ここから本文です

コントさながらに舞台上を動き回るネタから、知的な言葉遊びを繰り広げるネタまで、漫才のクオリティの高さに定評のあるトータルテンボスが、恒例の漫才ライブツアーを開催する。2006年以来、ほぼ10年間にわたり、新ネタを携えて全国を回り続ける彼ら。結成18年目にして、今なお進化を続けるトータルテンボスの、漫才にかける思いとは――?

サムネイル

今年も開催『トータルテンボス全国漫才ツアー2015「餡蜜」』


■漫才で全国を回ることが"手段"から"目的"になった

 今やファンの間ではすっかりお馴(な)染みとなったこの全国ツアーだが、もともとは、かの漫才コンテスト『M‐1グランプリ』への対策として始めたものだとか。

大村 「つまり、全国を回りながらネタを磨き上げていって、それを引っさげて『M‐1』に臨もう、と。知名度も上げたかったですし」

藤田 「だから『M‐1』が終わったとき、正直、漫才をやる目標がなくなっちゃったんですよね。だけど、ツアーを続けてるうちに、ツアーそのものが目標になってきて。今までのツアーは『M‐1』で優勝するための"手段"だったんだけど、それ自体が"目的"になってきた、というか。その後しばらくして、『THE MANZAI』が始まったんですけど、そのときはもう『THE MANZAI』のために、とはならなかったですね」

大村 「『M‐1』の頃は、のし上がる手段がそれしかなかったから、是が非でも決勝に行きたいと思ってたんですよ。でも『THE MANZAI』の場合は、いい結果が残せなくても、『俺たち、この大会のスタッフにはハマんねえのかな』ぐらいの感覚で(笑)。もちろん漫才師である以上、コンテストがあれば挑戦し続けようとは思ってますけど」

藤田 「そもそも漫才のコンテストって、絶対的な評価を下す場所じゃないんで。その日に一番調子がよかったコンビを選ぶ大会ですから(笑)」

大村 「自分たちは普段、ちゃんと漫才でお客さんを笑わせてるんだ、そういう自信が持てるようになって、コンテストに対するこだわりがなくなってきたのかもしれないですね」

■今年は集大成的な漫才をお届けします

大村 「去年のツアーでは、ちょっとスタイルを変えて、藤田もボケるっていう形を試してみたんですよ。ところがこいつ、自分のボケに照れちゃったりして、なかなかストレートな笑いにつながらなくて。だから、その照れてる藤田を僕がイジったりしながら、なんとか二次災害的な笑いで成立させた感じでした(笑)」

藤田 「僕自身は、すっげぇ楽しかったんですけどね」

大村 「だからこいつは、今年もまた同じ方向で行きたいって言ってるんですけど、僕としてはね、藤田のボケも残しつつ、藤田の従来の"熱いツッコミ野郎"的な要素も入れつつ、集大成的な、パワーアップした漫才をお届けしたいなと」

藤田 「でもまぁ考えてみたら、本来は僕、ボケですからね、人としては(笑)。イジられる側の人間なんで」

大村 「確かに、"熱いツッコミ"っていっても、僕が導いているところもあるんで(笑)」

 そんな愛嬌(あいきょう)たっぷりの藤田のイジられっぷりが堪能できるのが、幕あい(1つのネタが終わって、次のネタが始まるまでの間)の"イタズラ"コーナー。大村があの手この手でたわいもないイタズラを藤田に仕掛ける様子をVTRで流すというオマケ的な企画だが、藤田の"素"のリアクションの面白さが評判を呼び、今やトータルテンボスのツアーの名物となっているのだ。

大村 「イタズラに関しては、今年もぜひ期待していただきたいなと。本人を目の前にして言いづらいですけど、すでにもう何個か仕込んでありますんで......」

藤田 「あんまり聞きたくなかったけど(笑)。まぁとりあえず、ちゃんと引っかかりたいと思います!」

大村 「でも、内心複雑ではあるんですよ。イタズラの映像が、漫才をやってるとき以上にウケることもありますからね(笑)。イタズラが本編で、ネタのほうが幕あいなんじゃねえかって思うぐらい」

