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2011年に"右ひじ左ひじ交互に見て"(以下、右ひじ左ひじ)のネタが大ヒットした2700。スーツ姿でリズムを刻む八十島弘行、その横でGジャン姿でキレッキレのダンスを繰り広げるツネ。ふたりはブームが落ち着いた今でも、飽くことなくリズムネタを作り続けている。
そんな"リズムネタのプロ"ともいえる2700が、今年に入ってから大流行中のリズムネタを分析した。

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2700 八十島弘行(左)ツネ(右)=ネット配信番組「よしログ」にて


■この4年間でリズムネタは大きく転換した

ツネ「最近のリズムネタブーム、本当にすごい。僕たちの"右ひじ左ひじ"がはやった2011年よりも、芸人さんたちの歌唱力が上がっている気がしません?」

八十島「確かにボーカル力が上がっていると思う。クマムシさんの『あったかいんだからぁ♪』とか、お風呂で歌っちゃうもん。あのメロディセンスは2011年にはなかったでしょうね。声もとってもいい。8.6秒バズーカーも、田中シングルのハイトーンボイスがすごく耳に残りやすい」

ツネ「8.6秒バズーカーのネタ『ラッスンゴレライ』のリズムって、すごく攻めた刻み方をしている。きっと2011年だったら、あのリズムに世間がついていけない可能性があった。この4年間で激しいメロディを使うミュージシャンが増えたからか、世間にも攻めたメロディが通じるようになったんだと僕は思います」

八十島「昔はフレーズに重きを置いていましたよね。オリエンタルラジオさんの武勇伝なんかも、それだけでもクスッと笑えるような小話にプラスで楽しいリズムをつけている形だった。当時は、まず小話ありきでそこからのリズムネタっていう風潮があったんです。
でも、リズムだけで笑わせるネタっていうジャンルを開拓したのが、エド・はるみさんじゃないかな。軽快な音楽とリズムで、小話がなくても笑ってしまうという」

ツネ「そういえば、NHK連続テレビ小説『マッサン』のシャーロット・ケイト・フォックスさんが"右ひじ左ひじ"を『SMAP×SMAP』でやってくれて......。撮影前なんとなく元気がないとき、"右ひじ左ひじ"のダンスを踊ったりするんだそうです。うれしいですよね~」

八十島「これ、漫才だったらきっとまねされてなかったと思うんです。リズムネタだから外国の人にも覚えてもらえたと思う」

ツネ「踊りも大きな動きが多いから、やりやすいんじゃないかな? 言葉の意味がわからなくても真似できるし」

八十島「音楽に国境はないのと同じように、リズムネタも国境を越えるのかもしれません」

■一度リズムネタをやると漫才には戻れない

八十島「リズムネタはどうしてもインパクトが強いから、ひとつネタがブレイクすると、"そのネタの人"という印象が強く残ってしまう。そうなると漫才に戻るのが非常に難しくなるんです。漫才をやっても、お客さんから『あれをやってほしいのに』と望まれてしまう。でも、じゃあとリズムネタをやると『それ知ってるし』となってしまう......そういう、いばらのループになる可能性がある。
今は8.6秒バズーカーやクマムシがブレイクして、リズムネタのブームが来てるでしょ。だから若手は、『やってみようかな』なんて考えるかもしれないけれど、そこはよく考えたほうがいい。漫才に戻れなくなってしまうかもしれないから」

ツネ「だけど、リズムネタも悪いところばかりじゃない。こちらもやっていて本当に楽しいですからね。お客さんも手拍子してくれたり、舞台と客席が自分たちと同じリズムで心をおどらせるっていう一体感みたいなものが強みでもあります。だからお客さんの心にも残りやすいし、ブレイクもしやすいんでしょう。あと、最悪スベッても『ああ、楽しかったな。いい歌聞けたな』って思わせてごまかせる(笑)」

