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ドラマ「半沢直樹」での浅野支店長役や大河ドラマ「花燃ゆ」では幕末の長州藩士を演じるなど役者としての活躍もさることながら、ルーツは日本最高峰の芸術大学と言われる東京藝術大学出身で、劇団四季には17年間在籍していたという、自身の持つ才能を惜しみなく発揮してきた石丸幹二。歌、踊り、演技......とマルチに活躍していく石丸の表現を支える軸は一体なんなのだろうか? 話を聞いてみると、そこには『声で人に感動を届けたい』という石丸の確固たる思いが見えた。

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6月28日(日)放送の「ウチくる!?」(フジテレビ系)にて、石丸幹二が出演
写真:トレンドニュース


■音楽を志して感じた厳しい現実

「最初はサックスを学ぼうと思って音楽大学に入りました。そこで音楽にまつわる仕事につける人は何百分の1の確率であるということを聞かされたんです。必ずしも好きなことが仕事につながるわけではないということを身にしみて感じたんです。
そんなふうに目的が揺らいでしまっているときにジェシー・ノーマンの歌に出会ったんです。彼女の歌を聴いたときに『これだ』と思いました。あのときから『声で歌の想いを届けたい』というのが僕のキーになっていると思います。
そうして歌をやりたいと思い、東京藝術大学音楽学部声楽科に入学しました。そのなかで、また、誰もがオペラ歌手になれるわけではないという現実に直面しました。

そこから考えた末に導き出したのが、日本語で演技をしながら歌を歌うことができるミュージカルの舞台に立つという選択でした。これは声楽科に入学してから願っていたこと、期待していたこと、希望していたこととは違うかもしれません。歌に演技がついてくるわけですからね。でも今となっては、演技をするということは自分を表現するひとつの方法だなと思うので、結果的にはこの道を選んだことに満足しています。
今ではドラマも含めていろいろな仕事をさせてもらっていますが、原点はジェシー・ノーマンの歌。歌って芝居をするという形態は僕の軸になっています。
そんな今の自分の状態をよく見つめてみると、自分というパレットの上にいろいろな色が乗っている状態だと思うんです。どの色も自分だし、どれをとってもいろんな表現ができる。そういったパレット状態が自分の強みだと思います」

■歌を歌いたい......さらに演技も自己表現の一部として考えるように

「劇団四季に入団した当初は、演技をすることの楽しさにたどり着くのに時間がかかりました。歌を歌うことに演技やダンスがついてくるのか......と。振り返ればきつい瞬間も多かったと思いますね。劇団四季は例えるなら"芝居のオリンピック強化選手"を育成しているような感じだったんです。本番当日にコンディションが悪かったら他の人に自分の役を演られてしまうかもしれない。だから常にコンディションを整えながら、技量を高めていく日々でした。
そして40代に入り、体のペースと気力が噛(か)み合わなくなってきてしまって、『心身ともにメンテナンスをしよう』と思って退団しました。

今でもミュージカルは好きですね。まだまだ日本に紹介されていない素晴らしい作品がたくさんあるし、日本のオリジナル・ミュージカルも増えてきている。だからこそ、ミュージカルをもっと日本で広めていかないといけないと思っています」

■音楽劇「ライムライト」を通して触れる本当のチャップリン

「次に出演する音楽劇『ライムライト』は、チャールズ・チャップリン晩年の映画の舞台化です。映画は、私の中の(チャップリン映画の)ベストワン。だからこそオファーを受けた時は本当にうれしくて、そのあとから舞台化へのプレッシャーが来ました(笑)。じつは、舞台ならではの特性をいかし、さまざまな変化を加えることで、音楽劇として産みなおすことを許していただけたんです。これほどラッキーなことはありません。

僕はもともと、表現者チャップリンという人にすごく憧れていて、喜劇に出ている彼がとても好きだった。でも『ライムライト』は、いわゆるチャップリンが代表する喜劇とは少し毛色が違います。だから20代で初めて『ライムライト』を見たときは、『これはチャップリンだけどチャップリンじゃない!』というような少ししっくりこない部分がありました。けれども今、40代の終わりに改めて観ると、チャップリンの意図が痛いほど伝わってくるんですね。今だからこそ、本当のチャップリンに触れられるのではないかと思います。

皆さんがよくご存じの、映画『ライムライト』に、舞台ならではの新たなエッセンスを加え、音楽劇『ライムライト』を作りあげます。ぜひご覧いただければと願っています」


その時々によってさまざまな表情を見せる石丸。歌や演技について笑顔で話す石丸からは、表現することへの真摯(しんし)な姿勢が垣間見える。マルチに活躍できる技量はもちろんのこと、歌や演技へのひたむきさが石丸の強みであり、軸なのかもしれない。

◆石丸幹二(いしまるかんじ)

1965年生まれ、愛媛県出身。幼少のころからピアノ、スネアドラム、トロンボーン、サクソフォーン等に触れる。東京音楽大学音楽学部器楽科でサックスを専攻するものの3年時に中退。87年に東京藝術大学音楽学部声楽科へ再入学し、90年にミュージカル『オペラ座の怪人』(劇団四季)ラウル・シャニュイ子爵役でデビュー。07年に退団。現在は、俳優活動のみならず音楽活動にも力を注いでいる。座右の銘は「一期一会」。

石丸幹二主演の音楽劇『ライムライト』は7月5日から15日まで日比谷シアタークリエにて上演。チャールズ・チャップリンの映画が舞台化になるのは世界初となっている。

(取材・文/おきざきみあ@HEW

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