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累計発行部数1,500万部を突破しながらも、これまで実写化不可能と言われてきた人気コミック「テラフォーマーズ」(原作:貴家悠、作画:橘賢一)が、伊藤英明、武井咲、山下智久、山田孝之、菊地凛子、篠田麻里子、小栗旬ら超豪華キャストでまさかの完全実写映画化を果たし、4月29日に全国公開される。
火星を舞台に、人類史上最悪の敵テラフォーマーとの超絶バトルを繰り広げるさまを圧倒的なスケールで描き出した本作。その独特なビジュアルはいかにして生み出されたのか。本作のメガホンをとった三池崇史監督、そしてVFXスーパーバイザーの太田垣香織にそのウラ側を聞いてみた。

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三池崇史監督、VFXスーパーバイザーの太田垣香織氏
(写真:トレンドニュース)


「テラフォーマーズ」特集 特別予告映像>>


――実写化困難と言われた「テラフォーマーズ」ですが、実際のオファーを受けた時はどう思いましたか?

三池「大歓迎でしたね。もちろん大変だなと思う部分はたくさんありますけど、やったことがないことをできるのは楽しいですから。僕はオリジナルにこだわって何かを作るというタイプではないので、いろいろな人がいろいろなものを作り出し、そこで挑戦していく場を作ってくださるのはありがたいことだなと思います」

――太田垣さんはどうですか? 「テラフォーマーズ」を三池監督で映画化すると聞いて。

太田垣「わたしはこの映画のモチーフとなる虫が嫌いなので、原作は読んでなかったんです。もちろん作品は知っていたんですけど。映画化と聞いて読んでみたら、それは面白かったです。でも最初にテラフォーマーズの世界観や姿を見た時に、これをやるのか......と、まず思った記憶があります。火星と人型に進化した"あの生物"ですもんね。」

監督「そりゃあ、人類史上最悪の敵になりますよね。虫は怖いですし(笑)。僕も触れないんですよ」

――原作で特に面白いと思ったところは?

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4月29日に全国公開「テラフォーマーズ」三池崇史監督
(写真:トレンドニュース)


監督「マンガには、映画で表現できないこと含め自由度が高く、それで人気が出れば社会的に承認されたことになります。ヒットした小説やコミックであるとか売れている人気俳優だとか、その社会的承認の集合体が、映画を作る上で僕には絶対必要なものなんですよね。でも、それを踏まえながらも本気でリスペクトできるか。そして映画にしたときに、その部分をしっかりと切り取ることができるか、ということも大事になってくると思うんです。そういう意味で、僕は今回の作品の第1巻が大好きですね」

――映画もちょうど第1巻の内容が描かれます。

三池「原作者の貴家悠さんも、もともとは第1巻の構想しかなかったと思うんですよ。『なんだこれ? 怖いけど面白いんじゃないか』と無計画に作ることによって生まれた財産だと思うんですよね。あれは計算ずくではできない、思いきりの良さみたいなものをとても感じる。それが今、映画に一番足りないものですよね。なんとなく様子見で、こういうのがウケそうだなとか、あまりやり過ぎるとお客さんがひいちゃうよねとか。それならやる意味がないですよね」

――第1巻から主要キャラクターがどんどんやられてしまうというのは衝撃的でした。

三池「そうですね。大事だと思っていた人間を失ってしまうという、喪失感というものを描き出すことが映画って本当に得意なんですよ。登場人物が突然に命を落とすなり、いなくなってしまったりして。その寂しさを他の登場人物と共有するようになる。
この作品は、大事なものを失ってもなお、そこで全てが終わるんじゃなく、時間の流れがぐるぐると普通につながっていく。まったく違う形で非常に大胆に取り入れられていますね。そういったところが、原作者の『普段、自分が読んでいる他のマンガってつまらない』という飽き足らぬ挑戦のような思いが込められているように思うんです。そしてそれが『もっと面白い日本映画を作りたい』という僕の思いに非常に近いものがあって。そういう意味で本当に原作の大ファンです。

今回その部分をリスペクトでき、原作に対して愛情あるアプローチができました。こう変えちゃった方がいいというこちらの提案も、リスペクトしているゆえに必要だと思うんですよ。どこかで原作に疑問を持っていると、その原作じゃなくていいんじゃないのかという気持ちが出てくるけど、映画を観た後に、なんとなく見終わった感じが『テラフォーマーズ』だったよねと感じてもらうこと。そこが1番大事と思っています」

――原作の貴家先生とのコンセプトのすり合わせは?

