスケッチが特に好きです。

■絵描きが食べていける社会を作りたい

一方、日本では「カリカチュア」という言葉など、全く知られていませんでした。日本のテーマパークやアミューズメント施設を見て回り、可能性を感じたため、帰国して会社を立ち上げました。ですが当然、最初からうまくいくわけがありません。でも帰国して3カ月目に1号店をオープンしたんですよ。今考えても当時は結構、営業を頑張りました(笑)。

日本には絵描きを志す人たちがたくさんいます。彼らの多くはとても純粋で、真面目で、上手です。その子たちが夢を見つけて、追いかけて、かなえていける環境と機会をつくりたい、という一心で今日までやってきました。「カリカチュアを通じて1人でも多くの人と出会い、1つでも多くの幸せを創っていきたい」というのがうちの理念なのですが、おかげ様で現在は全国に22店舗を構えることができました。店舗と併せてスクールもやっていますが、そこでは初心者の体験コースからプロ養成コースまで行っています。

カリカチュアには世界大会というものがあります。日本人の優勝者は私を含め6人いるのですが、そのうち3人はカリカチュア・ジャパンの子たちで、あとの2人はうちから独立した子たちなんです。実はこの分野において日本人は強いんですよ。そういう可能性を持った子たちが日本にはたくさんいます。絵で1人でも多くの人を幸せにすること。そして絵で食べていける社会を日本につくること。それが私の夢です。

■被災地で描いた未来へのお守り

3.11の震災は、ひとつの大きな転機になりました。震災直後、帰宅困難となった仲間たちが浅草の本店に集まったんです。これからどうするかを議論していた時、一人の入社したての女の子がこう言いました。「Kageさん、私お店を開けたいです」。他の仲間たちも、ならば私も、僕もとなった。私たちは注意しながらお店を開けました。すると、普段と変わらないほどお客さんが来てくれたんです。「不謹慎と言われるかもしれないけれど、よくお店を開けてくれた。僕らにとっての記念日は今日しかないから」というお客様もいたし、なかには「両親が仙台にいて、私も明日仙台に行く。子供と奥さんを残していくけど、何があるかわからないから、家族みんなの絵を描いてほしい」という人も......。そういうお客様が長い時間をかけて来てくれたことで普段と変わらぬ売上が出た。これは僕らにとって大きな自信になりました。

以降、毎月のように被災地や避難所に行きました。現地に着くと、小さな写真を持った人たちが行列を作って待っていてくれて......。こちらも予定の1時間前から描き始めて、1時間延長して描きました。その持ってきてくださった一枚一枚の写真というのが、本当に小さい写真の切れ端を集めたもので......。写真もほとんど流れてしまったけど、これから未来に向けて生きていくため、楽しい過去があったということを励みに、お守りにしたいと。カリカチュアは、見た目の外見だけでなく、性格的な内面なども見ながら雰囲気を捉え、その人自身をユニークに表現するもの。お客様が泣いて笑って喜んでくださったとき、こんな時代だからこそ、人が人にありがとうと伝えることや、人に喜びや感動を与えるものが必要なんだ、と決意を新たにしました。

――最後に今後の目標をKage氏にたずねたところ、「真のプロフェッショナルを育成する専門学校を作りたい」という答えが返ってきた。現在の日本における美大や専門学校の就職率は3割ほど。今後はもっと多くの受け皿を作るべく全国100店舗を目標とし、就職率70%を超える学校を作ることが目標だそうだ。「笑われるかもしれませんが、私は本気で今回の人生をそれに懸けたいと思っています」と熱く語るKage氏には、似顔絵でつくる"幸福"の形が見えているに違いない。

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Kage(カゲ)
カリカチュア・ジャパン代表取締役兼代表アーティスト。約6年のアメリカ滞在を経てカリカチュア・ジャパンを起業。2005年欧州大会、2006年英国大会、2007年世界大会など優勝歴多数。2007年『Newsweek』誌が選ぶ「世界が尊敬する日本人100」に選出。
「座右の銘は持ちませんが、自分自身が大切にし社員や学生に伝えていることを一言にまとめると、『Draw Your Dream And Share With Others』です。自分の夢を信じて、自分の可能性を信じて、それを他と共有することで、その夢は実現し、その可能性は拓く。そういう考えです」

(取材・文/大木信景@HEW

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>> Kageが出演する、GYAO配信番組「ぶるぺん」

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特徴のない人の似顔絵を書くコツとは ぶるぺん



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