藤田 「アハハハ! でも、別にそれでいいんじゃない? ネタがヘボい年もあるだろうしさ、最悪、イタズラだけでチケットの代金分は満足してもらえると思うから(笑)」

■"ユルさ"と"微笑ましさ"がトータルテンボスの武器

 そして彼らは、テレビの仕事に対してもまた同様に、いい意味で"こだわりがなくなってきた"ようだ。

サムネイル
毎年夏から秋にかけて全国10カ所以上を回る漫才ライブツアーを展開


藤田 「いや、そりゃ当然、テレビにはたくさん出たいですよ。ただ、世の中には需要と供給ってもんがあって(笑)、自分たちでどうにかできるものでもないんで。今は、時が来るのを待ってる、っていう感じですかね」

大村 「だから、焦りはないんです。こうして毎年全国を回らせてもらえて、どの会場もほぼ満員で、しかも、ちゃんとお客さんを満足させてるっていうだけで、すごくありがたいことだし。繰り返しになっちゃいますけど、やっぱり自信があるんですよ。自分たちがやってることは間違ってないんだっていう自信が」

「どんなにテレビで売れっ子になっても、漫才は絶対にやめない」と言い切る彼らに、敢えてこんな質問をぶつけてみた。トータルテンボスの漫才の魅力とは?

藤田 「いい意味でのユルさ、ですかね。きちっとした"作品"みたいな漫才は、キングコングの西野(亮廣)あたりに任せとけばいいかなって(笑)」

大村 「もちろん僕としては、きちんと作ってるつもりなんですけども、それを藤田が演じることで、ユルい感じになっちゃうっていうね(笑)。でも、それは全然イヤじゃなくて、僕にとってはすごく面白いんです。要は、自分たち自身が楽しんでやってるところが、トータルテンボスの漫才の肝なんじゃないかな。自分で言うのも恥ずかしいけど、そんな2人の関係性の微笑ましさが、最大の武器なのかなと思います」


【プロフィール】
トータルテンボス
大村朋宏(おおむら・ともひろ)1975年4月3日生まれ、静岡県出身。
藤田憲右(ふじた・けんすけ)1975年12月30日生まれ、静岡県出身。

小学校時代からの親友だった2人が、NSC(吉本総合芸能学院)東京校(3期生)を経て、1997年にコンビ結成。『M-1グランプリ』では参加した2004~2007年で3回決勝進出を果たすなど、実力派の若手漫才コンビとしてブレイクを果たす。
毎年夏から秋にかけて全国10カ所以上を回る漫才ライブツアーを展開しているトータルテンボスが、『トータルテンボス全国漫才ツアー2015「餡蜜」』として今年も日本各地に"笑い"と"イタズラ"をお届け。さらに、昨年の全国ツアーのステージの模様を収めたDVD『トータルテンボス全国漫才ツアー2014「strelka」』のリリースも決定。8月26日(水)、よしもとアール・アンド・シーより発売される。
現在、ルミネtheよしもとなどの舞台を中心に活動するほか、『くさデカ』(テレビ静岡)、『ぐるぐるスクール』(広島テレビ)などにも出演中。

(文/泉英一)
(写真:トレンドニュース)

トレンドニュース「視線の先」 ~築く・創る・輝く~
エンタメ業界を担う人が見ている「視線の先」には何が映るのか。
作品には、関わる人の想いや意志が必ず存在する。表舞台を飾る「演者・アーティスト」、裏を支える「クリエイター、製作者」、これから輝く「未来 のエンタメ人」。それぞれの立場にスポットをあてたコーナー<視線の先>を展開。インタビューを通してエンタメ表現者たちの作品に対する想いや自身の生き 方、業界を見据えた考えを読者にお届けします。

Facebookコメント
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対してヤフー株式会社は一切の責任を負いません。
PR

最新記事

rss

もっと見る

本文はここまでです このページの先頭へ