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『家政婦のミタ』『○○妻』など数々の話題作・ヒット作を手掛ける人気脚本家・遊川和彦氏と、元宝塚のトップスターで、現在も女優として数々の話題作に出演する女優・天海祐希。2005年に『女王の教室』で社会現象を巻き起こした強力コンビが、『演歌の女王』を経ておよそ8年ぶりにタッグを組んだ新感覚の大人のラブストーリーが、『偽装の夫婦』(10月7日放送)だ。

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連続ドラマ『偽装の夫婦』(毎週水曜後10:00)脚本家・遊川和彦氏


主人公は、穏やかなほほえみと人当たりの良さで「孤高の美女」「理想の女性」と慕われる図書館司書の嘉門ヒロ(天海祐希)。しかし、実は大の人嫌いである彼女。表面上は笑顔を作りながらも、その心の中では尽きることなく他人に対して悪態を付いていた。心を閉ざし、「一生ひとりで生きよう」と決めていたヒロだが、そこにかつて彼女が生涯で唯一愛した男・陽村超治(沢村一樹)が突如現れる。25年前、理由も告げずにヒロのもとを去った超治に複雑な思いを抱きつつも、お調子者で懐にグイグイ入ってくる超治のペースにまんまとハマってしまい、偽装結婚をさせられてしまうが......。

これまで公式ホームページなどでは2人が偽装結婚をする理由について大々的にアナウンスされてこなかった同作。しかし、このたび10月7日に放送された第1話で、超治はゲイであり、余命いくばくもない母を安心させたいがために、ヒロに偽装結婚を申し込んでいる、ということが明らかに。友情から始まった、かりそめの夫婦生活にしあわせは訪れるのか? 今回も一筋縄ではいかない物語を作り出した遊川氏に話を聞いた。

日テレ新水曜ドラマ「偽装の夫婦」第1話本編>>

■描きたかったのは個性を認め合うということ

--第1話が放送され、心を閉ざした女性と、ゲイの男性との偽装結婚というモチーフの物語であることが明らかになりましたが、そこで訴えたいものとは?

描いたのは「ひとつの個性」ということです。人はそれぞれが違うということは当たり前のことであり、お互いを認め合うということが世の中に大事なこと。世の中にはいろいろな個性の人がいて。たまたまその中のひとりがゲイだったというだけで。このドラマはそういった人間の個性を認める、ということがテーマなので、ジェンダーの問題は深く掘り下げるつもりはありませんし、そういったドラマを期待する人にとっては肩透かしになるかもしれません。むしろわれわれが深く描きたいことは、主人公2人の関係性であり、親友とは何なのか、結婚とは何なのか、ということなんです。

--今回の作品が誕生した経緯は?

これまで見たことのない天海さんを見たい、それは何だろうというところが企画の出発点です。天海さんという人は常に丁寧だし、人に気を配っている人。でも僕は性格が悪いんで、表面に出ていることがすべてだとは思わないんです。ああいう人ほど、もしかしたら本当は心の中でいろんな人に毒づいているんじゃないかと想像してみたのがこの作品です(笑)。僕らとしては天海さんからインスパイアされた物語だと思っています(笑)。


■「偽装の夫婦」は、脚本家人生第2章の始まり

--天海さんの新しい側面を見せたいと。

やはり天海さんはカッコよくて、明るいスターなんですよ。でも、ある意味、そういった安全な役ばかりやってもらっては芸能界にとっては損失だと思います。トップスターには、どんな役であっても、果敢に挑戦する、という姿勢を見せてもらいたいんです。

今は若手がチャレンジをしようとしない。人前でぶざまなことを見せるのを恐れている。だからスター 天海祐希が挑戦し、ぶざまに転んで、そしてまた立ち上がるというような姿を見せることで、後輩たちにも勇気を与えると思うんです。幸い、天海さんも喜んでやりますと言ってくれているんで、良かったです。

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連続ドラマ『偽装の夫婦』(毎週水曜後10:00)脚本家・遊川和彦氏


--ヒットを期待されているという意味では、遊川さんにもプレッシャーがかかっていると思うのですが。

天海さんに比べたら、そんなものはないですよ。これまで僕が作り続けてきた作品は、最初にバシバシと殴って不愉快な思いをさせた上で、最後に大丈夫かと優しくする、といったドラマでした。でももうすぐ還暦になるので、そういったものを全部捨てようという決心をしました。もう殴るのをやめます(笑)。これから10年は、楽しく、そして観終わった後で考えさせられるようなドラマを書きたい。少なくとも、本人の意識としてはそういうドラマを作りたいなという気持ちになっているんです。

--すると『偽装の夫婦』は、遊川さんの脚本家人生第2章の始まりとなるわけですか?

