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処女小説で芥川(あくたがわ)賞を受賞したピース・又吉直樹をはじめ、絵本の世界で新たな才能を開花させているキングコング・西野亮廣などなど、本業のお笑いとは異なる分野で活躍する"+1芸"を発揮する芸人たちが世間を賑(にぎ)わせている。また、DJイベントや、音楽フェスを開催する芸人たちも年々増えており、昨今のお笑い芸人は、そうした新境地を開拓することで芸能界生き残りの活路を見いだそうとしているかのようだ。そのために必要となるのは他を圧倒するだけの実力や価値のともなう独自の"+1芸"。カラテカ・入江慎也の「コネクション」もそのひとつに入るかもしれない。

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8月22日に東京・新木場STUDIO COASTで開催「IRIE CONNECTION 2015 ーELECTRIC 泡 PARTYー」


■豊富な人脈は"ミーハー"が原点

バラエティ番組などで、その多岐にわたる意外な人脈を明かしては、共演者達を驚かせている入江。実際に、ケータイのメモリには5000件を超す連絡先が入っている。驚くべきはその数ばかりではない。クラブや飲み屋で知り合った若い女性から、先輩芸人、芸能界の大御所、さらには大物スポーツ選手や政治家など、業界内であれどなかなか知り合うことのできない人物もその中に加わっている。試しに幾つか名前を聞いてみると「横綱(白鵬関)とか、(サッカー女子日本代表の)澤穂希さんとか...」と、そんなビッグネームがさらりと出てくる。入江にとって、そうした著名人との付き合いはあくまでも"普通"のこと。それが日常なのだ。

「気づいたら勝手に広がっていた。気づいた頃には知り合いだらけでしたね」。吉本に入った当初からその"能力"は知らず知らずのうちに発揮され、気づけば遊び相手は芸人仲間だけでなくサッカー選手たちなどに広がっていたそうだ。
「勝手に広がっていた」とは言うが、もちろんコネクションを広げるための行動は起こしている。クラブやパーティでは、とにかく気になった相手と連絡先を交換するため、グイグイと進んでいっていたという。「イタかったんじゃないですかね(笑)」と当時の行動を自虐的に振り返りつつも、「断られたとしても『どうせ二度と会わねぇんだ』と思って」と、とにかく失敗を恐れずに果敢にチャレンジしていたそうだ。そんな自身の行動力について「まぁ、ミーハーでしたからね。芸能人に出会ったら電話番号を聞こうって決めていましたし」。

■相手に気に入られるために不可欠な「WBC」とは?

もちろん、無策で攻めるわけではない。相手に気に入られるための術をしっかりと用意した上での行動だ。「僕なんかは"WBC"って言ってるんですけど、『(W)笑って』、『(B)びっくりして』、『(C)チェックする』。これさえできれば、誰とでも上手に付き合えますよ。どんな職業の方でも、やっぱり笑って明るいヤツと話したいじゃないですか。そして話をしっかり聞いてくれる、あとは質問をいっぱいしてくれると、『ああ、自分に興味をもってくれているんだな』って気分が良くなりますよね。しかもそのために自分のことを前もって調べてくれていたりすると、誰だってうれしくないですかね」。

"入江流コネクション術"の神髄をさらりと言ってのける。コネクション作りや対人コミュニケーションで悩む人の多くは、それを頭で分かりながらも「それができさえすればなぁ」と頭を抱えてしまうところだろう。やはり誰にでもすぐ簡単にできるものではない。しかし入江は「僕はずっとそうやってきたので、苦だと思ったことはない」と、あっさりそう言い切れるところが、やはり非凡なところなのだろう。

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8月22日に東京・新木場STUDIO COASTで開催「IRIE CONNECTION 2015 ーELECTRIC 泡 PARTYー」


そんな入江が3年前から毎年開催しているイベントがある。"入江コネクション"というべき、その名も「IRIE CONNECTION 2015 ーELECTRIC 泡 PARTYー」。まさに入江の豊富な人脈を生かして出演者やスタッフなどを集めたイベントだ。3回目となる今年は初の夏開催、8月22日に東京・新木場STUDIO COASTで開催される。その理由の一つは、これまでと趣向を変え"泡パーティ"を取り入れたことにある。DJたちの流す音楽を楽しみながら、設置されたプールで泡にまみれた水着の男女が戯れ合う......なんとも夏らしいイベント。しかも、3大特典として「1)名字が入江の方 2)8月生まれの方 3)水着女性」が入場無料となっている。
同イベントの魅力をアピールしてもらうと、「やっぱり、水着の女子と触れ合えるところでしょ。男子も女子も水着ですから。まぁお祭りというか」。DJ陣にもそうそうたるメンツが揃い、流れる良質な音楽を楽しんでもらうことはもちろんだが、それは"楽しみ方"のひとつ。それ以上に、あくまでも来場した男女が楽しく盛り上がり、知り合いになり、つながって輪がひろがっていったらいいな、という思いから始めたイベントだ。「ミーハー」だと自称する自身のブレない軸がある。

しかし回数をこなす中でいろいろな壁にもぶつかり、試行錯誤を繰り返している。それでも続けるのは「先は分からないですけど、やり続けていたら何か見えてくるものがあるんじゃないかな、と思って。その中で出会う人も増えてますし、スタッフさんやタレントさんも増えてきて、そこでお互いが高め合えたらいいな、っていうのがあるからやっていますね」。

■自分が勝てるものを伸ばす

イベントもあくまでコネクション作りの一環。そうやって人脈がさらに広がっていく先に入江は何を見据えているのか。「ゆくゆくは東京ガールズコレクションみたいに、誰もが知ってるイベントにしたいな、って。まぁその難しさもわかってきましたし、大変なことですけど、それも含めて勉強になっています」。

そして先述したお笑い芸人の"+1芸"の話を振ってみた。将来的には「自分にしかできないビジネスで当てて、それが芸人としての"武器"になれば」と考えているという入江。「武器は持っていたいですよね。たとえば僕らがカラテカで『キングオブコント』に出たって絶対に勝てない。それなら自分が勝てる場所で勝負するしかない。それで、イベントなら勝てるかな、とか、自分が"勝てるもの"を伸ばしていこう、っていう生き方をしていると思ってます」。


次々に新しい芸人たちが台頭してくるお笑いの世界。しのぎをけずる各芸人たちの生き残りを賭けた戦い方はそれぞれだが、「勝てるものを伸ばしていく」という入江の考え方は、一つの真理なのかもしれない。

カラテカ・入江慎也
1977年生まれ。相方・矢部太郎と1997年にカラテカを結成。それぞれピンでの活動が多く、入江の主な出演番組は「芸人報道」(日本テレビ)など。座右の銘は「行った先に何かある」

(取材・文/花@HEW

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