ここから本文です

漫才コンビのザ・ぼんちが、日本武道館での1981年以来、実に35年ぶりとなる東京単独ライブを3月12日に東京・ルミネ the よしもとで行う。2月に大阪、名古屋で大成功を収めた「ザ・ぼんち 三都市ライブ」企画の最終日。80年代の漫才ブームで頂点を極め、還暦を超えて今なお芸を磨くことに意欲的な2人は、東京公演でも「絶対楽しませることをお約束します」と自信とやる気がみなぎっているようだ。

サムネイル

3月12日開催「ザ・ぼんち三都市ライブ~日本一元気な漫才~」


■「あー面白い。嫌なことあったけど忘れたわ」と笑ってくれる一瞬のために

里見まさと(以下、まさと): 「この『三都市ライブ』は、ここ5、6年大阪でやってきた僕らの漫才の集大成を今、見てほしいという気持ちで企画しました。若い人の漫才も良いですけど、『われわれの漫才どうじゃ?』って。おっさんやけど、今が旬という気持ちですね。ネタの作り方は基本一緒やけど、やっぱり歳を重ねて経験豊富になってるから、ネタにもその影響はあります。

ぼんちおさむ(以下、おさむ): 「本当にぶるぶる震えるくらい、鳥肌が立つくらいすごい漫才を見せたいなという気持ちがありました。僕たちの漫才を見て、『あー面白い。嫌なことあったけど忘れたわ』と、お客さんが笑ってくれる、その一瞬を作ることを目指してます」

まさと: 突き詰めたら、自然と今のような漫才の形になりました。サブタイトルの『日本一元気な漫才』は、おさむさんの元気な姿もあるし、われわれにものの見事に当てはまるだろうと思って決めました。コンビ組んだときから言うてますけど、上手な漫才を一度として目指してませんから。おもしろい漫才を目指してずっとやってきてます」

■漫才ブームの頂点は、どんな場所だったのか

まさと: 「僕らの活動は長いけど、良い時ばっかりちゃいます。今だから言えるけれど、もし漫才ブームの時代に戻れたら、テレビ露出をもうちょっと控えめにして、『僕らの次のステップのためにこんな番組をやりたい』とか、提案できれば良かったかもしれないですね。僕らはパイオニアではあったけど、ひょっとしたら道しるべで終わってしまっている可能性はあります。先頭立って道は作ったけど、ボロボロになってしまった。それでも漫才ブームが起こってくれて、僕らがそこにおれたなというその感謝の気持ちは一番あります」

おさむ: 「僕たちの姿を見て、明石家さんまちゃんから、『自分たちで意思表示せなあかんというのは、えらい勉強になりましたわ』て言われたことがあります。当時の状況を例えると、真っ暗なトンネルの中、僕らが先頭になって土を掘って、ようやく先を抜けて光が当たるんやけど、その眩(まぶ)しい太陽に『ドドドドー』って撃たれたようなイメージですかね。とにかくトンネルを掘り続けてたというような状況でした。仕事のスケジュールもめちゃくちゃタイトやったんで、当時は迷惑かけた人もいると思います。こういう僕らの状況は、後輩たちのお手本になった気はしますね。でも、漫才ブームの中に自分たちがおったっていうのは、僕も本当に幸せなこと。そこでみんなと一緒にその時代を生きることができたというのはありがたいですね」

■若手はしゃべくり上手

まさと: 「若手からしたら、こんな元気な63歳は迷惑やと思いますけどね。褒め言葉やと思いますけど、実際に『迷惑や』って耳に入ってきますもん(笑)。でも、自分たちがその若手と同じ番組に出て、漫才ができているのはうれしいですね」

おさむ: 「若手の漫才よりも僕の方がステージで暴れてるんですよ。所狭しと舞台を走り回ったりしますからね。僕はもう体全体でしゃべらんと表現できないんですよ。若い人たちはみんなしゃべくり上手で、僕はしゃべくり下手なんです。とりあえず勝てるのは声の大きさと動きの激しさだけですね(笑)。中川家や海原やすよ ともこちゃん、千鳥も面白いと思います。面白い若手いっぱいいてます」