監督「出来上がってから全然違うじゃんと言われてしまうとやはり困るので、作り手のわれわれとして、そこは避けたいわけです。ただ、映画化に際してデザインを修正すべきだと思ったのは、敵である『テラフォーマーズ』という真の主人公ですね。人間じゃない敵のディテールについて、マンガだとどうしても量産を前提にデザインがされているので、できるだけ労力を省いて効果を出すようになっている。極論を言えば、つるんとしているわけです。それだと映画でCGに置き換えた時にどうしてもアニメっぽくなってしまう。だからもう少しデコボコを付けてみようとか、デザインをもう少しリアルな方に近づけようとか、そういう作業をしていくわけです。そうやって違うけど似ているものにしていかないといけないんです。
基本的にお任せいただいた体制なんですが、やはり途中までは慎重におこなって信頼関係を作りあげて。なんとなく通じ合えたなというのを感じれば、あとはまっすぐ現場をガンガンと突き進んでいくだけ。その助走をつける期間は、お互いとても大事だと思います」

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VFXディレクター太田垣香織氏
(写真:トレンドニュース)


太田垣「でもやっぱりテラフォーマーズに限って言うと、もともとは昆虫なんで、その要素をどこに入れていくか、というところはモデリングしながら考えましたね。そこからデザインとして洗練させていかないといけないんですが。ここまでやったら人類最強の敵っぽくなるな、というようところまで作っていって。ちょっとずつ消去法で整えていきました。」

――どのようにデザインとして進化させていったのですか。

太田垣「ディテールをより生っぽくするのが映画化であるだけに、昆虫のこの部分を拡大したり、誇張していこうと。量産ではなく、一つ一つのキャラクターに向き合って虚像を積み上げていくことで、個性としました。」

監督「普通の映画だと、衣装や髪の毛、メークをどうするかということが役者の役作りにつながるんですが、この映画の場合、逆に役作りするためのものが全部虚像というか。すべて作っていかなきゃいけないわけです。あ、俺こうなるんだというところから始まる。こんなにたくさんのキャラクターがいて、それに負けない個性を持った俳優さんたちに集まってもらったんですが、映画をみて子どもたちには、なんで大人たちがこんなにも一生懸命やってるんだろうと思い、感心してもらえたらいいなと思っています。映画ってそういうことが許されるんだ、好きなようにやっていいんだというようなイメージを今の子どもたちに持ってもらえると、20年後の日本映画ってもっと面白くなるんじゃないかと思うんですよ」

――テラフォーマーズのデザインをリファインした寺田克也さんもそうですし、美術の林田裕至さんなど業界のスペシャリストが多数集結されています。VFXスーパーバイザーである太田垣さんの役割としては、彼らの出してきたものを最終的にまとめることだと思いますが、特に大変だった点は?

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VFXスーパーバイザーとしての役割とは
(写真:トレンドニュース)


太田垣「カット数が多いんで、やはり統一感がないとダメですね。CGを作る会社も何社にも振り分けて。140人くらいにお願いしたんで、やはり作った人それぞれの思いがある。だからそういったことを調整していくということですよね」

――制作のスケジュールを見つつ、クオリティーも均等になるように。

監督「スカイプがなければ成立しない作業ですよ」

太田垣「同時期に『無限の住人』の撮影のために2カ月半ぐらい京都にいましたからね」

監督「昼間は撮影をやって、終わって夜に戻ってくると新しくできたデータが届いている。それを同時に再生できる環境にして。それを見ながらスカイプでずっと打ち合わせをする」

太田垣「ほぼ毎日ありましたもんね」

――その打ち合わせが終わったらまた次の現場に行くと。

監督「そうです。それがたたったかどうかわからないんですが、左足首の骨が折れちゃったんです(笑)」

――昆虫の力を持った人間のアクションということですが、その動きのインスピレーションを得るために昆虫を研究したのですか?

