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4月2日に初の書籍『川瀬良子のプランター野菜』を発売した川瀬良子は、MCを担当するNHK Eテレ「趣味の園芸 やさいの時間」を始めとして農業や食に関わる番組に多数出演し、また私生活でも野菜や稲作りに励む"農業タレント"だ。かつては農業なんてちっとも興味がなかったという彼女に、野菜作りの楽しみについて語ってもらった。

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4月2日に初の書籍『川瀬良子のプランター野菜』を発売
(撮影/原田圭介)


■散々だった!? 初めての農業

川瀬が最初に始めた農業は米作りで、友人に誘われたのがきっかけだった。それまでは農業に興味が持てず、友人の誘いを3年間断り続けていたという。

「そのころはネイルも好きだったので、ネイルも服もドロドロになっちゃう、1日外に出るなんて大変そうと思ってしまって。しかも雑貨屋さんの小さいサボテンも枯らせちゃうくらい栽培オンチだったんですよ(笑)。でも食べるのは大好き。友達が毎年送ってくれるお米はすごくおいしいし、ずっとお誘いを断り続けてたという後ろめたさもあり、じゃあ1回行ってみようかなという気持ちで田んぼに行きました」

しかし初めての農業はかなり大変なものだった。3月末ごろに代かきという作業を行ったのだが、こちらは田植えをするにあたって、まず田んぼを耕す工程のこと。生い茂る雑草を処理していく作業それ自体もハードなものだが、そのうえ途中から横殴りの雨に見舞われて散々だったという。

「でも妙に楽しかったんですよ。大人になってから自然の中に1日いることってないじゃないですか。私は子供のころはおてんばで、毎日外で遊んでたような子だったんです。でも16歳からモデルを始めて日焼けに気をつけるようになって、どんどんインドア派になっていって......。だから自分が外が大好きっていうことを忘れてたんですが、1日外にいて、『そういえばアウトドア派だった!』って呼び覚まされたというか。横殴りの雨も最後にスパーン! って晴れたのも気持ちよかったです」

大変な思いをしたからこそ、収穫もしたいという気持ちが自然と芽生え、気づけば農業にどっぷりハマっていた。そして今、タレントとして農業に関わる仕事を多く行っている。

「その子が誘ってくれなかったら、芸能活動も含めて全然違う人生だったと思います。だから『あなたのおかげよ』って言うんですけど、相手はビックリして『なになに?』みたいな(笑)」

■ロハスやオーガニックには興味なし

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4月2日に初の書籍『川瀬良子のプランター野菜』を発売
(撮影/原田圭介)


今年でレギュラー7年目を迎えた「趣味の園芸 やさいの時間」への出演をきっかけに、川瀬はベランダでのプランター栽培を始めて、これまで14種類ほどの野菜を育ててきた。

「野菜を作るようになって、"なんとなく食事をする"っていうことをしなくなったんです。農家さんに感謝して残さないように、と食べ物をすごく大事にするようになりました。あとスーパーで野菜を買うこともあるんですけど、見切り品にも目が行きます。多少しおれていたとしても、これも農家さんが一生懸命作ったものなんだと」

こう聞くと川瀬は、いわゆる"ロハス"や"オーガニック"といったものへの関心が強い人間のように思えるが、実際はまったくそんなことはない。ハンバーガーやラーメンなどのジャンクフードも大好きだ。

「育てる過程それ自体が楽しくて野菜を作っているのかもしれません。ベランダに野菜があると、毎日の生活が楽しくなるんですよ。ちょっとずつ大きくなったり、つぼみが膨らんで翌日になったら花が咲いていたり、あとは『昨日肥料あげたから、今日はシャキッとしてる』とか、そういう変化が毎日あるんです。それで野菜の成長を通して、"これを植えたときの自分"なんて時間の流れを振り返ることができたり。ぼーっとしてて、気づいたら1週間終わってたっていうことがなくなります。1日1日がくっきりして、収穫物以上のものを野菜作りで得ていると思います」

また「朝10時までに水やりをしたほうがいい」ということもあって、乱れがちだった生活リズムも整ったそうだ。

■"失敗"ではなく、あくまで"つまづき"

そんな自身のプランター栽培での経験を生かした初書籍『川瀬良子のプランター野菜』は、どのようにこだわって作られたのだろうか?

「プランター栽培のハウツー本はこれまでいろいろあるんですけど、『まずこれをやります』、『次にこうします』っていう感じだから、『こうしたのはいいけれど、虫がこんなについちゃっていいの? なんで葉っぱが枯れちゃうんだろう?』って困っちゃうんですよね。だからその間のところをカバーするというか、実際に育ててみてわからないことを中心とした本を作りたいっていう考えが第一にありました」

確かに同書籍では写真をふんだんに掲載し、「黒いのはカビ?」「実が曲がった」といった具体的な疑問やトラブルについて解説している。またもうひとつ注目してほしいポイントがある。

「なるべく"失敗"っていう言葉を使わないように書いたんです。だから本の中では、つまづき、トラブルのように表現しています。なぜかというと、私の野菜作りの先生である園芸家の深町貴子先生が『野菜作りに失敗はない』っておっしゃっているから。小さくても形が悪くても、実がなっていれば失敗ではないんですよ。なんだか肩の力がぬけませんか? この言葉は絶対に本に載せたかったし、コンセプトにもなっています。だからあまり難しく考えず、毎日の変化がなくてつまらないっていう人は、気軽に野菜作りにチャレンジしてみてほしいです!」

なお川瀬は農業を楽しむ中で、2012年には農縁プロジェクトを立ち上げた。こちらでは栃木県真岡市の畑を借りて、地域活性化や特産品のブランド化、遊休農地解消に取り組んでいる。また農業初心者もウエルカムな空気のなか、収穫した野菜を使ったバーベキューや流しそうめんなどのイベントも活発に行っている(スケジュールは川瀬のTwitterアカウントなどで紹介)。

農"縁"プロジェクトという名前には、農業を通していろんな出会いを生んでいきたいという川瀬の思いが込められている。友人に誘われて田んぼに行ったことで、人生が大きく変わったという川瀬。小さな苗が持つ大きな可能性を、彼女は今日も伝えている。

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4月2日に初の書籍『川瀬良子のプランター野菜』を発売
写真:トレンドニュース


◆川瀬良子(かわせ・りょうこ)
1982年2月28日生まれ、静岡県出身。農業タレント、リポーターとして「趣味の園芸 やさいの時間」やTFM&JFN38局「あぐりずむ」、TFM「ハイウェイ☆ソウルフード」にレギュラー出演中。B級グルメ好きとしても知られ、日本テレビ系「ぐるぐるナインティナイン」にも"サービスエリアの女王"として出演。座右の銘は「野菜作りに失敗はない」。

(取材・文/原田美紗@HEW


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