■漫才をする上で2人が大事にしていること

おさむ: 「僕はジャズボーカルのライブを20年以上、毎月やってるんです。漫才じゃないんですけど、同じボードビリアン(軽舞台役者)やと思ってます。僕は歌も歌えて、おしゃべりもできるエンターテイナーでありたい、というのが永遠の目標です。
でも、一番基本にあるのが漫才なのは間違いない。やっぱり漫才を一番頑張らないと他にも派生していかないから。僕の座右の銘は、『人は大きく、己は小さく、腹を立てずに心は丸く気は長く』ですね。直接お笑いには関係ないかもしれないんですけど、他人の話をちゃんと聞くとか、自分自身を過信しちゃいけない、腹を立てちゃいけない。これが大事だなと思ってます」

サムネイル
座右の銘は、『人は大きく、己は小さく、腹を立てずに心は丸く気は長く』


まさと: 「僕の座右の銘は、『毎日が敗者復活戦』ですね。みんな今日あかんことあったら、だめだ~って落ち込んでしまうけど、それはそれでおしまい。明日になったら、また戦いが始まります。今日の失敗で終わりじゃない。だから忘れましょ、明日もう1回戦いましょ、明日負けたら、またあさっても戦いましょって」

サムネイル
座右の銘は、『毎日が敗者復活戦』


■東京単独は最後のつもりで

まさと: 「東京公演にゲスト出演するレイザーラモンさんは、僕らのライブのことを知って、自分から出演を申し出てくれました。大阪は笑福亭鶴瓶さんも友情出演みたいな形で出てくれて、うれしかったですね」

おさむ: 「もう1人東京でゲスト出演してくれるジミー大西は、僕の弟子でもあるんですけど、『ちょっと手伝ってくれ』言うたら出てくれることになりました。僕は台本を覚えられないけど、ジミーも覚えられない(笑)。さらに滑舌も悪くて、ジミーと僕はよく似てます。昨日も電話でお互いに『何言ってるかわかりません』って(笑)。僕らならではの舞台をお客さんに楽しんでもらえたら」

まさと: 「僕らの漫才は、時に暴走しますけど、歌に例えると、バラードでもフォークでもない。コブシのぐるんぐるんまわったド演歌的なことやってますけど、自分らなりに計算していて、非常にバランスがいい漫才だと思いますよ。ほんまに東京での単独ライブは最後のつもりで僕やりますからね。」

おさむ: 「『おさむちゃんです!』ってずっと言い続けて、90歳になっても元気よく『おさむちゃんです!』言うてたら勲章もらえるかもしれん(笑)。気持ちはいつまでも現役でありたいですね。舞台上がったらお客さんがわーっていてくれはって、みんなが笑ってくれて、というイメージを頭で描いています。」

◆ザ・ぼんち
ぼんちおさむ、里見まさとによる漫才コンビ。1973年にコンビを結成し、80年代に起きた漫才ブームでは人気の頂点を極め、1980年には、第18回ゴールデンアロー賞 芸能新人賞ならびに最優秀新人賞を獲得した。1981年には「恋のぼんちシート」で歌手デビューも果たし、日本武道館を満員にした初の漫才師となった。1986年に一度コンビを解散し、ぼんちおさむは俳優としての活動、里見まさとは、「里見まさと・亀山房代」という男女漫才コンビとしての活動を行う。2003年からザ・ぼんちとしての活動を再開し、日本で最も面白い漫才師を決める番組「THE MANZAI」にも出場、認定漫才師50組に選ばれた。

(取材・文/岩木理恵@HEW
(写真:トレンドニュース)

トレンドニュース「視線の先」 ~築く・創る・輝く~
エンタメ業界を担う人が見ている「視線の先」には何が映るのか。
作品には、関わる人の想いや意志が必ず存在する。表舞台を飾る「演者・アーティスト」、裏を支える「クリエイター、製作者」、これから輝く「未来のエンタメ人」。それぞれの立場にスポットをあてたコーナー<視線の先>を展開。インタビューを通してエンタメ表現者たちの作品に対する想いや自身の生き方、業界を見据えた考えを読者にお届けします。

Facebookコメント
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対してヤフー株式会社は一切の責任を負いません。
PR

最新記事

rss

もっと見る

本文はここまでです このページの先頭へ