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縦長スクロール型のウェブ漫画サイト「comico(コミコ)」で大人気の、不条理ギャグコメディ『スーパーショートコミックス』(作:雨川きゅう)のネットアニメ全8話が、GYAO!にて12月21日より一挙配信されている(~12/31)。

約5分間のショート作品にもかかわらず、声の出演をするのは、ピカチュウの声でおなじみ大谷育江や『進撃の巨人』エレン役の梶裕貴、そして『テニスの王子様』忍足侑士役の木内秀信や『のだめカンタービレ』野田恵役の川澄綾子といった大人気声優たち。さらに主題歌を担当するのはアニソン界のアニキこと水木一郎と、地上波アニメでもなかなかお目にかかれないほどの布陣で制作発表時から注目を集めていた同アニメ

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スティーブンスティーブン代表取締役社長 古田彰一さん(左)とcomicoメディアミックスプロデューサー 吹田沙矢さん(右)


その舞台裏を探るべく、comicoのメディアミックスプロデューサーである吹田沙矢さんと、アニメ制作を手がけた映像コンサルティング会社「STEVE N' STEVEN(スティーブンスティーブン)」の代表取締役社長であり、クリエイティブディレクターでもある古田彰一さんに直撃インタビューした。

■もともとcomicoが大好きだったからいきなり押しかけた

そもそも『スーパーショートコミックス』が数あるcomico作品の中からアニメ化に選ばれた経緯とはどんなものだったのだろうか?

・スーパーショートコミックス 第1話「世界新記録」ほか>>

・スーパーショートコミックス全8話を、GYAO!にて一挙配信(~12/31)>>


古田: 「もともと僕がcomicoの大ファンで、comicoの新しいデジタルコミックからのアニメーション化をお手伝いさせてほしいと、いくつかの候補作品を持参して昨年の夏にいきなり押しかけたんです(笑)。そしてまさにこちらの吹田さんにご快諾いただきました。」

吹田: 「提案していただいた作品のなかでも、『スーパーショートコミックス』をぜひアニメ化したいという気持ちは、面白いぐらい互いに意気投合したんです。」

古田: 「今回は最初からネットアニメとして世に送り出していこうと考えていました。そしてネットアニメであるならば、どのタイミングから見ても楽しめる"出入り自由"な作品がふさわしい。そこに一番フィットしたのが、1話完結型のギャグ漫画である『スーパーショートコミックス』でした。登場する人物やキャラが各話で異なり、毎回主人公が違うというのもいつでも楽しめるポイントでした。」

吹田: 「comicoはひとつの話がとても短く、山手線1駅ぶんの時間で読めるように作られているのが特徴です。アニメ化いただくのであれば、一番ネットアニメの特性にフィットしたこの作品が古田さんのイメージしているものに近く、そしてcomicoを代表する作品だと感じて快諾しました」

■これがネットアニメの"本気"だ!

アニメ化発表の際に注目が集まったのが、人気、実力ともに第一線級の大御所声優たち。40名近くの豪華キャスティングに、一部ネットでは驚きと共に、"無駄に豪華"と賞された。しかし制作陣からすると、この布陣はけっして"無駄"なものではない。ネットアニメという媒体で原作の面白さを再現するためには必然的な選択だったと力説する。

古田: 「昨今テレビがあまり見られないようになってきたと言われますが、コンテンツを見る装置としては、今でもテレビが絶対王者なんです。『やっぱりテレビとちがって、ネットのアニメは本気じゃないね』と言われてしまわないように、ネットアニメもここまでできる、本気なんだという存在感を示したかった。

そのために人気声優の方々にオファーしたのですが、実は作品のテイストを守るには絶対に必要なキャスティングです。この作品は、派手なアクションなど映像的な部分で魅せるタイプの作品ではなく、セリフの"間(ま)"やハイブローなギャグが最大のポイントとなっています。つまり、たった一言のセリフが作品の面白さを左右することもある。その魅力は表現力が上手な声優さんでないと再現できないからというのも目的にありました。

