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日本を代表するシンガーソングライター山崎まさよしが、『映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生』(3月5日公開)のエンディングテーマを担当する。本作は1989年に公開された「ドラえもん のび太の日本誕生」を新たに生まれ変わらせたシリーズ通算36作目となる。「壮大な家出」を企て、7万年前の日本へとタイムスリップしたのび太やドラえもんたちが、さまざまな困難や葛藤を乗り越えることで成長していくストーリーである。エンディングテーマ「空へ」の歌詞は、そんな物語の世界とシンクロし静かな感動を呼ぶ。今回は山崎に、「ドラえもん」への思い入れや映画の感想、昔飼っていたペットとの思い出などを語ってもらった。

サムネイル

3月5日公開 『映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生』山崎まさよし


「映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生」 劇場予告編>>


主題歌を担当する山崎まさよし コメント映像>>


ーー山崎さんは『ドラえもん』を見ていましたか?

「子供の頃は爆発的に人気ありましたからね。単行本や『コロコロコミック』を、みんなで回し読みとかしていました。日本アニメのキャラクターとしての存在は大きいですよね。僕ら世代にとっては懐かしく、いまの子供たちにとっても現役の存在じゃないですか。それはすごいことだなと。自分がそのエンディングテーマを歌うなんて、なんだか不思議な感じがします」

ーー『映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生』のエンディングテーマ「空へ」を作るにあたって気をつけたことは?

「八鍬新之介監督からのリクエストが、『ミディアムテンポの曲』というのと、飛ぶシーンが多いので『飛翔感のある曲』というものだったんですね。それで、自分なりに『飛翔感のあるメロディ』について考えながら、実際の映像と照らし合わせて作曲していきました。歌詞は、劇中でのび太が成長していく姿を描いているので『鳥の巣立ち』にたとえました。曲のタイトルも、そこから来ています」

ーー「切ないままで僕らは飛ぶ」というフレーズが特に印象的です。「サヨナラ=別れ」や「孤独」を乗り越えてこそ、人は誰かと深くつながることができる、ということを歌っていると思ったのですが。

「こういう仕事を長く続けていると、やはりいろいろな別れも経験しますし、何か世の中に打って出ていくときは『孤独』もつきまとう。作曲も一人でやるわけですし、ほとんどが『孤独』の中で培われ、身を結び、その積み重ねで大人になっていく。それはどんな人にも共通しているように思います」

ーー物語は、のび太が家出をするところからスタートします。いわゆる「自立の芽生え」ですが、山崎さんが、「自立」を意識したのは?

「やっぱり、バイトを始めた時ですかね。中学のときに新聞配達をやってみたんですよ。親に食べさせてもらっている以上、お金を稼ぐという感覚がわからないわけで、そこを一つ経験してみたことは大きかった。『自立しなきゃ』っていう強い意識があったワケではないですけど、『こういう経験が、何かしら糧になっていくんじゃないかな』とは思っていましたね」

ーーわが身ひとつで勝負するシンガーソングライターは、ミュージシャンにとって最も理想的な「自立」のスタイルなのでは。

「ああ、確かにそうですね。誰かに任せるのではなく、すべて一人でやることによって音楽的にはある種、自由になりますよね。自分のやりたいようにやれるし、テンポも勝手に決められる。なんなら歌詞も、その場で勝手に変えられるわけですから。だけど、そこには一人でやる『孤独』もありますね」

ーーまた、この映画はペットを飼っている人がグッとくるエピソードも満載です。山崎さんはペットを飼ったことありますか?

「上京してすぐの頃は猫を飼っていたし、実家には犬がいました。よく覚えているのは、小学校2年か3年の頃。シェパードを飼っていたんですよ。当時の僕にとっては、背丈が同じくらいの犬。そいつに引きずられるようにして散歩するのが毎日憂鬱(ゆううつ)でね(笑)。エサもものすごく食べるから、排泄(はいせつ)物もすごくて。それを埋めに行くのも憂鬱(ゆううつ)。だけど、そのシェパードは僕にすごく懐いていたので、僕が学校から帰ってくると、遠くからでもすぐに気づく。家から延びる一直線の道があって、200メートルくらい先からでも吠(ほ)える声が聞こえてくるんです。「まさよし帰ってきた」と。で、あるときそのシェパードが、囲ってた金網を歯でこじ開けて。それからは毎回、全速力で迎えに来るようになってました。ラッキーっていう名前でした(笑)」

ーーでは、もしドラえもんの道具を自由に使えるとしたら、何が使いたい?

「うーん、ツアーが多いから『どこでもドア』かな。開演直前まで自分の部屋にいられるし(笑)、あれはすごく便利ですね。ツアーの醍醐味(だいごみ)とか全然ないですけど。機材とか持ってすぐにスタジオに行けるのも便利ですね。10トントラックの荷台の扉がどこでもドアだったらいいのに(笑)」

ーーデビューして23年、年齢を重ねたことで、歌う対象やテーマ、内容にも変化はしてきましたか?

「例えば『20歳くらいの人に聞いてほしい』とか、『子供さんに聞いてほしい』っていう風に曲を作ったことはなくて。常々大切にしているのは、『自分の言葉で歌う』っていうことなんです。それが10歳未満の子にも、自分より年上の人にも、どちらにも通じるっていうのが大切なのかなと。その方が嘘(うそ)がないというか、気持ちとしても楽ですし。例えば、僕より上の人が聞いたら『ああ、こんなふうに考えていた頃もあったな』って思ってもらえればいいし、年下の人が聞いたら『そうか、こんな生き方もあるんだ』って思ってもらえたらいいなと」

ーーカップリング曲「ターミナル」について。この曲はどのようにして作ったのですか?

「この映画が公開されるのも春だったので、春の歌を書こうと。僕はツアーなどで東京駅をよく利用するのですが、駅のターミナルって、特に春はいろんな気持ちが交錯しているような気がしてて。これから就職する人は、ちょっと期待に胸を膨らませ、3月で何かが終わる人は感傷的だったり。いろんな意識が混じり合う。それを歌にしてみました」

ーー曲中に出てくる英語のフレーズ、「Would that be all of your order?(以上でよろしかったですか?)」「What is your precious thing?(あなたが一番大切なものは?)」「Have you left anything behind?(何か忘れ物はありませんか?)」「What is your destination?(あなたの目的はどこですか?)」を、もし自分自身に問いかけたら、なんて答えますか?

「うーん......すべて、ですね。この問いは『生きる』っていうことの根底にあるもので、それはいくら考えても答えがないし、歌を書く以上、具体的な『答え』として言葉にしないようにもしています。尋ねることはあってもね。こういう問いかけが、ずっと自分の意識の下の方に流れていて、それがあるからこそ前に進めるのかなと。」

ーー人生の答えを明確に出さず、迷ったり揺れたりしている中で、出てくる言葉を曲にしたい?

「ええ、そうだと思います」

◆ 山崎まさよし(やまざきまさよし)
1995年に「月明かりに照らされて」でデビュー。1997年公開の主演映画『月とキャベツ』の主題歌「One more time, One more chance」がロングヒットし、ブレイク。精力的な全国ツアーを行ってきたほか、全国各地のフェス・イベントへの出演、ミュージシャンとしてのセッション参加なども数多く、音楽ファンのみならず多方面から支持を得ている。現在、デビュー20周年記念の全国ツアー「"Twenty First Century Men"TOUR2015-2016」を開催中。座右の銘は、「自由と孤独は表裏一体」

みんなで踊ろう ウンタカダンス映像>>


(文・写真/黒田隆憲)

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