八十島「歌が嫌いな人っていないですからね。皆カラオケとか行くし。だけど、やっぱりリズムネタやそれをやる芸人が飽きられやすいっていうのには、おしゃべりの仕事との相性が悪いという部分がある。たとえばバラエティ番組とかで『あのネタやってよ!』って言われたらできるけど、普通に会話している間にリズムってはさめないじゃないですか」

ツネ「僕の声を聞いたことがない人も多いんです。いざしゃべってみると、そんな声してたのかって驚かれることもあるくらい。肘ばっかり見せてたから、ツネっていうのがどういう人柄なのかって皆全然知らないんですよね」

八十島「ツネは本当のところ、すごく真面目な人間ですからね」

ツネ「僕、本当はダウンタウンの浜田雅功さんに憧れてこの世界に入ってきたんですよ。ツッコミがやりたかったのに(笑)」

八十島「だから、ふたりでバラエティ番組に出ると『スーツ着てる八十島がふざけていて、Gジャンのツネがめっちゃ真面目なのかよ!』と違和感をもたれる。そのギャップが少しつらい部分かもしれません」

■今年は再ヒットの予感!?

ツネ「"右ひじ左ひじ"がブームになっていたころと比べると、お客さんの反応も今はだいぶ落ち着きました」

八十島「ブーム時は『キャーキャー! 右肘!』って感じだったんですよ。右肘を見せるだけで黄色い声援が飛んでた。ツネもずっと『ツネ様! ツネ様!』って様付けで呼ばれてて、『お話はいいから、肘を見せてください!』ってなってしまっていて(笑)」

ツネ「僕らの中でも、もう"右ひじ左ひじ"は見せたくない......、Gジャンを着たくない、みたいな時期がありました」

八十島「そうですね。笑ってほしいところで笑ってくれるようになったので、ブーム時よりも少し落ち着いた今のほうがネタはやりやすいです。"右ひじ左ひじ"はもういいかなってなっていたのは2012年の半ば頃かな。僕たちが飽きてたら、その雰囲気が伝わるのか、お客さんも『お前いつも"右ひじ左ひじ"見せとるやん!』みたいな顔になってしまって。今となっては『あ! 君たちなら"右ひじ左ひじ"を見せてくれないと!』って期待をまたしてくれるようになった。時代が回った感じがします」

ツネ「今となっては、僕もGジャンの色を変えて楽しもう! っていう気持ちにまでなってます」

八十島「実は僕たちはブームが終わった今のほうが面白くなってるんです。今のツネのダンスのキレはすごくて! つい最近の話なんですけど、大河ドラマの『黒田官兵衛』を見終わった後、面白かったな~と思ってお風呂に入っていたらふいに徳川慶喜のリズムネタが降りてきて......。
今までのことを振り返ると、頑張って作ったネタよりも、ふと思いついた"降りてきた"ネタの方がヒットしやすいんですよね。だから今年はヒットの予感を感じています。これからもリズムネタは作り続けていきたい」

ツネ「僕も、新しいネタが降りてきたって八十島さんから聞いて、本当に楽しみです。2年ぶりくらいじゃないかな、降りてきたの(笑)」


8.6秒バズーカーにクマムシと、ここ最近のリズムネタを分析する2700の表情は底抜けに明るく、彼らが心からリズムネタを愛していることがよく伝わってくる。そして八十島に2年ぶりに降りてきたという歴史×リズムの新ネタ。一体どんなものに仕上がっているのか......ツネの新しいダンスにも要注目だ。

◆2700(にせんななひゃく)

八十島弘行(左)とツネ(右)からなるお笑いコンビ。八十島は1984年3月22日生まれ、山口県下関市出身。ツネは1982年10月15日生まれ、大阪府和泉市出身。2008年にコンビを結成。「THE MANZAI 2011」で認定漫才師に選出。また、同年の「キングオブコント2011」では2位で準優勝を果たしている。
座右の銘は「全ての人間皆面白い」(八十島)「ホットヒートヒート」(ツネ)。

(取材・文/おきざきみあ@HEW

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2700 「右ひじ左ひじ 交互に見て」>>

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