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以前は"カリスマタクシードライバー"として数多くのテレビに出演したこともあり、タクシードライバーとしては異例の年収800万を稼いでいた下田大気。4月26日には武蔵野市議選に当選。父である作家・志茂田景樹とともに武蔵野市の児童館を存続させようと奮闘している。
しかしそんな下田、若い頃は"ヤンチャ"ばかりで、いわゆる真面目なイメージの市議とは正反対の生涯を送ってきた。芸能プロダクションや飲食店を経営するもののうまくいかず、ついに資金は底をつき、20代後半で自己破産。藁(わら)にもすがる思いで掴(つか)んだ新しい仕事がタクシードライバーだった。
タクシードライバーを天職だと語り、市議になった今後もタクシーを運転し続けていくと意気込む下田が車内で出会ったさまざまな人間の"裏の表情"を語ってくれた。

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(GYAO! トークバラエティ「ぶるぺん」出演 下田大気)
写真:トレンドニュース


■"ゴミ"と呼ばれる客がいる!?

「議員になってからも、空いてる時間にはタクシードライバーを続けていきたい。カリスマタクシードライバー兼、武蔵野市議という感じで(笑)。

タクシードライバーは僕にとって天職だった。タクシー運転手としては尋常じゃない売上をあげていました。月収で言うと60万くらい。
タレントさんもそうですし、本当にいろんな人間の裏が見える仕事でした。芸能人が収録終わりに乗って、共演者にダメ出ししたり『あの司会者は絡みづらいよね』とか後ろで喋(しゃべ)ってることが聞こえてくるんです。テレビではあんなに良い人そうなのに裏では悪口言ってるんだな......みたいにショックを受けることもたくさんある。

さまざまなお客さんを乗せた中で印象に残っているのが、カップルで乗ってきたのに、彼氏がタクシーから降りた瞬間に女の子が別の男の人に電話したこと。『さっきは電話出れなくてごめんね、先輩とご飯食べてて。明日早いから今日は寝るね~』なんて言って、そのまま女の子は別の男の人のマンションまで送ってくださいって言うんですよ。どうやら彼氏が3人はいるみたいですごく驚きました。ほかには、相撲取りが3人乗ってきたことも(笑)。総体重の重さに車が沈んでしまって、さすがに『これ、大丈夫かな?』って不安に......でもなんとか送り届けられました。

タクシー業界にはいろいろな業界用語があるんです。3万とか4万くらいのすごい金額を使ってくれる人のことを"おばけ"って呼んだり。あと"ゴミ"というのもあります。ワンメーター分しか乗らないお客さんのことで、昔はタクシーの初乗り料金って530円だったんですね。だからゴミ。最近は710円に変わったので、"納豆"って呼んだりもする。面白かったですね。

タクシードライバーを始めたばかりの頃は、同僚から陰口をたたかれたことも多かったです。『下田は、父親のコネでいいお客さんがたくさんいるんだよ』とか言われていたりもしました。でも幸い僕は陰口を気にするタイプの人間ではなかったので、全く動じませんでしたね。そうしたらそのうち皆も飽きて、何も言わなくなってきました」

■父と同じ想いで始めた選挙活動

「そもそも議員になろうと思ったきっかけは、僕の通っていた児童館がなくなってしまうと聞いて、居ても立ってもいられなくなったから。ちょうど父親も、子どもたちに本の読み聞かせをするという活動をやっていて、ふたりとも『子どもの遊び場所をなくすのはいけない』と意見が合致したんです。父とは7日間一緒に選挙カーに乗りました。有権者のなかには父に『握手してください!』って言ってくださる方もいたりして(笑)。
父以外に、タクシードライバー仲間もたくさん応援してくれました。ポスティングやビラ撒きなんかをしてくれて......本当にありがたかったです。

僕は無党派だし、知名度がとても高いというわけでもない。有権者に主張が本気だと思ってもらえないこともありました。それでも手探り状態の中で、毎日街頭演説会などを行って一生懸命話していたら、徐々に子育て世代のお母さんたちから支持されるようになりました。子どもに『児童館守ってね、お兄ちゃん!』なんて言われたりして、本当にうれしかったですね。

それから、タクシーで武蔵野市を中心に営業したこともありました。有権者が乗ってきて、『歩きタバコのゴミがひどい』『あの道路は危ないからなんとかしてくれ』とかさまざまな意見を聞けたことがよかったですね。タクシードライバーをやっていることによって、武蔵野市民の生の言葉が聞けたことは強みだと思います。それと同時に、自分が議員になったら必ず街を変えないと、という気持ちもよりいっそう高まりました。そしていざ当選したら、たくさんの方々に『おめでとう』と声をかけていただいて......人目につきやすくなったので、地元でご飯を食べるのにも気を引き締めないといけなくなってしまいました(笑)」

■タクシードライバーをやっていなかったら議員にはなれなかった

「当選したとき、父からは『浮かれず身を引き締めろ』と言われました。タクシードライバー仲間達からは『タクシー業界の星になってくれ』なんて期待をかけられて(笑)。タクシー運転手って、徘徊(はいかい)老人をよく見つけるんです。夜中の12時とかにお年寄りの方が歩いてたら、ちょっとおかしいでしょ? そういったときに、タクシー運転手と街で連携して、然るべき機関に連絡ができるようになれば、徘徊(はいかい)老人の早期発見にもつながると思うんです。

タクシー業界って、いまだに『どうしても仕事がないときの最終手段』といイメージが強くて、人材がなかなか集まらないといった現状がある。タクシーは人生最後の砦(とりで)などといったネガティブなものではないと僕は思います。一期一会の人間関係がかいま見えるタクシーを使って、もっと皆ステップアップしていけばいいと思う。僕も、タクシードライバーをやって、市民の声を聞けたからこそ議員になれたという部分も多大にあると思います。だから、タクシー業界のイメージアップにも努めていきたいです」

多くの人に支えられてここまでやってきたと語る下田の目には、タクシーの車窓から見た武蔵野市の街並みが映っているのかもしれない。

◆下田大気(しもだひろき)

1976年8月12日生まれ。直木賞作家・志茂田景樹の次男で、高校時代には矢沢永吉主演の「アリよさらば」(日本テレビ系)にて俳優を経験している。芸能プロダクションや飲食店経営などを経てタクシードライバー兼タレントとして年収800万円をも稼ぐ"カリスマタクシードライバー"としてメディアに取り上げられるようになった。4月26日に東京都武蔵野市議選で初当選。座右の銘は「愛」。

(取材・文/おきざきみあ@HEW

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>> 下田大気が出演する、GYAO配信番組「ぶるぺん」

タクシー業界の専門用語が割とひどい ぶるぺん(00:01:58)>>


志茂田景樹の息子の波瀾万丈人生 ぶるぺん(00:03:26)>>


その他の出演番組>>

・選挙活動と政治活動の違いとは?
・市議会議員選に必要な選挙資金は?
・カリスマタクシードライバーの収入事情
・ドライバーが驚いたタクシー客の行動

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