そうです。今回は最終回を見ても不愉快な思いはしませんから。『○○妻』の最終回では、何てことをしやがるんだと言われましたけどね、主人公を死なせたんで(笑)。それでひるんだわけでもないですが、やはりエンターテインメントなので、もっとたくさんの人に喜んでもらいたいなと思ったんです。だからここで変わるぞ、と宣言をしているわけです。人に変わってほしいと言っているんだから、自分だって変わらないといけないと思う。そのつもりでやっています。

■オファーが来なくなるまで連ドラをやり続ける

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連続ドラマ『偽装の夫婦』(毎週水曜後10:00)脚本家・遊川和彦氏


--これまで連ドラを30作品以上担当してきた遊川さんは、ヒットメーカーとしていまだに現役で走り続けています。

僕らが若い頃は優秀な方がたくさんいたんで、その中で目立とうとしていただけですよ。でもいま同世代で連ドラを書いている人は少なくなりました。連ドラはしんどいですからね。失敗したら、また立ち上がればいいじゃないですか。打席に立たないと、ヒットもホームランを打つことはできないんですから。

本当にもったいないです。僕よりも才能のある人がたくさんいるのに、その人たちが言い訳をして逃げていく。そういうのを見ているから、僕は逃げないと言っているんですけどね。だからオファーが来なくなるまで、連ドラをやるしかないですよ。しんどいですけど、結局テレビドラマが好きなんですよ。それで育った人間ですから。

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連続ドラマ『偽装の夫婦』(毎週水曜後10:00)脚本家・遊川和彦氏


――最後に座右の銘を教えてください。

これはいろんなところで答えていることなんですが「努力するものは報われる」ですね。高校の頃に一度、俺は天才かもしれないと思って、勉強をしないでテストを受けたことがあったんですが、全然ダメだった。俺は天才じゃない。やはり努力しないとダメな人間なんだと気づいたんですよ(笑)。年をとればとるほど、体力や気力、情熱が衰えないように、どう継続していくか、ということを考えて、努力の量を2倍、3倍と増やしていかなければいけなくなる。どの分野でも、年をとっても衰えない人というのは、そういうことを気にしている方なんだと思います。

※脚本家という仕事を「しあわせな仕事ですよ」と語る遊川氏は、「現場に行って、役者がいい芝居をするのを目の前で見る時が一番しあわせ」と語る。歯に衣(きぬ)着せぬ発言がしばしば話題になる遊川氏だが、この日も「コンプライアンスの問題などで萎縮しているドラマの現状に危機感を抱いています」と警鐘を鳴らし、「若者に自由な発想をさせるシステムを与えてやるのが、年をとった人間の役割だと思う。そのために僕は頑張りますよ」と決意を語っていた。歯に衣(きぬ)着せぬ発言も、その根底にあるのはテレビドラマに対する深い愛情だ。

◆遊川和彦(ゆかわかずひこ)
1955年東京都に生まれ、その後、広島県大竹市で育つ。大学卒業後に上京し、テレビ番組制作会社に入社。1987年の「うちの子にかぎって・・・スペシャル2」で脚本家デビューを果たす。その後も「ママハハ・ブギ(1989年)」「GTO(1998年)」「女王の教室(2005年)」「さとうきび畑の唄(2003年)」「家政婦のミタ(2011年)」「純と愛(2012年)」「○○妻(2015年)」など常にヒット作・話題作を生み出すヒットメーカーである。

(取材・文/壬生智裕)
(写真:トレンドニュース)

トレンドニュース「視線の先」 ~築く・創る・輝く~
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