ここから本文です

「CDが売れない」と言われるようになって久しく、レコード会社も従来のマーケティングやリリース展開などを、根本から見直すことが求められつつある。そうした中、シーンに風穴を開けるべく新たなレーベル「コネクトーン」を立ち上げたのが高木亮氏だ。「コネクト+トーン=つなげる音楽、つながる音楽」をコンセプトに、既存のフォーマットや慣例にとらわれない活動を目指すというコネクトーンからは、期待の新人バンドAwesome City Clubや、日本ヒップホップ界のカリスマRHYMESTERらの音源リリースもすでに決定しており、今後大きな話題を集めることは必至。「圧倒的なオリジナリティ」を持つアーティストを発掘し、「音楽の素晴らしさ」をともに伝えていきたいという高木氏。その意気込みや展望について語ってもらった。

サムネイル

ビクターエンタテインメント 制作本部 CONNECTONEレーベル長 高木 亮氏


■理想は『レーベル買い』、音楽好きから信頼される音楽集団になる

ーーコネクトーン・レーベル立ち上げの経緯は?

「ともするとレコード会社は"負け組"扱いされています。"逆境を打開するビジネスモデルもなく、ずうたいばかりでかくて、この先どうするのか?"と。私は人生の中で、常に『逆張り』を大事にしているのですが、こうした逆風が強く吹いているときだからこそ、"レーベル・カラー"というものを強く打ち出していきたい。万人受けはしなくとも、強く共鳴してくれる人も少なからずいるはずで、そこを繋げていけば、血の濃いヴァイブレーションが起きるのではないか、という思いからコネクトーン・レーベルの立ち上げに至りました」

ーー既存のフォーマットではない、型破りな活動を目指すということですが。

「自分自身の反省も含めてですが、レコード会社というのは今までアーティストのことを作品ベースだけで考えてきた節があります。例えば年に2枚のシングル、1枚のアルバムを出すとなったとき、リリース前後の数カ月は一生懸命、でもそれ以外はアーティストにノータッチという傾向もあった。それでもビジネスとして成り立っていたわけですが、今後はそういうわけにはいかない。365日、24時間アーティストの成長を考えていく必要があります。「アーティストの全体像を常に意識し、その成長プロセスを継続的に考える」ということをコネクトーンの基本姿勢としたいと考えています」

ーーコネクトーンがアーティストにもとめる「圧倒的なオリジナリティ」とは?

「これから先、二番煎じや三番煎じの音楽は通用しないんじゃないかと感じています。誰もがいろいろな種類の情報にアクセスできるわけですから、例えばAという音楽形態があって、これまではA'やA''もビジネスになっていましたが、今は誰もがBやCと他の選択肢をチョイスできますよね。となると、ある程度インパクトのある音楽、アーティストを提供しないと、お客さんは1円たりとも落としてくれないと感じています。そういう意味でのオリジナリティ、最初に申しあげたような『逆張り』ということは意識しています」

ーーつまり、オルタナティヴであるということ?

「まさにそうです。例えばラフ・トレードや4AD、クリエイション、ヴァージンなど、歴史を作ってきた個性的なレーベルに共通しているのは、ちゃんとコアなファンを持ち『レーベル買い』をさせていたということだと思うんです。この時代だからこそ、われわれもそこを目指したい。
さきほどのオルタナティヴということでいえば、似たようなアーティストを抱えていてもダメです。何か雑多なことをやっているけど、煮えたぎるものを感じる、そんなレーベルの姿をイメージしています。『ああ、コネクトーンは次こんな新人を出して来るんだ!』と、常に新鮮な驚きを与えられるようになりたいし、アマチュア・ミュージシャンが契約したいと憧れるような音楽集団を作っていきたいと思っています。」

ーーとなると、レーベルのオーナーの哲学が大事になってくるのではないでしょうか。

「哲学、とまで大げさではないですが(笑)、『音楽ってすごいんだよ、音楽はかけがえのないものだよ』っていうことは伝えていきたい。自分自身が音楽によって人生を変えられたから、『あなたの人生を変えるだけの力を、音楽は持っているんだよ』っていうことを伝えていきたいですね」

