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今年20周年を迎えたお笑いコンビ・スパローズのキャッチフレーズはズバリ"キングオブクズ"、"クズ界の貴公子"。現在お笑い界では、ウーマンラッシュアワーの村本大輔、ドランクドラゴンの鈴木拓、南海キャンディーズの山里亮太といった"クズ"を売りにした芸人たちによって、ちょっとしたクズ芸人ブームが起きている。実はスパローズは5年ほど前からクズキャラを前面に押し出した漫才を行っており、クズ芸人のパイオニア的な存在なのだという。

パイオニアというだけあって、彼らのエピソードはインパクト大。ツッコミの森田悟は元ヒモ、ボケの大和一孝は債務整理・自己破産も経験済みの借金王。酸いも甘いも噛(か)み分けたスパローズがクズ芸人の心構えを語った。

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(GYAO! トークバラエティ「ぶるぺん」出演 芸人:スパローズ)


■借金地獄のきっかけは先輩芸人のアドバイス

森田: 「クズ芸人って金方面にクズなのか、女性方面でクズなのかで大きくふたつに分けられるんで、僕らはそれなりに分担できてるってことなんですかね(笑)。僕は昔おっさんのヒモやってる女のヒモやってました。長~いヒモの一番下つかんでたのが僕って感じですね」

大和: 「僕のほうは主に金銭面でいろいろ......。まだコンビ結成したての福岡吉本時代、先輩芸人たちの『芸人ならバイトするな! 借金して遊べ!』っていう言葉を真に受けていたんですよ。そして気付いたら借金が400万円。しかも利子39%なんていう会社からも借りてたんで、利子を払うだけでも地獄でした。2日に1回督促が来る生活なんで、頭の中は返済のことでいっぱいでした」

森田: 「あの頃は今と目つきが全然違ったもんね。よっぽどオーラがヤバかったのか、大和さんと道で偶然すれ違った宜保愛子がビクッとするという......。あの宜保愛子をビクッとさせるって相当だよ!」

大和: 「いざ上京してみたら芸人でも借金なんてないのが普通だってわかったしね。だから福岡吉本の先輩の言葉で人生変わったようなもんですよ。あれがなければ自己破産なんてしない人生だったかもしれない......。今はもう知り合いに個人的に借りてるぶん以外は借金ありません!」

■クズは誰にでもできるものじゃない

大和: 「クズ芸人って言われてる人たちって基本的にサービス精神が旺盛だと思うんですよ」

森田: 「『人格破綻者の集い』っていう、グランジの(佐藤)大ちゃんとか鬼ヶ島の和田(貴志)とかなかなかのクズがそろうトークイベントがあるんですけど、出演すると本当に皆いいやつだなって感じますもん。それ言っちゃうんだ......みたいな話でもお客さん笑わせるためにガンガン話していきますからね」

大和: 「クズって誰にでもやれるもんじゃないですよ。ただのクズはいっぱいいるかもしれないけど、それを笑いに変えるには、まず人懐っこさは必須だと思うんですよね。あとは、ここを超えたらシャレにならなくなるっていう最後の一線を見極める力かな。例えば現在進行形の浮気の話をしちゃったらお客さんは確実に引くけど、それが十年以上前の浮気の話だったらギリギリセーフかなと。もちろん浮気自体はダメですけどね!」

森田: 「僕、ナイナイの矢部さんに33万借金してるんですけど、矢部さんが『20万返せ』とか金額間違えてたらちゃんと訂正するようにしてるんです。もちろん金借りてる時点でどうなんだって意見はあると思いますけど、そこは素直でいたいし、なにより『こいつクズだけどかわいらしいな』と思っていただきたいんで。"最後の愛嬌(あいきょう)"みたいな部分は意識しています」

大和: 「僕もバイト先の牛丼屋の店長さんに最近45万借りてるんですけど、その人は僕がいつか売れるって本気で信じてくれてるんです。だから迷惑かけてはいるけど別に関係は悪くない。クズを売りにしているからこそ、人とどれだけいい関係を結べるかっていうのは大事ですよ。この業界、嫌われたら終わりですから」

■コンプライアンスが厳しいテレビ業界でクズは重宝?

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(GYAO! トークバラエティ「ぶるぺん」出演 芸人:スパローズ)


大和: 「今テレビ業界はどんどんコンプライアンスが厳しくなっていってますよね。そんななかでクズ芸人ってやっぱり重宝な部分はあるのかな。コンプライアンスってざっくり言ってしまうと『人を傷つけるのはダメ』っていうものだから、クズ芸人が自分のクズエピソードを話すぶんには過激な内容でもある程度はセーフになるんじゃないでしょうか」

森田: 「過激なものが見たい視聴者の方々を、クズ芸人が身銭を切って満足させてる......って言ったら言い過ぎかもしれないけど。僕らもテレビに出るときは、スタッフさんからクズエピソードを求められるので、クズに需要はあるんでしょうね」

大和: 「クズネタの漫才やっていて強みだと思うのは、そのままフリートークに繋(つな)げられるところです。芸人ってネタとトークで2回売れなきゃいけないって言われていて、実際ネタで売れたけどそこから自分たちのキャラを知ってもらうことができずに悩んでる芸人って多いんです。でも僕らは漫才やればやるだけ僕らの性格についても知ってもらえますから。そういうメリットがあるから、今後もクズネタをやろうとする芸人っていうのは現れるかもしれません」

森田: 「でも何度も言う通り、クズは誰にでもできるものじゃないですからね! それにクズ芸人ブームといっても、400万円も借金する人はなかなか出てこないでしょう(笑)」


今年8月に開催したスパローズの20周年記念ライブ『クズ成人式』では、なんと繋(つな)がりのある芸能人とファンから"ご祝儀"として総額170万円が集まったそうで、まさに「クズは愛嬌(あいきょう)」を表すエピソードといえよう。元ヒモと借金王からなる"クズ界のパイオニア"。クズブームは続いても、このふたりを超えるエピソード、そして愛嬌(あいきょう)をもった芸人は早々出てこないはず!

◆スパローズ
大和一孝(写真右)と森田悟(写真左)からなるお笑いコンビ。大和は1976年10月17日生まれ、森田は同年12月14日生まれ。ともに福岡県出身。
10月7日に東京・座・高円寺2でレイザーラモンやエルシャラカーニらとともに漫才ライブ「もしも『THE MANZAI』決勝最後の3組にレイザーラモン、スパローズ、エルシャラカーニが残ったら」を開催。また森田はTBS系「世界のどっかにホウチ民」でボリビアにて90日間のホウチ生活中。9月30日の放送でボリビア生活が終わりを迎える。
座右の銘は、大和が「面白きこともなき世を面白く」、森田が「大器晩成」。

(取材・文/原田美紗@HEW
(写真:トレンドニュース)

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