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名バイプレイヤーとして映画やドラマに引っ張りだこの俳優・志賀廣太郎。近年では、実写化された「THE3名様」のパフェおやじや、「Music.jp」のCMで披露したセーラー服姿などが話題を呼び、業界関係者ばかりではなく、お茶の間の若い世代にも大人気となった。緩急自在の演技に渋い声......映像界には欠かせない存在の志賀に、最新作映画『あやしい彼女』(4月1日公開)の撮影エピソードや、現在も続けている大学での演劇講師という仕事について聞いた。

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4月1日公開 映画「あやしい彼女」主人公カツに想いを寄せる役を演じる志賀廣太郎
(写真:トレンドニュース)


映画「あやしい彼女」予告編映像>>


■多部未華子はすごい女優さん

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4月1日公開 映画「あやしい彼女」志賀が演じるのは主人公にひそかに恋心を抱いている男性
(C)2016「あやカノ」製作委員会 (C)2014 CJ E&M CORPORATION


 志賀演じる中田次郎は、73歳の毒舌おばあちゃん・カツの幼少期からの幼馴染(おさななじみ)であり、ひそかに恋心を抱いている男性。ある日突然、カツが20歳に若返ってしまい、その存在に戸惑いながらもいちずにカツを思う役どころだ。「普通に考えたら73歳が20歳に戻るなんてありえないんだけれど、リアリティーがある。童話みたいな話だって思いましたね」と台本を読んだ時の感想を述べる。

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4月1日公開 映画「あやしい彼女」出演/多部未華子、倍賞美津子、要潤、北村匠海、金井克子、温水洋一、志賀廣太郎、小林聡美
(C)2016「あやカノ」製作委員会 (C)2014 CJ E&M CORPORATION


 73歳のカツを演じるのは大女優・倍賞美津子、20歳のカツは多部未華子が務める。次郎にとっては見た目のギャップがありながらも、同一人物に対してブレない視点で接するという難しい役柄だ。「多部さんの中に73歳のカッちゃんが息づいていましたね。見事でした」と多部の演技に舌を巻くと「すごい女優さんですよ。ちょっと感動しました。そんなに柄の大きい方ではないのに芯がしっかりしてらっしゃる。ずいぶん倍賞さんのお芝居をご覧になっていたようですが、ただ単にマネするのではなく、カッちゃんの軸をしっかりとらえているなって感じました」と称賛する。

■演劇講師の一面、生徒には「自分でいなさい」

 俳優として存在感を発揮する一方、志賀は短期大学で演劇を教える講師としての一面も持つ。これまで多くの生徒を指導してきたと思われるが、俳優として一番大切にすべきこととはどんなことなのだろうかと質問すると「自分でいなさいといいますね」と即答する。

 「どんな役、どんな演技であろうとやるのはその人本人。古典劇の朗読などは別ですが、現代劇でリアルなものを描く場合、あえて作り込むのではなく、自分でいることを心がけるべきだと思うんです。自分がしっかりしていないとお芝居がぶれてしまう。無理して芝居しようと思うとダメなんですよね」。

 さらに「現状の自分では気づいていない自分というものがあるはずなんです。それを開花させていくのが大事。多部さんも天性の素材の素晴らしさがあるのはもちろんですが、いろいろな役をやることによってそれを開花させていったのではないでしょうか」と分析する。

 教壇に立ちながら自らも俳優として強い個性を発揮する志賀。俳優を志したのは高校生の頃だという。「幼稚園、小学校、中学校の先生が演劇に特化している人だったんです。自然と芝居というものに触れていて、中学も高校も演劇部でした。でも『俳優になろう』って決めたのは高校生でしたね」。

■42歳から俳優業へ。どんな仕事でも全力投球

 その後、志賀は講師を続けていたが、ある時に「教えているだけだと、その先は分からなくなった。役者をやってないな」と思い、1990年に平田オリザ主宰の劇団「青年団」に入団し俳優になる。御年42歳だ。デビューとしては非常に遅いが、自身のキャラクターや演技力が注目され、いつしかドラマや映画など映像作品への出演が絶えなくなった。「劇団に入ったときは映像のことなんて全く考えていませんでした。映像関係の方々が、うちの芝居を見に来てくれて、興味を持っていただき(映像の世界への)ドアが開けた感じですね」と現状を冷静に振り返る。

 今では街で若い女の子から声をかけられることもあると言う。「もういい年ですからね」と苦笑いを浮かべるが「そりゃうれしいですよ。でも自分を作って生活しているわけではないので、普段通りでいたいですよね。当たり前に飲みにもいくし、電車にも乗りますから」とあくまで自然体だ。「自分でいなさい」と生徒たちに教えていることを自らも実践する。

 一方で、CMなどではセーラー服を着たり、壁ドンしたりとチャレンジすることにも意欲的だ。「中にはヤケにならないとできないようなこともありますが、基本的にはいただいたお仕事はお断りしないようにしています」と非常に柔和な表情で語る。

■健康なうちは生涯現役でいたい

 自身からにじみ出る人間性が、本作で演じた役柄にもぴったりとはまっているが、水田伸生監督の現場からは「面白い映画を撮るために必要なこと」を再確認したという。「水田監督が一番現場で楽しそうにされていました。作り手が面白がってしまうと、ただの自己満足になってしまう危険性があるのですが、この現場では一切それがなかった。面白がるのではなく楽しむこと。その大切さをあらためて実感しました」と満足げに撮影を振り返った。

 現在67歳の志賀。「あと10年たたないと今の自分は客観的に見ることはできませんね。いまようやく50代の自分を振り返ることができるんです。そういうことの繰り返し。だから健康なうちは生涯現役でいたいですね」と目を輝かせる。「真面目かと思うと抜けていたり、ごく普通の人間なのですが、苦労しているぶんきちっとしていたり......。いろいろな面が見える役柄です」と自信が演じた中田次郎という人物の見どころを語ってくれた。映画『あやしい彼女』は2016年4月1日(金)エイプリルフール全国公開。

(取材・文・撮影:磯部正和)

◆志賀廣太郎(しがこうたろう)
1948年8月31日生まれ。兵庫県出身。1990年に平田オリザが主宰する劇団「青年団」に入団し俳優活動を開始する。その後、映像の世界にも進出し、ドラマ・映画など幅広い作品に出演。作品数は枚挙にいとまがない人気俳優だ。座右の銘は「今日できることは明日やる」。

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