もちろん、水木一郎さんの主題歌も本気度をアピールするための一環です。テレビで流してもおかしくないぐらいのクオリティの主題歌です。ネットアニメの格を上げるために、そういったところは惜しみなくやりました。もちろん他のどこも惜しんでないですけどね(笑)」

吹田: 「ベテランの声優さんじゃないと応えていただけないような、微妙な間とか言い回しが必要な原作です。キャストの皆さんも"たった一言"のセリフのニュアンスを大事に探りながら、楽しみながらやっていらっしゃったのが印象的でした」

■『スーパーショートコミックス』が切り開いた1歩

原作の面白さを大切にし、クリエイターの本気度とネットアニメの存在感をアピールしてきた同作は、ネット上でも好評だ。とくに一時更新をお休みしていた原作がアニメ配信開始と同時期に再開されると、リツイートが7万を記録。アニメ化したことで、原作の持つ力そのものがユーザーたちにもばっちり伝わったのだろう。

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スティーブンスティーブン代表取締役社長 古田彰一さん(右)とcomicoメディアミックスプロデューサー 吹田沙矢さん(左)


吹田: 「アニメの配信が始まってから、原作人気も更に上がっています。原作もアニメも、いつどこから見始めても十分に楽しめる内容となっているので、もっと多くの人たちに知ってもらえることができているはず」

古田: 「ネットアニメとしての本気度も存在感も十分にアピールできたのではないでしょうか。この作品を通して、ネットアニメが進むべき道の、大きな第一歩になったと思います」

comicoでは、10月に立ち上げた自社レーベル「comico books」での書籍化をはじめ、12月17日には大人向け恋愛やアクション、ギャンブルなど大人向け作品を提供するアプリ「comico PLUS」もリリース。現在アニメ化が発表されている作品以外にもアニメ化が進んでいるという。『スーパーショートコミックス』のネットアニメ化を皮切りに、comicoとスティーブンスティーブンの強力タッグによりネットアニメの形が大きく変化するかもしれない。

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アニメ『スーパーショートコミックス』
(C)雨川きゅう/comico/SSC製作委員会


・熱のこもった水木一郎節が炸裂! 主題歌「スーパーショートタイムショータイム」>>

・本編の見どころを水木一郎が紹介するZ!>>


◆吹田沙矢(すいた さや)
NHN comico株式会社 comico事業部メディアミックスプロデューサー。デジタルのトキワ荘というコンセプトを掲げて2013年10月31日にスタートした、スマートデバイスに最適化した無料マンガ・ノベルサービスcomicoのメディアミックスプロデューサーとして数々の作品を手がける。
座右の銘は「真剣勝負」

◆古田彰一(ふるた しょういち)
スティーブンスティーブン代表取締役社長/クリエイティブディレクター。1967年生まれ。1991年博報堂に入社後、クリエイティブディレクターとしてテレビCMや大型キャンペーンなどを手掛ける。2度のTCC賞をはじめ、クリエイター・オブ・ザ・イヤー・メダリスト、ニューヨークADC賞などを受賞。クリエイティブコンサルタントとしての活動を経て、2011年4月にスティーブンスティーブンを設立した。近年の代表作は岩井俊二監督と制作した劇場用長編アニメーション『花とアリス殺人事件』。
座右の銘は「突き詰めたロジックは、マジックになる。」

(取材・文/浅井英彦@HEW
(写真:トレンドニュース)


トレンドニュース「視線の先」 ~築く・創る・輝く~
エンタメ業界を担う人が見ている「視線の先」には何が映るのか。
作品には、関わる人の想いや意志が必ず存在する。表舞台を飾る「演者・アーティスト」、裏を支える「クリエイター、製作者」、これから輝く「未来のエンタメ人」。それぞれの立場にスポットをあてたコーナー<視線の先>を展開。インタビューを通してエンタメ表現者たちの作品に対する想いや自身の生き方、業界を見据えた考えを読者にお届けします。

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