ここから本文です

90年代にZEEBRA、DJ OASISとキングギドラを結成し、日本のヒップホップ・シーンを牽(けん)引してきたラッパー、K DUB SHINE。政治や社会問題を積極的に取り上げたライムを繰り出し、他グループとの熾烈(しれつ)なバトル(ラップ用語でビーフ)を繰り広げるなど、その硬派な姿勢が若い世代にも圧倒的な指示を得ているカリスマだ。最近はラップデュオ「radio aktive projeqt」や他アーティストのプロデュース、映画サントラ、ソロ名義と多岐にわたる活動を展開している彼が、芸能事務所「ワタナベエンターテインメント」に移籍したという。

さらなる活動分野を開拓し続けるK DUB SHINEに、ラップへの思いや最近の社会情勢、同世代へのメッセージなど大いに語ってもらった。

サムネイル

■2014年で印象に残った出来事

「去年はやっぱり解散総選挙が気になりましたね。特に支持している政党があるわけじゃないんですけど、今の流れはちょっと危険かなとは思います。あんまりこう、一つの政党にワーッと支持が集まるんじゃなくて、それを戒めるカウンターもちゃんと機能していないと、いびつな世の中になっちゃうんじゃないかと少し危惧しています」

――2014年春にリリースした、ライムスター宇多丸さんとのコラボ曲「物騒な発想(まだ斬る)」でも、政治について言及していますね。この曲はかなり物議をかもしたそうですが。

「そう、炎上しましたね。在日韓国人へのヘイトスピーチとか、そういう問題を取り上げたところ、いわゆるネトウヨが反応し2ちゃんねるにもスレが立った。でも、それが宣伝になったので、ネトウヨには本当に『ありがとうございます』っていう気持ちです(笑)。来年は、この曲を含めたニューアルバムを出すんですよ。ソロアルバムを出すのは久々なので、ここ最近いろいろ考えたことを詰め込んだような内容にしたいですね。サラッと軽く聞けるようなモノには絶対ならないはず」

■ようやく土壌に水が染み込んできた

――K DUB SHINEさんは90年代から、日本語ヒップホップの発展に多大なる貢献をしてきたお一人です。現在のヒップホップ・シーンに関してはどのように感じていますか?

「僕らが90年代に切り開いた土壌に、ようやく水が染み込んできた感じですね。今の若いヤツらにとっては、ターンテーブルもスクラッチも、生まれた時から当たり前のように存在しているわけで、そういう連中が作る音楽はやっぱりすごい。ここ数年は震災の影響もあったりして、若い人たちの問題意識も高くなってきていますしね。ただ、『それって全然ヒップホップじゃないじゃん』って思うような音楽を、『これぞヒップホップ!』みたいな形でメディアが紹介しているのをたまに見ると、『ちょっと違うんじゃない?』とは思うかな。まあ、以前よりだいぶ少なくなりましたけどね」

■もともとお笑いにも興味があった

――ところで、ワタナベエンターテインメントへの移籍には驚きました。

「僕は世代的にドリフやひょうきん族などを見て育っているので、お笑いは好きでしたよ。それに、最近の若いお笑い芸人の中には、ヒップホップが好きっていう人も多いみたいで。それこそ、(芸人になる前はラッパーだった)あばれる君とか、(「春日disラップ」をラジオ番組で披露した)オードリーの若林くんとか。

お笑いって、言葉の使い方やリズム、怒りをエンターテインメントに昇華するところなどラップと似ているところがあるかもしれない。漫才や漫談は、風刺をネタにするしね。一方ラップも、落語に音を乗せて規則性を出しているようなところがあるかもしれない。"5分くらいにまとめた小噺(こばなし)"みたいな」

■同世代に言いたいこと

――K DUB SHINEさんの『オレはオレ』という曲に、「自分が自分であることを誇る そういうヤツが最後に残る」というフレーズがあります。自分であること、自分に正直であることって、とても難しいと思うのですが。

「僕と同世代の人ならわかると思うけど、最近は周りでも自殺する人とか多いんですよ。自分に正直になれず、ごまかしながらこの年まで生きてきて、ちょうど肉体的にも劣化を感じ始め、仕事をしていても自分の限界が見えてくる......。それによって落ち込んじゃう人って、いっぱいいると思うんですよね。もうちょっと肩の力を抜き、自己主張すべきところはお互いに正直にぶつけ合う。そうやってコミュニケーションを取れるような世の中に、少しでもなって欲しい。そのためにヒップホップでできることを、これからも模索していきたいです」

サムネイル

・・・・・
【K DUB SHINEプロフィール】
東京都渋谷区出身。日本語の歌詞と韻(ライム)にこだわったラップスタイルが特徴で、ヒップホップグループ・キングギドラのMCおよびリーダー、radio aktive projeqtのMCを担当。ソロ活動も多数。現在の日本語ラップに多大な貢献をしたMCと呼ばれている。95年、キングギドラとしてアルバム『空からの力』でレコードデビュー。97年、ソロアルバム『現在時刻』を発表。06年、DJ OASISと共にRadio Aktive Project(後にradio aktive projeqtに改名)を始動。他にも映画サントラやプロデュースなど多岐にわたる活動を展開。14年にはライムスターの宇多丸とのコラボ曲「物騒な発想(まだ斬る)」をリリースした。
座右の銘は、「自分が自分であることを誇る そういうヤツが最後に残る」

(取材・文/黒田隆憲@HEW
写真:トレンドニュース

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
>> K DUB SHINEが出演する、GYAO配信番組「ぶるぺん」

レジェンドラッパーが語る日本のHIPHOP(01:48)>>



日本のHIPHOPシーンに大きな変化が!(02:00)>>


その他の出演番組>>
・HIPHOPのディスの起源とは?
・レジェンドラッパーが教えるラップ講座
・レジェンドラッパーがDJポリスに物申す

トレンドニュース「視線の先」 ~築く・創る・輝く~
エンタメ業界を担う人が見ている"視線の先=考え、狙い、戦略"を一緒に見たい。

表舞台を飾る「演者・アーティスト」、裏を支える「クリエイター、製作者」、これから輝く「未来のエンタメ人」。それぞれの立場にスポットをあてたコーナー<視線の先>を展開。インタビューを通して、"情報"にとどまらない「エンタメの真髄」に迫り、読者の皆様にお届けいたします。

Facebookコメント
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対してヤフー株式会社は一切の責任を負いません。
PR

最新記事

rss

もっと見る

本文はここまでです このページの先頭へ