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芸能界随一の動物好きとして知られるお笑いコンビ・ココリコの田中直樹。バラエティ番組などでその動物への愛情やマニアックな知識を披露するだけでは収まらず、動物に関するコラムを連載したり、さらにこのほど、"生物界のインディー・ジョーンズ"の異名をとる生物学者・長沼毅氏との共著による生物図鑑を出版するに至った。そこまで生き物の世界にのめりこむ興味、好奇心、愛情の源は何なのか――。

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『図解 生き物が見ている世界』(学研パブリッシング)を出版したお笑いコンビ・ココリコの田中直樹


■少年時代の目撃した"事件"がトラウマに

田中も当時の多くの少年と同じように、近所の田んぼや畑で生き物を見つけては、捕まえたり観察したりして遊んでいたという。しかし田中少年が、さらに生き物への興味、さらには自然界への関心を高めるきっかけとなったのは、当時目撃した、あるショッキングな"事件"だった。苦手な生き物はあまりいないという田中が、唯一、いまだにちょっと苦手だというのがトノサマガエル。その事件を目撃したことでトラウマになってしまったという。

「シマヘビがちょうどトノサマガエルを飲み込む瞬間を見たんです、幼稚園の時だったと思うんですけど。それまで、ヘビがカエルを頭から飲み込むのは何度か見たことはあったんですけど、その時のシマヘビはトノサマガエルを足元から飲み込んでいて、ちょうどヘビの口からトノサマガエルの顔だけが出ていて、僕がパッと見た時に、ヘビがクビごとこっちを振り返ったんです。当然、トノサマガエルも僕を見たわけですよ(笑)。その時の衝撃がすごく強くて。ヘビも怖いし、カエルはかわいそうって思うし......。その時に厳しい生存競争みたいなものを感じたのかもしれないですね。"生き死に"の世界を初めて目の当たりにした。生き物が生き物を食べる。人が蚊を殺すとかじゃなくて、生き物同士の生存競争みたいなものが、すっごく強烈に脳裏に焼き付いたのを覚えているんですね。いまだにすっごい覚えてます。申し訳ないっていう思いもあったんです。例えばそこでヘビをワーッて追い払ったら、トノサマガエルは助かったかもしれないです。でもそれはヘビからしたら迷惑な話で、蛇は蛇で生きていかなくてはいけないから、それは静観するしか無かったんですけど......」

少年期にそうした厳しい生き物たちの世界を目の当たりにした田中少年。トノサマガエルの喰(く)われる姿に大きなショックは受けたが、しかしその一方で、そんな弱肉強食の世界の"シンプルさ"を嗅ぎ取り、惹(ひ)かれていったのだという。

「その体験で自然界の厳しさを知った。食物連鎖とか弱肉強食っていうのはエグいっちゃエグい部分も多々あるんですけど、意外とシンプルなものなんだ、って後々わかっていったんです。生き物のバランスとしてずっとそれを繰り返してきているので、そこには余計な物がないといいますか。食べるために狩らなければいけないし、生きるために逃げなければいけないし、食べて寝て交尾交接のタイミングを待つ。すべての行動が『生』に直結している、その真っすぐなシンプルさに惹(ひ)かれますね」

■生き物たちはこの世界がどう見えているのか

田中にとってはヒトもライオンもサメもカエルも、同じ「動物」。普段から"人間と動物という分け方"はしないのだという。同じ生き物として、同じ目線でほかの生き物のことが気になる。

ほかの生き物は、この世界がどんなふうに見えているんだろう。そんな興味から7月28日に『図解 生き物が見ている世界』(学研パブリッシング)を出版した。タイトルの通り、さまざまな生き物たちにはこの世界が「こういうふうに見えているであろう」と解説した図鑑。ヒトを含め34種類の生き物たちが持っている視細胞や視野、視力、さらに視覚の脳処理から、推測される「見えている世界」をオールカラーのイラストで表現している。

「生き物にはそれぞれに魅力があるんですよ。形だったり、生態であったり、それぞれの能力であったり。ヒトはこうなのに、象はこうなんだ、ライオンはこうなんだ、とか。同じ哺乳類なのにこんなに違うのか、爬虫類(はちゅうるい)になるともっとこんなに違ってくるのか、とか。そこに興奮するんだと思う。
例えば、僕が一番好きなのはサメ。なんでかというと種類が500種もあり、魚という分類の中でそれだけ幅広い種類がいるのが魅力で、ほんとに20センチちょっとのサイズの子もいれば、ジンベイザメみたいな12、3メートル級の子もいる。変な話、一種類でもいいわけじゃないですか。でも、形や性格や食生活などが変わると生態も全然違ってきますしね。同じ種類のサメでも個体差がとてもあるんです。」

■芸能界という多種多様な生き物が存在する世界

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『図解 生き物が見ている世界』(学研パブリッシング)を出版したお笑いコンビ・ココリコの田中直樹


自身の好きな生き物の世界をやや興奮気味に話す田中に、そんな"種類の豊富さ"に惹(ひ)かれる理由について尋ねてみると、「いろいろな人がいるから面白い、っていうのにつながってくると思う」という。芸能界という、それこそ多種多様なヒトたちがしのぎをけずる、生物のるつぼのような世界に進んだのは、そうした生物学的な関心からだったのだろうか。そんな、ちょっとこじつけのような質問をぶつけてみると、「考えたことなかったですけど(笑)」と苦笑いしつつも、自身の芸能界での立ち居振る舞いに関する考え方が若手の頃から比べて変わってきたのは、やはり"種類の豊富さ"への関心が少なからず影響していたようだ。

「若手の時は、舞台でもテレビでもほかの人はどんどん前に出るのに、自分は前に出られなかったり、ギャグとかも持ってない自分に対して情けない思いをしたりとか、そういうことを感じることが多くて。今でもそれはあるんですけど、若手の頃よりは、どこか自分らしくやっていければいいかな、って思えるように少しはなってきました。自分らしさがしっかりあって、そこでやっていってもいいのかな、って。動物も狩りの仕方はそれぞれ違いますからね。追いかけていくタイプもいれば、待ち伏せ型や、群れずに単独で行動するのもいる。本当にさまざま。例えば鳥類のハシビロコウって、ずっと何時間も立ったままじゃないですか。そういうタイプもいるから。僕もずっと棒立ちの時もありますけど(笑)。芸能界でも、人それぞれスタイルがあるし、それが必要になってくる。自分も自分のスタイルを見つけていけたらいいな、って思います。それが何なのかわからないので、模索中ですけど」


本人は「模索中」だというが、芸能界の生き物たちを網羅した図鑑があるとすれば「ココリコ・田中直樹」の項目には、その目から見えている世界がしっかりと書き込まれているだろう。また、8月16日(日)には東京・新宿の紀伊國屋書店新宿本店にて、共著の長沼毅氏と共にトークショー&サイン会も開催決定。夏休み中の子どもたちの自由研究の参考にいかがだろうか。田中少年のように、そこから新たな世界が広がるかもしれない。

ココリコ・田中直樹
1971年生まれ。1992年に、小学校時代からの同級生・遠藤章造とともにココリコボンバーズを結成し、のちにココリコと改名。現在、日本テレビ系「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」や、テレビ朝日系「いきなり!黄金伝説。」にコンビでレギュラー出演中。そのほかに単独でのレギュラー多数。座右の銘は「人生は一笑いで変わる」

(取材・文/花@HEW
(写真:トレンドニュース)

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