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お笑いコンビ・キングコングの西野亮廣は、なんとなく得体の知れない男である。お笑い芸人、絵本作家、はたまた......? すべての活動に全力で取り組み功績を残しつつも、本人は最終的になにを目指しているのか。2013年11月放送の「アメトーーク!」(テレビ朝日系)では、ひとつの称号を手に入れる。"好感度低い芸人"のひとりとして出演し、さらにはアンケートの結果"キングオブ低好感度"の座に輝いた(?)西野。嫌われ者の代表格となってしまったが、本人はなぜか不思議とうれしげ。8月1日開催、東京・日比谷公会堂でのソロトークライブ『西野亮廣独演会in日比谷公会堂』を前に、謎めく芸人の頭の中を解説してもらった。

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8月1日に東京・日比谷公会堂でソロトークライブ『西野亮廣独演会in日比谷公会堂』を開催


■僕は"好感度低い芸人"、「アメトーーク!」が取扱説明書になった

「『アメトーーク!』の前後で状況がだいぶ変わりました。加地さん(同番組担当のゼネラルプロデューサー・加地倫三氏)には感謝しかないです。僕はあの企画によって、ひとつのアイコンになれたと思ってるんです。僕ってそれまであまりテレビでイジられたことがなかったんです。どう扱っていいのかわからない感じがあったんでしょうね。でも加地さんが『記号化したらみんなイジりやすくなるから』って言って、僕のために"好感度低い芸人"っていうテーマを用意してくれたんです。

たとえばハゲとかデブとかって、アホの中学生でもパッとイジれる要素じゃないですか。全然料理しなくても笑いが起こせるっていう。僕も好感度低い芸人っていう呼び名がついたことで、誰でも『おい、嫌われ者!』みたいに簡単に僕をイジれるようになったと思うんです。『アメトーーク!』が僕の取扱説明書になった感じがします。今はバラエティ番組でほかの芸人さんから『お前は嫌われてるからな』みたいにイジられて、僕が『ちょっと、ちょっとー!』って言い返すってことがよくあるんですけど、こういう流れ、昔はなかったんですよ。だからすごく楽しいですね。大きな武器にもなったと思うし。本当に加地さんは恩人です」

■人をドキドキさせるものがお笑い、「お笑いから脱線してる意識はまったくない」

「僕にとってお笑いって、ただ笑えるだけでなく、それ以上のものなんです。昔は芸人ってテレビの中でも下っ端っぽいポジションだったのに、ダウンタウンさんがそれを変えた。芸人が大物ミュージシャンの頭をパーンってたたくようになったんですよ。その頃僕は小学生ぐらいだったけど、面白い以上に、時代が変わったドキドキを感じたんです。ほかにもナインティナインさんがSMAPさんのライブに乱入したり、とんねるずさんもなにをするかわからない感じがあって......。そういうものを見てきたから、僕は、人をドキドキさせるものがお笑いだと思ってるんです。

ただ、僕自身はテレビの世界で挫折しました。20代前半のとき、『はねるのトびら』がヒットして、一度スターになったんです。たくさん番組に出させていただきましたけど、ひな壇にいても、ロケしてても、なんだかドキドキできなかったし、これでは誰もドキドキさせられないと感じた。それに結局売れたっていっても、まだ上にはダウンタウンさん、その上にはさんまさんやたけしさんがいて、なんにも時代は変わっていなかった。それに気付いたときがすごくショックでした。成功したと思ったのに、夢も希望もないじゃんと。

そこで、デカいなにかを果たすには違うやり方をしなきゃだめだと思って動いた結果が、今なんです。だからお笑いから脱線してる意識はまったくないんですよ。時代を変えるためには、まったく新しいフォーマットを作らなければならないと思っていますから。うまく言えないんですけど、『ディズニーすごいな』とかいろんなものに憧れたまま死んでくの嫌じゃないですか。僕は、自分はもっとすごいことしたって張り合っていきたい。とりあえず、今は自分でも毎日ドキドキできてるし、昔よりかはたくさんの人をドキドキさせられてると自負しています」

■チケット手売りはやめるかも? 基本的に飽きっぽいんですよ

「当面の目標は、お笑いライブにコンスタントに1万人呼べるようになることです。それって時代が変わった感じがするじゃないですか。僕はお笑いライブを、EXILEとかAKB48のライブくらいまでメジャーなものに変えたいんですよね。そのためにはお笑い以外のジャンルからもお客さんを引っ張ってくる仕組みが必要だと思って、今アート界隈(かいわい)でもいろいろ動いていますし。

ほかのジャンルからもお客さんを呼ぶという狙いの一貫として始めたのが、チケットの手売りなんです。チケット販売サイトって便利ですけど、自分の興味あるものに最短距離でつながっちゃうじゃないですか。EXILEのチケット買いたい人が僕のライブのチケットページに飛ぶようなことがまずないシステムになってる。つまりチケット販売サイトを使う限り、新規客の獲得は期待できないんですよ。でも手売りだと、買いにきたお客さんが『お笑いあまり見たことない友達にも見せてやりたいんで、やっぱりもう1枚売ってくれますか』なんてことがすごくよくある。アンチが面白半分で買いにきたこともあるんですよ。おかげさまで2014年の『西野亮廣独演会in日比谷公会堂』では2,000枚ものチケットをプレイガイドを通さず完売させることができました。

ただ、手売りはそろそろやり方変えないとだめかな。去年僕がチケット手売り始めたときは、手売りなんて惨めだなんてすごくたたかれましたけど、そのかわり、ちょっと売れるごとにネットニュースになるほど注目集めたんですよ。でもほかにも手売りする芸人が増えてきたから、今年は全然話題にならない。やっぱり物事を拡散させたいときには、絶対反対派の意見ってあったほうがいいんですよね。だからもしかしたら手売りはやめちゃうかもしれません。

今年の独演会では"テレビで話せないような話"をするつもりです。......といっても内容が過激とかそういうわけじゃありません。トーク番組って共演者さんもいっぱいいるし、1、2分で話をまとめないといけないんですよ。だからどんなに面白い話でも、尺が長くなるようだとそれはもうテレビじゃ物理的に無理。だから独演会ではテレビサイズじゃなく、"ライブサイズ"でしゃべります。そういう意味で"テレビで話せない話"ですね。だからここでウケた話をバラエティに持っていくってことはないです。

僕って基本的に飽きっぽいんですよ。だから独演会も23歳のときから続けてますけど、来年、再来年どうなるかは保証できない。僕が飽きてるのに続けるのは不誠実なんで、飽きたらすぐやめます。そのかわり毎年ここがゴールだと思って開催していますから。ぜひドキドキしにきてください」


「とにかく面白いことがしたい」という熱が西野を突き動かしている。はたして西野の夢がどのような結末を迎えるのか、誰かに予想できてしまったらつまらない。"その先が読めない"、それがこの男の魅力なのだ。

◆西野亮廣(にしのあきひろ)
1980年7月3日生まれ、兵庫県出身。1999年、梶原雄太とお笑いコンビ・キングコングを結成。絵本作家、イラストレーター、舞台脚本家とさまざまな顔を持ち、近年はイベントを企画するなどプロデューサーとしての活動もおこなう。
今年8月1日に東京・日比谷公会堂でソロトークライブ『西野亮廣独演会in日比谷公会堂』を開催。チケット情報は西野亮廣の公式Twitterをチェック。
座右の銘は、口癖である「ドキドキしてる?」。

(取材・文/原田美紗@HEW
(写真:トレンドニュース)

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