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「ラップは空へと吸い込まれていきました」――。

「ありがとう オリゴ糖」「いきなり出てきてゴッメーン、まことにすいまメーン」といったナンセンスなラップネタで2008年頃に大ブレイクを果たしたお笑いコンビ・ジョイマン。ボケ担当の高木晋哉が今年3月に「ラップは空へと吸い込まれていきました」とTwitterにアップした、イベント中の写真はネット上に衝撃を与えた。ステージの前には誰もいないにも関わらず、ネタを披露している高木とツッコミ担当・池谷和志の姿。

「かわいそう」「つらい」と同情を誘ったこの写真だが、災い転じて福と成す!? ジョイマンが「かわいそう」効果でオファーが増えたことを告白。さらに大流行のリズムネタに、ラップ芸人としてコメントも。忘れ去られないために、「ここにいるよ」ともがき続けるジョイマンの"今"に迫った。

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ジョイマン  高木晋哉(左)池谷和志(右)=ネット配信番組「よしログ」にて


■予約客はどこへ消えた?

高木「『ラップは空へと~』は山形県のラジオ番組の公開収録イベントのときの写真です。担当の方からは『かなり宣伝したから、お客さん結構集まると思いますよ!』って言われてたんですけど、ステージに上がってみたら誰もいなかったという(笑)。あまり思い出したくない記憶です」

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山形県のラジオ番組公開収録イベントのときの写真


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無観客営業とも揶揄(やゆ)された、三重県で開催された花火大会での前座を務めたときの写真


池谷「途中から雨も降ってきて状況としては最悪だったんですけど、最後には少数精鋭的なお客さんからカップ麺を差し入れてもらって心温まりました。ところで実はこの写真の前にも、お客さんのいないイベント写真って何枚かアップしてるんですよ。三重県の花火大会のときも、町田のサイン会のときも誰もいなかった」

高木「サイン会の写真をアップしたときは、関東と関西、両方の吉本のビルが『ジョイマンのイベント、なんだこれ!』って衝撃で揺れたらしいよ」

池谷「サイン会の担当者さんに不安で『お客さん、来ますか?』ってずっと聞いてたんです。『整理券60枚ハケてるから大丈夫ですよ』って答えてくれていたのに......。60人、どこ消えたんでしょうね? イベントの途中から僕らも面白くなってきて、ネタ合わせを始めてました」

高木「ただやっぱりインパクトがすごかったのか、こういうイベント写真をアップした結果、正直テレビの取材なんかは増えました。実は『アッコにおまかせ!』からも取材オファーがあったんです。いるはずのお客さんがいない、心霊写真として紹介するって企画だったんですけど(笑)。でも喜んでOKしたのに、番組が生放送だから時間の都合でカットされてお蔵入りになったっていう......」

池谷「なんか不幸を引き寄せがちだよね。ちなみにテレビの取材は増えましたけど、営業の仕事は相変わらずポツポツ程度で増えません。不入りの象徴だから、そりゃそうだ!」

■リズムネタはリバイバルブームの可能性アリ?

高木「今リズムネタブームきてますよね。いろんな芸人さんが、8.6秒バズーカーとかリズムネタでブレイクしている後輩たちに一発屋にならないためのアドバイスをしていますけど、僕らとしてはアドバイスというよりは、なんとかブームにのっからせてもらいたい......!」

池谷「だせえ先輩だな(笑)。まぁ本音だけどね」

高木「藤崎マーケットのトキは、先駆者として『リズムネタ、ダメ。ゼッタイ』なんて運動やってますけど、僕らとしてはリズムネタってそんな悪いものだと思ってないんですよ。藤崎のふたりは本当は漫才がやりたかったから、リズムネタをやったせいでちょっと予定が変わってしまった......みたいな思いがあるんでしょうね。でも僕らは漫才ができないからリズムネタに走ったクチだし、今でもそんなにリズムネタに対して悪いイメージはありません。
リズムネタってお笑いというより、ひとつの曲に近い感じで楽しまれていると思うんです。だから1回飽きられても、時間がたてば懐メロみたいにまた盛り上がってくる可能性は十分にあるはず。そうやってまた注目が集まったときに、ちょっとアレンジするなんかして違う色を見せられれば、悪い結果にはならないんじゃないかな」