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4月29日に全国公開「テラフォーマーズ」三池崇史監督
(写真:トレンドニュース)


監督「CGを動かす時には、筋肉や関節の動きを把握してないと作れないので、それは基礎になります。ただわれわれの現場では、もう少し理系と文系とがくっつくわけです。理系のカメラを使って文系で表現していくというところはあります。だからある程度は無知でないといけないですね。カメラの性能をつぶさに知っていると、その中でこんな表現もできるだろうと思うかもしれないですが、それよりももっとわがままになった方がいい。そんなのできっこないじゃんと言われるようなところも必要なんです。だからバッタはどうやって逆関節になるんだろうとか、脚力はこうだよね、これぐらい飛べるのかなというような、どこか子供じみた憧れみたいなものをそこに導入するわけです。こんなに強かったら気持ちいいだろうなとか、すごく子供じみた考えなんで、作っているうちにだんだんと中2か中3ぐらいになりますね(笑)。わかったふりをして作るということできなくなるんです。映画を撮っているうちに年齢がどんどん下がってくるんです。精神年齢が憧れの対象になるですよ」

――三池監督は少年の心に戻られたようですが、太田垣さんは自分が想像以上に入り込んだ瞬間はありますか?

太田垣「少女の心ですか(笑)?」

監督「太田垣さんはなかったんじゃないですか? VFXディレクターは冷静でいないと。太田垣さんからは怒られてばかりですよ」

――ちなみに監督からの少年のようなオーダーで、これは無理だ! と思ったことはありますか?

太田垣「そんなのばっかりですよ(笑)。これをやるの? ということが本当にたくさんありました。常に冷静でいましたね(笑)」

■映画『テラフォーマーズ』
「人類 VS 最強の敵」――命をかけた、火星を舞台にした壮絶バトルを展開。変異した人間か、最悪の敵か、生き残るのはどっちだ!?  火星に送り込まれた、何も知らない15人の日本人に、伊藤英明、武井咲、山下智久、山田孝之など豪華キャスト。日本映画初のアイスランドロケを敢行するなど、圧倒的なスケールで放つビッグプロジェクトは2016年4月29日(金)全国公開。

伊藤英明、武井咲、山田孝之に突撃インタビュー 「完成記念座談会」映像>>


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(C)貴家悠・橘賢一/集英社 (C)2016 映画「テラフォーマーズ」製作委員会

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(C)貴家悠・橘賢一/集英社 (C)2016 映画「テラフォーマーズ」製作委員会

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(C)貴家悠・橘賢一/集英社 (C)2016 映画「テラフォーマーズ」製作委員会

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(C)貴家悠・橘賢一/集英社 (C)2016 映画「テラフォーマーズ」製作委員会

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(C)貴家悠・橘賢一/集英社 (C)2016 映画「テラフォーマーズ」製作委員会


三池崇史
1960年生まれ。大阪府八尾市出身。Vシネマの監督を経て、1995年に『新宿黒社会 チャイナ・マフィア戦争』で劇場用 長編映画の監督デビューを果たす。以来、バイオレンス・アクションからコメディー、時代劇やウエスタンまで、さまざまなジャンルの作品を世に送り出す。さらに近年では、『十三人の刺客』(10)がヴェネチア国際映画祭に、『一命』(11)と『藁の楯 わらのたて』(13)がカンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品されるなど国際的にも活躍、日本を代表する監督として、海外でも高く評価されている。その他の作品は、『殺し屋1』(01)、『クローズ ZERO』(07)と続編(09)、『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』(07)、『ヤッターマン』(09)、『愛と誠』(12)、『悪の教典』(12)など。今後も『土竜の唄 潜入捜査官 REIJI』の続編や『無限の住人』がある。
座右の銘:無我夢中

太田垣香織
岡山県出身。オー・エル・エム・デジタル所属の日本のVFXディレクター。これまで手がけた主な作品として『神さまの言うとおり』『MIRACLE デビクロくんの恋と魔法』(14)『極道大戦争』 『風に立つライオン』(15)『悪の教典』(12/CGIディレクター)ほか。
座右の銘:終わらない仕事はない

トレンドニュース「視線の先」 ~築く・創る・輝く~
エンタメ業界を担う人が見ている「視線の先」には何が映るのか。
作品には、関わる人の想いや意志が必ず存在する。表舞台を飾る「演者・アーティスト」、裏を支える「クリエイター、製作者」、これから輝く「未来のエンタメ人」。それぞれの立場にスポットをあてたコーナー<視線の先>を展開。インタビューを通してエンタメ表現者たちの作品に対する想いや自身の生き方、業界を見据えた考えを読者にお届けします。

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