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映画『STAND BY ME ドラえもん』の主題歌として書き下ろし、大ヒットを記録した「ひまわりの約束」や、「水彩の月」「Q & A」「聖なる夜の贈り物」など映画やCMソング、番組テーマ曲など7曲のタイアップソングも収録された秦 基博の約3年ぶりとなるオリジナルアルバム『青の光景』が12月16日にリリースされる。自らのフィルターを通した青みがかったサウンドを全体を通して構築していきたかったという秦が生みだした楽曲は切なく、そっと寄り添うように優しく、ときにしなやかに現代に生きる自分たちの姿を映し出す。35才のシンガーソングライターの視点の先にあるものとは?

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12月16日オリジナルアルバム『青の光景』をリリースする秦 基博


■透明な青、深く暗い青、さまざまな青色を音や言葉で具現化したかった

――映画の主題歌やCMソングなど数々のヒット曲も収録されたニューアルバム『青の光景』にはそっと人の心に寄り添う曲、さりげなく背中を押してくれる曲など、いろいろなことを経験した大人だからこそ書ける視点の楽曲が収録されていると感じました。秦さん自身はどんなテーマや意識を持って取り組んだのでしょうか?

「まず、今回のアルバムに関しては制作に入る前からサウンドのイメージがあって、それが"青"という色だったんです。音に色はないと言われそうですが、自分のフィルターを通した青みがかったサウンドをアルバム全体を通して作っていきたいという思いがありました。収録されている楽曲の中でいちばん古いのはシングル「ダイアローグ・モノローグ」(2014年4月)ですが、そこにもうアルバムを見据えた音のニュアンスが入っています」

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12月16日オリジナルアルバム『青の光景』をリリースする秦 基博


――では楽曲が出揃(そろ)った時点で『青の光景』というタイトルを付けたんですか?

「そうですね。そもそも"青"は自分のテーマのひとつとして以前からあったんですが、今回アルバムのタイトルに"青"を使いたくて、『青の光景』という言葉を思いつきました。ひとことで"青"と言ってもそのグラデーションの中にはいろいろな青色があると思うんですよね。また、自分の未熟さを"青さ"と表現することもあるだろうし、物哀しいときに"ブルー"という表現を使うこともある。生きていく上で必ずついてまわる悲哀の色だとも感じたし、そういうさまざまな想いを含めてサウンドや言葉で形にできた作品だと思ったので」

――秦さんは過去に「青い蝶」、「青」、「プール」、「海辺のスケッチ」など"青"にまつわる楽曲を数多く発表されていますよね。ご自身の心の中を置き換えたときに浮かぶのが青という色なんでしょうか?

「ええ。あとは自分のフィルターを通して見えている世界ですね。曲はいつもメロディから作るんですが、ギターを弾きながら歌っているときに景色が浮かんだり、それこそ色や匂いなど形ないものからもインスパイアされて曲になっていくんです。もちろん曲によっては暖色系のときもあるし、さまざまなパターンがありますが、青色は自分の中でイメージが広がっていくことが多いですね。今回のアルバムにも透明感があって爽やかな青もあれば、深くて暗い青もある。曲を作る時点ではイメージでしかなかった"青"を言葉、メロディ、アレンジで具現化したものが『青の光景』だと思っています」

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12月16日オリジナルアルバム『青の光景』をリリースする秦 基博


――映画『STAND BY ME ドラえもん』の主題歌になって大ヒットを記録した「ひまわりの約束」は子供から大人まで幅広い世代に愛された楽曲だと思います。このことはアルバムに何らかの影響を及ぼしましたか?

「「ひまわりの約束」を作る前からアルバムの全体像、こういうサウンドを伝えたいということは決めていたので、影響はあまりないかもしれないですね。ただ、そこで初めて自分を知ってくれた方たちもいると思うので、あの曲が持っているあったかさとか優しさに触れた方がアルバムを通して自分のいろいろな感情に触れて共鳴したり、驚いてくれたらいいなという気持ちはありました」

■もっと自由に真剣に遊べる大人になるのが理想

――では、アルバム用に書き下ろした曲についてエピソードを聞かせてください。切なく憂いのある「嘘」で始まるアルバムですが、「あそぶおとな」という軽快なナンバーも収録されていますね。"遊ぼう自由に 壊そう"と歌っていますが、この曲は大人に向けたメッセージでしょうか?