■現在、リリースが決まっているアーティストは

サムネイル
Awesome City Club、2015年4月8日(水)1st Album「Awesome City Tracks」リリース


Awesome City Club 1st Album「Awesome City Tracks」リード曲「4月のマーチ」>>


「コネクトーンの契約第一弾アーティストは、Awesome City Club。2013年の結成からこれまで、CDを一切リリースせずSOUNDCLOUDやYouTubeだけで音楽を発表してきました。Awesome("素晴らしい""とんでもない")というバンド名の通り、彼らとならAwesomeな音楽、Awesomeな体験を、一緒に発信できるんじゃないかとワクワクしています。
音楽的には今年間違いなく盛り上がる「シティ・ポップ」シーンを牽引していまして、例えば『4つ打ちの踊れるロック』のような、いわゆる主流とは真逆なことをやっている。多くの人が新鮮に感じてくれると確信しています。自主企画ライヴ『Awesome Talks』やシングル・リリースの有り方等、Awesomeをキーワードに展開していきたいと思っています」

ーーすでにキャリアのあるRHYMESTERが移籍してくるというのも、大きな注目を集めそうです。

サムネイル
RHYMESTER、2015年5月10日(日)野外フェスティバル『人間交差点 2015』を開催


RHYMESTER「Still Changing」>>


「RHYMESTERは、昨年結成25周年を迎えました。日本のヒップホップシーンの草分け的存在だし、文化人としての活躍でサブカルチャー方面からも非常にリスペクトされています。新レーベルにとって最高のアイコン(=象徴)になってくれると思います。彼らの方も、『どうせ移籍するなら新しいことをやりたい』と思ってくれています。コネクトーン内にstarplayers Recordsという自身のレーベルを立ち上げ、そこからRHYMESTERだけでなくさまざまな音源リリースを計画し、新人開発にも取り組んでいきます」

ーー今後の展望は?

「現在、Awesome City Club以外にも3組の新人と契約しました。それを、今年から来年にかけて世の中に発信していく予定です。どれも音楽には圧倒的な自信を持っていますが、それをちゃんとインパクトのある形で仕掛けていきたいですね。一発ホームランもねらいたいところですが、なにより全員出塁、打率を上げていくことを目指します。アーティストにとって一番幸せなのは、長く続けていくことだと思うんです。一発のヒットで『あの人は今?』みたいになってしまうのではなく、できるだけ長く育てていく。5年間なら5年間、赤字にせずにどこかでちゃんと"帳尻合わせ"できているというのが理想ですね」

(取材・文/黒田隆憲@HEW
(写真:トレンドニュース)
----------------

◆高木亮
早稲田大学商学部を卒業後、1985年に東芝イーエムアイ音楽出版株式会社に入社し、洋楽曲の獲得及びプロモーションに関わる。1993年、東芝イーエムアイ株式会社に入社、洋楽ディレクターとして、ローリング・ストーンズやスマッシング・パンプキンズなど、数多くの海外アーティストを手掛ける。2004年、同社の邦楽部門に異動。執行役員として、邦楽レーベル・ヘッド、社内アーティスト・マネージメント社長、新人開発部門等を兼務。2010年から、レコード会社としては初のロック・フェスとして話題を集めた「EMI ROCKS」を主宰、日本を代表するロック・レーベルとしてのブランドを確立。2014年、ビクターエンタテインメントに入社。現在に至る。

◆Awesome City Club(オーサムシティークラブ)
2013年結成。atagi、PORIN、モリシー、マツザカタクミ、ユキエによる男女混成5人組。2015年、ビクターエンタテインメント内に設立された新レーベル「CONNECTONE(コネクトーン)」の第一弾新人としてデビューが決定。初リリース音源「Lesson」が1月14日より先行配信。4月8日には待望のファーストアルバム「Awesome City Tracks」をリリース予定。

サムネイル
Awesome City Club ファーストアルバム
2015/4/8リリース「Awesome City Tracks」


◆RHYMESTER(ライムスター)
1989年に結成。宇多丸、Mummy-D、DJ JINからなるヒップホップグループ。2001年のメジャー・デビュー以降、「キング・オブ・ステージ」の異名をとり、シーンを牽引。ラジオDJや評論家など文化人としても活躍中の宇多丸を筆頭に、近年ではメンバーのソロ活動も展開。


トレンドニュース「視線の先」 ~築く・創る・輝く~
エンタメ業界を担う人が見ている"視線の先=考え、狙い、戦略"を一緒に見てみたい。
表舞台を飾る「演者・アーティスト」、裏を支える「クリエイター、製作者」、これから輝く「未来のエンタメ人」。それぞれの立場にスポットをあてたコーナー<視線の先>を展開。インタビューを通して、"情報"にとどまらない「エンタメの真髄」に迫り、読者の皆様にお届けいたします。

Facebookコメント
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対してヤフー株式会社は一切の責任を負いません。
PR

最新記事

rss

もっと見る

本文はここまでです このページの先頭へ