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長く"不仲"とされてきたお笑いコンビ・品川庄司が今年で結成20周年を迎えた。解散を考えたこともある2人だが、いがみ合いながらもなぜ20年という長い年月をともに歩んでくることができたのか。2人の関係の過去と現在について聞いてみた。

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単独ライブ「品川庄司20周年記念コントライブ」を開催=12月26日(土)・27日(日)


■「一緒に遊んだ思い出もない」

お笑いコンビという2者の関係はしばしば「恋人」や「夫婦」などに例えられる。多くの芸人たちが、恋人でも夫婦でもないのに他の誰よりも長い時間をともにする相方との関係について尋ねられると、決まって言葉に詰まる。品川庄司の2人も例外ではなく、品川祐は「全然、恋人じゃないです。家族でもないです」とキッパリ否定しつつも、では何なのか、と聞くと「例えようがないんですよ......」と返答に窮した。庄司智春は「コンビって独特ですし......特に品川庄司は独特だと思う」という。

2人の出会いは、よしもとの養成所「NSC」。コンビを組んだのは"たまたま"だったという。

庄司は「『コンビ組もうぜ』っていう契約、口約束もなく、授業のために『やってみよっか』って。それでネタをやったら先生にすごくほめてもらって、しかもNSCの重たい空気の中でウケたんですよ。最初の感触が良かったから、言い方悪いですけど、ズルズルと20年(笑)」と"馴(な)れ初め"を明かした。
品川は「友達の時代がないんで、一緒に遊んだ思い出もないですから。言うならば、『付き合おう』という言葉なしにセックスした、っていう感じ」と、まるで一夜限りの行きずりの相手との腐れ縁のようにたとえる。

■コンビ名は(仮)のつもりだった

その関係はコンビ名にも表れている。「『品川庄司』っていうコンビ名は、(授業で)ネタ順書くときに必要だったから書いただけなんですよ。だから(仮)だった」と品川。庄司も「"点"をつけて『品川・庄司』って時もあったんですが、字画を調べたら点がない方がいいってことで外したんです」と言い、品川もまた「点じゃなくて『品川_庄司』ってスペースにしたら良いかもしれないですね」と同調する。夫婦で言うなら5年後には銀婚式を迎えようというのに、今も婚姻届に判を押すことを拒んでいる。

それでも解散しなかったのはなぜなのか。品川は「踏ん切りがつかないってのもあるけど、やっぱ俺はね、周りが許さなかったような気がするなぁ...」という。それは周囲から解散を止められた、ということではない。それは2人の"格差"のようなものが影響していた。

「解散って芸人たちは皆『すごく悪いこと』って捉えていて。うちの場合だと、もし解散したら『庄司を切り捨てるのか』くらいの雰囲気っていうか(笑)。対等な立場のはずなのに、なぜか俺が悪者にされる雰囲気があった」という。しかしそれから時間がたち、庄司が「ミキティー!」のギャグなどでピンでも活躍するようになると、そうした周囲の雰囲気はなくなった。品川にしてみれば、いよいよ解散だとなりそうなものだが、「不思議とその頃には、解散する気持ちはなくなっていましたね」。それまで庄司に対して感じていた腹立たしさやいら立ちもなくなっていったという。

■変わり始めた2人の関係

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単独ライブ「品川庄司20周年記念コントライブ」を開催=12月26日(土)・27日(日)


その頃から2人の関係は明らかに変わってきた。最近でも2人で会う機会は仕事で週1回程度で、2人きりでの会話はないというが、「会話はないですけど、昔ほどは"会話がない感"はないと思います」と品川はいう。かつては楽屋やタクシーなどで一緒になった場合、そこに居合わせてしまったマネジャーや芸人仲間などを自分たちでも気の毒に思うほどに空気が重かった。品川は「申し訳ないことしたなって(笑)」と笑って振り返る。

「コイツはほんとに人見知りでしゃべんないんですよ。だから最近は僕がしゃべるようにしてるんです」と、庄司をフォローしていることを明かせば、庄司は「不思議なもんで、1人で行く現場だと話したりするんですよ」。そんな相方に品川は「勝手ですよね(笑)」と笑顔を見せた。

インタビューに応じる2人の雰囲気は和やかだ。品川は庄司の"勝手"さについて話を続ける。12月26日・27日に東京・北沢タウンホールで開催する5年ぶりの単独コントライブのこと。もともと、庄司が「やろうぜ」と品川に呼びかけていたものだ。とはいえ、ネタを書くのは全て品川。その品川は、"ラブコール"を送ってくる相方に、「別にこいつが家建てたから言うわけじゃないけど、貯金とか考えてないくせに『家建てようよ!』みたいな感じなんですよ、俺から言わせれば。『いや、簡単に家建てようっていうけど、こういう風に積み立てして、こういうふうに将来設計して、ってやらなきゃいけないのに、それをいつもやるのは俺でしょ!?』(笑)。肝心のところを考えずに、夢見がちに言うんで...」と、言葉では非難しつつも、その表情はなんだかうれしそうにも見える。

■品川、庄司&ミキティーの豪邸は「俺も住む権利ある」

2人の関係の変化は、ネタにも影響を及ぼしている。「10年くらい前の単独ライブでも、庄司の"良さ"みたいなものを生かさなきゃいけない、ってそれはわかってたんです。庄司のエンジンというかパワーって、芸人としてはわかってるんだけど、人間としてはそこまで庄司のこと好きじゃないから(笑)」と、品川は過去のネタを振り返った。
しかしそれから時がたち、庄司がパンツ一丁で「ミキティー!」と叫んでいる姿などを見ては「普通に笑えるわけですよ、ああ面白いなって」と品川。「そういう庄司のアホっぽいところを生かして作ることができるなら、20周年でコントをやる意味があるのかな、って。すごい安っぽい言い方すると、1年目の気持ちでコントを書こうかなと」と意気込みを語る。

20年の集大成であり、コンビとしての原点回帰。オール新作となるネタを執筆中の品川は、「久しぶりに、『当日なのに何にもできてない』っていう夢を見ましたね。汗びっしょりかいて起きる、っていう」とプレッシャーにさいなまれていることを明かしつつ、対照的な相方に「あの豪邸、俺に一部屋くれても良いと思うんですよ、ほんとに。一坪分くらいは俺に権利が有ると思う」と笑った。今となっては不仲というほどでもなく、かと言って気の置けない親友というわけでもない2人。いがみ合いながらも共に歩んだ20年間で熟成された"独特"な関係を築いているようだ。

■品川庄司
1995年に吉本総合芸能学院東京校(東京NSC)で出会いコンビ結成。「爆笑オンエアバトル」(NHK)などのネタ番組で頭角を現し、結成10年目には「M-1グランプリ2005」ファイナリストに。品川は近年、小説や映画の脚本・監督などお笑い以外の分野でも活躍。今年12月26日・27日には結成20周年を記念した5年ぶりとなる単独コントライブ=北沢タウンホール(下北沢)を開催する。

(文/花@HEW
(写真:トレンドニュース)

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