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Dragon Ashのボーカル&ギター降谷建志が18日、『GYAO! MUSIC LIVE』にて初の生配信ライブをおこなった。これは、彼の初のソロアルバム『Everything Becomes The Music』が、同日リリースされたことを記念し実現したもの。全ての楽器を一人で演奏し、作り上げたこのアルバムを、バンドメンバーたちとともにどう再現するのか。この日は世界中からたくさんのユーザーがアクセスし、初のスタジオライブに挑む降谷の雄姿を見守った。

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『GYAO! MUSIC LIVE』にて初の生配信ライブを披露したDragon Ash の降谷建志


開始時刻21時を回ると、ほぼ時間通りにスタジオの様子が映し出される。場所は、降谷の音楽キャリアにもゆかりの深いビクター青山スタジオ。レコーディングブースの壁に沿って、たくさんのアンプやアウトボード、楽器などがズラリと配置され、さながら要塞(ようさい)のようだ。

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アンプやアウトボード、楽器などがズラリと配置されたビクター青山スタジオ


アルバムの冒頭を飾るインストゥルメンタル曲「Everything Becomes The Music」が流れ出し、バンドメンバーたちがブースに入ってきた。PABLO(ギター)、武史(ベース:山嵐 / OZROSAURUS)、渡辺シュンスケ(キーボード: Schroeder-Headz)、桜井誠(ドラム: Dragon Ash)。手際よくチューニングを終えると、おもむろに音を鳴らし始める。桜井がマレットで小刻みにシンバルをたたくと、他のメンバーがそれに応える。

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桜井誠(ドラム: Dragon Ash)


アンビエントかつスペイシーなインプロビゼーションがひととおり繰り広げられたあと、その混沌の中からシンセによる規則的なシーケンスフレーズが徐々に立ち上がる。降谷が頭文字を身体に刻み込むほど大切にしている祈りの一説、「変えられないものを受け入れる心の静けさと、変えられるものを変える勇気と、その両者を見分ける英知を我に与え給え」を引用したオープニング曲、「Colors」の始まりだ。息をのむような緊張感が、隣のコントロールルームで見ているわれわれにもひしひしと伝わって来る。中央の巨大なコンソールの前に座り、手早く冷静にフェーダーやツマミを操作しているのは、エンジニア飛澤正人。Dragon Ashをデビュー当時から手がけ、今回のソロ作でもボーカルレコーディングとミックスダウンを担当した彼は、降谷らが全幅の信頼を置く人物だ。

1曲目が終わり、再びバンドはインプロビゼーションへ。まるでスタジオ全体に靄(もや)が立ち込めるような、そんな錯覚に身を任せていると、突然のカウントとともに「Angel Falls」が鳴り響く。ザクザクと空気を切り裂くギターリフ、機関銃のように打ち込まれるドラムフィル、その間を這うように動き回るベース。先ほどまでの張り詰めた空気が一気に破裂し、静と動を激しく行き交うダイナミックな演奏に身震いする。どんな障害があっても歌い続けるという「決意」を表明した歌詞が印象的な、この曲のサビの部分では、渡辺と桜井による掛け合いのコーラスがいっそう盛り上げていく。降谷以外の声が入っただけで、ソロの密室的でパーソナルな音像が一気に解放されていくようだ。

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渡辺シュンスケ(キーボード: Schroeder-Headz)


続く「Swallow Dive」でも、主旋律と絡み合うコーラスがアンセムのようにとどろき、血がたぎるような興奮が一気に押し寄せる。新たな決意をするときに、誰もが感じる不安や恐怖を歌ったこの曲を、スタジアム規模の会場でオーディエンスとともにシンガロングする光景が、目の前にありありと思い浮かんでくるのだ。ブースの中央でギターをかきむしる降谷を中心に、まるで円陣を組むように向かい合ったメンバーたちからも、ようやく安堵(あんど)の表情が浮かんできた。お互いに笑いあったり、ときに真剣にアイコンタクトしながら演奏する様子を見ていると、まるでリハーサルスタジオをこっそり覗き見ているような、そんな胸の高鳴りも感じる。

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PABLO(ギター)


楽器を持ち替え、チューニングをしつつ何やら楽しそうに言葉を交わす4人。後半1曲目の「Dances With Wolves」は、狼の遠吠えのような降谷の雄叫びを合図に紡ぎ出された。Aメロのギターの細かい刻みから、アーシーで雄大なサビへとなだれ込む構成は、まるで疾走するオオカミが暗い森から大草原へと駆け抜けていく、そんな映像が浮かんでくるようだ。「Stairway」では、先手観音のごとくスティックを振り回し、複雑だがグルーヴィーなリズムを叩き出す桜井と、宙を滑空するようなロングトーンギターを放出するPABLOの、対照的な音の置き方がサウンドスケープに立体感を与えていた。
「For a Little White」は、メロトロン(ビートルズの「Strawberry Fields Forever」のイントロで印象的に使われた楽器)のひなびた音色と、美しいピアノが印象的なミドルテンポの名曲。バラードセクションから、ドンッと一気にバンドが入ってきた瞬間、全身が総毛立つ。レスリースピーカーを通したような、ギターのブルージーなソロが心臓を鷲掴み(わしづかみ)にする。そんなホーリーな演奏に身を委ね、終始笑顔で伸びやかに歌い上げる降谷も、実に気持ちよさそうだ。

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武史(ベース:山嵐 / OZROSAURUS)


いよいよ最後の曲「One Voice」。再びスペイシーでアンビエントなインプロビゼーションが、この貴重なひとときを惜しむように広がっていく。ここまできたら、あとは燃え尽きるだけ。清々しささえ感じさせる4人の表情からは、そんな気持ちが伝わってくるようだ、そして一気にスパーク! まるで90年代のグランジを彷彿とさせるような、緩急自在な展開に目眩(めまい)がする。ここでも掛け合いコーラスがとどろき、エンディングに向かってどこまでも残響が膨張していった。

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ソロアルバム『Everything Becomes The Music』を6月17日にリリース


降谷が作り上げた、パーソナルかつ普遍的な楽曲と、鉄壁のバンドアンサンブル、ビクタースタジオのハイエンドな音響システムに、エンジニア飛澤によるサウンドメイク。それらすべてが融合した今宵のスタジオライブは、まさに奇跡のひとときだった。アルバム『Everything Becomes The Music』の新たな魅力を発見するキッカケにもなったはず。降谷建志のソロライブが本格的にスタートするまで、このアルバムを聴きながら待つことにしよう。

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Dragon Ashの活動と並行する形で、自身初のソロプロジェクトをスタート


◆降谷建志(ふるやけんじ)
1979年生まれ、東京都出身。1997年にDragon Ashでデビュー。フロントマンとして、バンドを牽引し続ける。プロデュースや客演などさまざまな形態で音楽作品を発表する他、2013年にはNHK大河ドラマ「八重の桜」に俳優として出演。2015年、Dragon Ashの活動と並行する形で、自身初のソロプロジェクトをスタートする。アルバム『Everything Becomes The Music』を6月17日にリリース。
座右の銘は「変えられないものを受け入れる心の静けさと、変えられるものを変える勇気と、その両者を見分ける英知を我に与え給え(セレニティプレイヤー)」

(文/黒田隆憲@HEW

降谷建志 「One Voice」(1st Solo Live on June 17, 2015)>>


1stソロライブ生配信直前リハーサル映像>>

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