「(笑)大人に向けてというよりも自分自身ですかね。今の自分がぶつかっている壁であったり、悩んでいることを投影しながら作った曲です。ライブで盛り上がったらいいなと思って明るい曲調にしていますけれど、年齢的にもキャリア的にも一人前と言われる今、もっと先に向かって成長していきたいなと。例えば、僕より10才も20才も上の先輩たちと接すると、真剣に遊んでいるというか、より物事を自由に捉えている気がして、カッコいいなと思うんですよね。大人のあるべき姿としてすごく理想的だなって」

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12月16日オリジナルアルバム『青の光景』をリリースする秦 基博


――何才になってもトキメキとかひらめき、子供心を忘れないっていうことですよね。

「そうなんですよね。でも、それってすごく難しいことでもあって、経験を積めば積むほど、いろいろなことに縛られていくし、囚われていくじゃないですか。それはそれで良いこともあるんですが、"一歩踏み出していろいろなことを自由に楽しむ自分でいたい"というのが「あそぶおとな」に込めた想いです。僕に限らず同世代の方も同じような壁にぶつかっている気がしたんですよね。アルバムの中では明るめの青かもしれないですが、内容的には自分が直面している問題だったりするんです」

――センシティブなサウンドも秀逸な「ディープブルー」は深い青ですよね。

「そうですね。いちばん深い海の底のような青」

■深い哀しみの底にいる人に少しでも寄り添えれば......

――この曲は傷ついていたり、深い哀しみの中にいる人に寄り添いたいという想いがあって書いた曲なんですか?

「かける言葉が見つからないぐらいの哀しみの中にいる人は、この世の中にたくさんいると思うんですよ。だけど、その人を救うとか、そういうことではなくて、せめて寄り添ったり、分かち合ったりすることから始まっていくのかなと思ったんです。自分の音楽がどんな役割を持っているのかはわからないですけど、哀しみの淵(ふち)にいる人が求めてくれるのであれば、そこに自分の音楽があってほしいなと思うし、シンガーソングライターという立場でなくとも、もし身近にいる人がそういう状況にいたとしたら、自分はどう行動して、そして何ができるのかなと。歌詞に"愛や夢なんて どこにもないって"っていう一節が出てきますが、言葉ではいくらでも言えるけれど......っていうのがありますよね。そういう想いを曲にしたのが「ディープブルー」なんです」

――そういう奥深さも含めて、経験を重ねた人間ならではの歌が染み込んできます。約3年ぶりのオリジナルアルバムですし、ご自身の変化も投影されていますよね。

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12月16日オリジナルアルバム『青の光景』をリリースする秦 基博


「もちろん、それはあると思います。"曲の主人公=秦 基博"かというと決してそうではないですが、自ずと曲に自分自身は投影されていくし、借りてきたような言葉を歌ってもリアリティーは生まれないんですよね。"本当に今、自分が歌うべきことなのか"と問いかけながら作品をつくっているので、やっぱり、年齢だったり、重ねてきた出会いや縁の中で感じたことが入ってくる。10年前とは違うことを歌っていると思うし、今を歌おうとすればするほど、自然と変化が反映されていくと思います」

――2016年3月からは全国ツアーがスタートしますが、ライブ中、秦さんが"歌っていてよかった!"とテンションが上がるときは?

「ライブって足を運んでくれるみなさん一人ひとりの想いだったり、その日の天気だったり、季節だったり、いろいろなことがないまぜになりながら、一つ一つの瞬間が作られていくので、同じセットリストだったとしても本当に二度とない時間なんです。そんな中、思い描いていたライブのピークと会場の空気がうまく合って一体感を感じられるとテンションが上がるというか、感動します。一方、弾き語りのライブは独特で、みなさんが息をのむように集中して聴いてくださっているときは自分も吸いこまれるような感覚がある。静と動ですけれど、その幅があるから楽しいんですよね。来てくれた人たちの想いを受け取って歌っているので、新たな発見もあるし、アルバムを作って終わりじゃない。ツアーの中で初めて『青の光景』が完成されていくと思っています」

秦 基博 「聖なる夜の贈り物」 (ハウス『北海道シチュー』CMソング)>>



秦 基博 「ひまわりの約束」(弾き語り ver.)>>



秦 基博 「水彩の月」(映画『あん』主題歌)>>



秦 基博 「Q&A」(映画『天空の蜂』主題歌)>>


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12月16日オリジナルアルバム『青の光景』をリリースする秦 基博


秦 基博(はたもとひろ)
2006年11月にシングル「シンクロ」でメジャーデビュー。繊細で透明でありながら力強い歌声が"鋼と硝子でできた声"と評される。2011年には自身三度目となる日本武道館公演を全編弾き語りで大成功に終わらせるなどライブアーティストとしても揺るぎないポジションを確立。2014年リリースのシングル「ひまわりの約束」は100万ダウンロードを超す大ヒットとなった。2016年3月5日からアルバム『青の光景』を携えた全国ツアーを開催する。
座右の銘は18才の時に初めて出演したライブハウスの店長に言われた「曲は歌った瞬間、聴いた人のものになる」。

(取材・文/山本弘子@HEW
(写真:トレンドニュース)

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