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 父親の十八世 中村勘三郎さんをはじめ、偉大な先人たちが天国へと旅立つ中、歌舞伎界を牽引(けんいん)する存在として注目を集めている歌舞伎俳優・中村勘九郎。プライベートでは2児のパパでもあるわけだが、その子育てには自身が幼い日に憧れた"英雄"の背中が色濃く影響しているという――。

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3月22日(日)放送の「ウチくる!?」(フジテレビ系)にて、歌舞伎俳優・中村勘九郎が出演


2011年に長男・七緒八くん、2013年に次男・哲之くんが誕生し、現在2児のパパでもある勘九郎。「男って負けず嫌いだから、子供が着替えないでパジャマ姿のままグズグズしている時は『俺の方が早く着替えられるぞ』なんて言って、彼らにわざと吹っかける。そうすると向こうの闘争心にも火がつくので、早く着替えてくれる」と、父親としての日常を優しいまなざしで語る。

現在4歳の七緒八くんは、そんな父親の背中をしっかりと見ているようで、「今朝もそうでしたけど、遊ぶことといったら冗談抜きに"芝居ごっこ"なんです。立ち回りに欠かせない刀が好きで、その刀をサヤの部分に差して薙刀(なぎなた)にすると、今度は船弁慶の演目が始まる。一緒に遊ぶ時に僕がちょっとでも違う動きをしようものなら、『違うよ!』とダメ出しもされますから」と、自然な形で歌舞伎が生活に取り込まれている。
しかも、たった1歳の哲之くんも「輪をかけて芝居好き」というから、まさに幼少期の勘九郎&七之助兄弟そのままだ。

現代の子供たちの例にもれず『妖怪ウォッチ』にもハマっているそうだが、ここにも"歌舞伎スピリット"の片鱗(へんりん)が......。

「上の子は『妖怪ウォッチ』を見ているのですが、刀を持っている妖怪にしか興味がないんです。ジバニャンのご先祖様でブシニャンというのがいるんですが、刀を持っているから好きなんですって。彼のカッコイイの基準は"刀"なんです。でも刀を持っている妖怪って地味なのしかいなくて......。その名もジミーとかね」と、笑顔を浮かべる。

自宅で勘九郎が稽古のために歌舞伎のDVDを見ていると、その横には七緒八くんの姿があるという。こんなこともあった。

「彼は、僕がやられる役が嫌いなんです。いざ僕が刺される場面になると『(場面を)飛ばして!』と言うんです。その理由を聞いたら『お父ちゃまが負けるのは嫌だ』って......。もうね、かわいい。『いいやつだ、よしよし!』という感じですよ」と、うれしそうに目じりを下げる。

「父親が一番のヒーロー」という気持ちは、勘九郎自身がよく分かるという。
思い出されるのは、12年末に急逝した父である勘三郎さんの生きざまだ。

「とにかく楽しいと思えるような人生を歩んだ人。すべてに対して真剣に向き合って、真剣に怒って、真剣に泣いて、真剣に笑う。そこにうそはないんです。愛のある人でした」と振り返りながら「子供の頃は父親が英雄だったし、その姿に憧れて芝居をやりたいと思いましたから」と、改めて自らのルーツを意識する。

「自分の父親のようには、まだまだかもしれないけれど」と謙遜する勘九郎だが「子供たちにカッコいい背中を見せられるようにしたい」と、歌舞伎俳優とはまた別の、良き父親としての継承も誓った。

(取材・文/石井隼人)

☆全国12カ所24公演を行う「中村勘九郎・中村七之助 新緑特別公演2015」が5月14日からスタート。先祖代々から受け継がれてきた中村屋ゆかりの演目「仇ゆめ」をお披露目する。勘九郎は「祖父や父親が演じてきたものを初めてやるわけですが、実に中村屋らしい中村屋ならではの演目です。技術うんぬんではなく、自分のなかからにじみ出るようなチャーミングさを持って務めなければならない」と、大役に意気込んでいる。

☆3月22日放送のフジテレビ系「ウチくる!?」(日曜午後12:00)に出演。赤坂にあるジンギスカン屋では、自ら率先してラム肉を焼いて振る舞うなど"七輪奉行"ぶりを発揮する一幕も。次々に明かされる秘蔵映像に赤面した勘九郎は「この番組の面白いところは、過去の映像を見せられてしまうところ。そっとしておいてほしいものを掘り出して、とんでもない映像もあったりして......冷や汗ものですよ」と、収録を振り返っている。

中村勘九郎(なかむら・かんくろう)
1981年10月31日、東京都出身。十八世 中村勘三郎の長男として誕生。1986年1月の歌舞伎座『盛綱陣屋』の小三郎で初お目見得。1987年1月には『門出二人桃太郎』の兄の桃太郎で二代目中村勘太郎を名乗り初舞台。2012年2月に新橋演舞場『土蜘蛛』僧智籌実は土蜘の精、『春興鏡獅子』の小姓弥生後に獅子の精などで六代目・中村勘九郎を襲名した。

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