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『寄生獣』が完結する。人間と寄生生物(パラサイト)がついに全面対決。その中で主人公の泉新一(染谷将太)と、彼の右手に寄生した寄生生物ミギー(阿部サダヲ)の運命は? 衝撃と感動のクライマックスを描いた『寄生獣 完結編』を撮り終えた山崎貴監督に、撮影の裏側と今後のVFX(ビジュアル・エフェクツ=特殊効果)映画への思いを聞いた。

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4月25日から映画『寄生獣 完結編』が劇場公開
写真:トレンドニュース


■『寄生獣』というタイトルの持つ意味を知ってほしい

――長大な原作をテンポよく約2時間×2本にまとめています。脚色はどう進めたのですか?

 まずロング・プロットを僕が書いて、共同脚本の古沢良太くんがそれをもとに初稿を書きました。それからプロデューサーも交えて精度を上げていったのですが、今回は古沢くんの功績が大きいです。特にラスト近く、新一と田宮良子(深津絵里)の動物園のシーンと、市役所での戦闘シーンを一緒に描いて交互に見せるというのは彼のアイディア。最初は別々に描く予定でしたが、それだと長くなってしまうし、おかげでテンポよく、お互いが補完しあう描写ができました。

――時間内に収めるために泣く泣くカットした部分は?

 映画版では魅力的なキャラクターを3人登場させていません。正直、厳しいものはあったんですが、作品の本質の部分は何だろうかと考えて、それに沿ったエピソードだけを選んでいくようにしましたね。

――連続殺人鬼の浦上(新井浩文)が新一を見つけるシーンの時系列をいじって、映画では冒頭に持ってきていますね。

 浦上は完結編から出てくるキャラで、人間とは何ぞや? というテーマとも関わる重要な人物です。スタート地点で出すことで、観客の脳裏に印象を刻んでもらって、のちのちの伏線にする、という狙いはありました。

――相当、人が死ぬ凄惨(せいさん)なストーリーですが、抑制された演出で、そのものズバリの残虐シーンは見せていません。その狙いは?

 本当はやりたいんですけど......(笑)。実のところ、供給しすぎるとつまらなくなるんです。バトルシーンばかりでは観客が疲れてしまうので、微調整しながら作り上げています。たとえば市役所で最強のパラサイト・後藤(浅野忠信)の戦いぶりを見せてしまうと、その後の新一(&ミギー)との対決シーンが弱くなってしまいます。後藤に関しては新一とのシーンで見せきろう、と考えました。

――パラサイト側の俳優は、どういう基準で選ばれたのですか?

 (演技が)うまい人(笑)。それに、パブリック・イメージがそこまで寄生生物じゃない人たちです。そのまんまな人を連れてくると深みが出ないので、ちょっとずらした感じです。

――前作ではパラサイトによる侵食が描かれましたが、今回は一転して人間側の反撃になりますね。

 オセロ返しをやりたかったんですよ。前作で敵がネットワークを組んでコロニーを作る。一見、勢力を伸ばしているように見せておいて、でも人間の集団行動にかかったら、あっという間に逆転してしまうんだよ、という構図を作りたかったんです。本当に危険なのはどっちなんだろう、って。実は人間側はパラサイトのことをずっと「寄生生物」と呼んでいて、物語全編を通して「寄生獣」という言葉が使われるのは一回しかありません。そのタイトルの持つ意味に気付いてもらって、何かを考えるきっかけになればいいな、と考えています。

■CGに必要なのは時間とアイディア

――本編の監督とVFXの監督という、従来は分業だったものをお一人でやられています。倍の苦労があるのではないですか?

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今後のVFX(ビジュアル・エフェクツ=特殊効果)映画への思いを語る山崎監督
写真:トレンドニュース


 逆に効率がいいですね。監督チェックがいりませんから。VFXだけやっていると、僕がOKを出しても監督がOKしなければ最初からやり直しになってしまいます。現状ではVFXスタッフが周囲で作業をしている中で仕事しているので、質問に答えたり直しを入れたりがすぐできる。だから余計な手間がかかりません。それに自分がVFXからスタートしているので、やらなければ気が済まないんですよ。誰か別の人が(VFXを)やるとしても、相当うまい人でなければ......。自分と同じレベルなら自分でやっちゃいますから。ワガママな監督ですが(笑)、そこだけは譲れません。
 それに、ほかの人がもしこの映画を監督していたら、CGが珍しくて、もっと(CGが)目立つように作っていたかもしれません。CGを当たり前だと思っている人間が作ったから、CGのたくさん出てくる映画にしては健全なものができたという気もします。

――CGはもう特殊なものではないのですね。

 今、映画から声が出てくることに驚く人はいないじゃないですか。昔はCGがすごければ、それだけでお客が見に来てくれた時代はあります。けれど、トーキーやカラーと同じで、もう、ことさらそれを売り物にしていく時代は終わったと思っています。それは、CGがごく当たり前のツールになったということで、技術として成熟した、と言ってもいいのではないでしょうか。(CGは)SF映画に限らず、普通の映画でも何らかの形で使われている時代になっているので、それを受け止めて、いかに使うか、ですよね。必要なのはアイディア。CGを使って何を、どう見せていくか。『寄生獣』にしても、人間の頭が変化して割れて、だけでは「だから何だ?」で終わってしまいますから。

――ただ、CGを多用すると時間や人手がかかりますよね。

 クオリティを上げていくにはトライアル&エラーが必要なのは確かです。そういう意味では少人数で長く時間をかけて作るのが理想的です。あちこちにばらまいて作らせると、あっという間にできますが、どうしてもクオリティがバラバラになってしまうんですよ。観客には一番ひどい所が印象に残ってしまうので、「あの映画のCGはひどかったね」と言われないように、できるだけ高いところで平均値がとれるように心がけています。


☆映画『寄生獣 完結編』
右手に寄生生物ミギーを宿した泉新一は人間からもパラサイトからも要注意人物としてマークされていた。市役所を根拠地にネットワークを作り上げたパラサイトに対し、人間側は対パラサイト特殊部隊を結成して奇襲計画を立てる。そんな中、人間との共存を模索するパラサイト田宮良子は人間との間に子供を出産するが......。岩明均原作の伝説のSFコミックの映画化がついに完結。監督・脚本(共同)・VFXは『永遠の0』の山崎貴。4月25日から公開。

山崎貴(やまざき・たかし)
1964年6月12日生まれ。長野県出身。特撮スタッフを経て2000年に『ジュブナイル』で監督デビュー。『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズ(05~12)、『SPACE BATTLESHIPヤマト』(10)、『永遠の0』(13)、『STAND BY MEドラえもん』(14)などを監督しVFXも自ら手がけている。
座右の銘:倒れるとしても、前のめりに倒れたい

(取材・文/紀平照幸)


「寄生獣 完結編」 本予告映像>>


前編「寄生獣」おさらいダイジェストPV>>

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