池谷「リズムネタの長所は、そこかもしれないね。また見たくなる、聞きたくなる。だからリズムネタの後輩たちにアドバイスするとしたら、ネタどうこうよりも、コンビで仲悪くならないようにねってことですかね。相方は最大の味方なので」

■次長課長・河本のエールに救われた

高木「解散を考えたことは一度もなかったんですけど、飽きられないためにネタをどうにかしなきゃとはかなり悩みました。結構迷走しましたね......。デスメタルラップって言って、僕が白塗りで、デスボイスでラップをするという。ワードもちょっと過激だったんだよね。『○○(某人気子役)、切腹!』とか」

池谷「ストレスたまってたんだろうね。あとメカジョイマンっていうのもあった」

高木「あったね~......。僕がロボコップの仮面かぶって、『メカメカ~』って。うん、あの頃はどうかしていました(笑)。結局もとのスタンダードに落ち着きました。
ネタについて悩んでた頃、次長課長の河本準一さんに励まされたのも大きかったんですよ。『俺はジョイマンのラップネタ大好きやから、自分らで飽きたらあかんで』ってアドバイスされたんです。その言葉で、やっぱりネタは子供みたいなものだから、かわいがってあげなきゃいけないなって思い直して。なんだか救われました」

池谷「上島竜兵さんからもアドバイスされてたよね?」

高木「中野の居酒屋で上島さんに偶然会ったんです。上島さん酔ってべろべろだったけど、『ジョイマンは今のままで面白いんだから、変なことに手を出さずにお笑いで頑張れ』って言ってもらって。僕もべろべろだったから、つい泣いちゃった(笑)」

池谷「岡村隆史さんとかフジモン(藤本敏史)さんがバラエティで僕らのネタやってくれるのも本当にうれしいです。やっぱり先輩たちは温かい!」

■目指せ、海外進出!?

高木「3、4年前から、Twitterで『ジョイマン消えた』『ジョイマンどうしてるんだろう』みたいなツイートを検索で見つけては、『ここにいるよ』ってリプライを送るようにしてるんです。ジョイマンどこ行ったって思ってる人たちが後を絶たないので、そういう人たちがゼロになるまでやっていくつもりです」

池谷「多分バラエティなんかで見てると、僕たちってひな壇が苦手だし、なんとなくおとなしそうな印象を持ってしまうと思うんです。けど高木はほかに芸人さんがいないとすごくボケるんですよ。芸人さんがいると無口になっちゃう(笑)。のびのびとした高木の姿も知ってほしいなってことで、YouTube上で『ジョイマンのWEEKLY NEWS RAP』ってネット番組も始めたんです。初冠番組!」

高木「『ここにいるよ』ってこまめにリプライを返すのも大事だけど、もっともっと自分たちの存在を発信していかないといけないなと感じたんです。ジョイマンの存在を思い出してもらうだけじゃなくて、『ここにいたんだよ!』って飛び出していく気持ちでいかなきゃ。だから日本を飛び出す勢いで、海外進出も視野に入れて頑張ります!」


"消えた芸人"扱いされても腐ることなく、自分たちにできることを模索するジョイマン。たとえイベントにお客さんがこなくても、そのエピソードで爆笑を誘う。どんなツイてない出来事も笑いに変えてしまう彼らは、ある意味芸人の鑑といえるかもしれない。

公式チャンネル「ジョイマンチャンネル」で、「ジョイマンのWEEKLY NEWS RAP」を毎週金曜8時に更新。社会派なジョイマンがお届けする「ラップでわかる週間ニュース」を配信中。

◆ジョイマン
高木晋哉(左)と池谷和志(右)からなるお笑いコンビ。高木は1980年8月18日生まれ、神奈川県出身。池谷は1981年2月18日生まれ、神奈川県出身。2003年にコンビ結成し、ナンセンスなラップネタで2008年頃に大ブレイク。近年は、"不幸芸人"的に再び注目を集めている。
座右の銘は、「ピンチはチャンス」(高木)と「万物は流転する」(池谷)。

(取材・文/原田美紗@HEW
(写真:トレンドニュース)

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