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多くの名優を輩出している「無名塾」。その22期生であり近年、名バイプレーヤーとして、ドラマ『半沢直樹』や映画『るろうに剣心"京都大火編" "伝説の最期編"』などオファーが相次ぐ俳優・滝藤賢一。個性的な役柄を嫌みなくこなすキャラクターは、視聴者からの支持はもちろん、多くの製作陣からも熱い信頼を得ている。そんな彼の最新出演作が4月1日から公開される映画『エイプリルフールズ』。無名時代を経て、その才能を大きく花開かせた滝藤に、「怖さがある」という俳優としての現在の立ち位置や、「無名塾」の話などを聞いた。

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4月1日から公開される映画『エイプリルフールズ』出演の俳優・滝藤賢一


■飽きられるのは怖いけど、欲はどんどん深くなる

――監督やキャストからの厚い信頼。呼べば期待に応えてくれるという安心感。当然のことながら仕事は集まる。ここ数年、滝藤の出演作は枚挙にいとまがない。しかも出演作の番手も上がり、注目度はうなぎのぼりだ。

滝藤:確かに取材を受ける機会も増えましたね。でも、今でも「僕なんかにこんなにマスコミの方が集まってもらって申し訳ない」という思いはあります。去年の4月クールは、4本のドラマに出演していたので、さすがに「もういい加減にしろよ、お前出てこなくていいよ」って言われているんだろうなって思っていました(笑)。20代は映像の仕事がほとんどなかったので、当時を思えばぜいたくな悩みですけどね。

名バイプレイヤーと言っていただけることがありますが、まだまだ満足していません。ここで満足したらダメだと思うし、もっと上のステージを経験すれば、今までと違う景色が見えてくるんだと思います。連続ドラマ(「俺のダンディズム」)で主演をさせていただき、見えてきたものもある。やっぱり主演って作品を背負う覚悟が必要だと思います。そういう経験を積み重ねて、役者としての深みを増していきたいですね。誰か、主役で使ってくんねーかな(笑)。

■俳優の原点は「無名塾」。入塾してすぐ「映画スターだぜ」って思った(笑)

――仲代達矢が主催する「無名塾」は「劇団の東大」と称されるほど難関であり、逃げ出す人が多数いる......など厳しさが都市伝説的に語られるほどだ。そこで滝藤は約10年間を過ごした。

滝藤:もともと他の劇団に入ろうと思ったんですが、お金がかかる。「無名塾」はタダでしたから (笑)。でも難関だし受かるとは思っていなかったので、受かった時は「なんてラッキーな人生なんだ、映画スターになれるぜ!」って思いましたよ(笑)。その根拠のない自信は、入塾してすぐ打ち砕かれましたけどね(笑)。都市伝説かどうかは分からないけれど、厳しいことは厳しいですよ。仲代さんはよく「ピアニストは幼い頃から毎日何時間も練習している。でも君たちは20歳になって芝居を始めるんだから、最初の3年間は芝居のことだけを考えなさい」って仰っていました。でも、厳しくて当たり前ですよね。この世界で生きていくわけですから。

■「下積み」や「苦節」を笑い飛ばす意味

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4月1日から公開される映画『エイプリルフールズ』出演の俳優・滝藤賢一


映画『クライマーズ・ハイ』が公開してから、ちょっとずつ仕事を頂けるようになったんです。それからドラマ『半沢直樹』で大きな反響があり、一気に環境が変わりました。苦節何年なんてよく言われますが、そういうのあまりピンと来ないですね。いい俳優になりたいという一心で努力し続けるわけですから。「俳優になってくれ」と誰かに頼まれたわけでもないし(笑)。

■面白いストーリーに立ち向かうプレッシャー

――今回、出演した映画『エイプリルフールズ』の脚本を担当するのは『キサラギ』や『相棒』シリーズ、『リーガル・ハイ』など、ヒット作を世に送り出し続ける古沢良太。キャストも主演の戸田恵梨香、松坂桃李をはじめ、ユースケ・サンタマリア、寺島進、生瀬勝久、古田新太ら個性派ぞろいだ。

滝藤:演じる時の"怖さ"は、「本を読んだ方が面白いじゃん」って(観客から)言われることですよね。この作品は古沢さんワールドが炸裂(さくれつ)している脚本。立ち向かうためには、これだけのキャストが必要なんだと思います。僕は里見浩太朗さんと富司純子さんが乗車するリムジンの運転手役だったのですが、お二人とも百戦錬磨の方なので、僕が何をしようが、まったく動じない。だったら「やりたい放題やろう」って決めて思い切り演じました。ちょっとやり過ぎかなって思ったんですが(石川淳一)監督に聞いたら「やってください」って(笑)。


――作品にちなんで、これまでについたウソについて尋ねると「会社の車に乗っているとき、僕がぶつけちゃったんです。それを付き人のせいにしちゃいました」といたずらっぽい笑顔で語った滝藤。「書いて大丈夫ですか?」と問いかけると「大丈夫、大丈夫。社長も知っているから......」。その大らかさと屈託ない笑顔。個性派俳優・滝藤賢一の魅力が垣間見られた瞬間だった。

◆滝藤賢一(たきとうけんいち)

1976年11月2日生まれ。愛知県出身。俳優・仲代達矢主催の「無名塾」に在籍後、2008年公開の映画『クライマーズ・ハイ』で若手新聞記者・神沢周作役を演じ、注目を集める。名バイプレーヤーとして数多くの話題作に出演し、2014年『俺のダンディズム』で連続ドラマ初主演を果たす。出演作が途切れることがない日本映画界には欠かせない俳優だ。
今後は6月6日公開の『予告犯』、11月に『杉原千畝 スギハラチウネ』、12月に『はなちゃんのみそ汁』の公開を控えている。
座右の銘は「なんとかなる」。

(取材・文・写真:磯部正和)

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