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2014年1月の第1回放送以来、深夜枠ながら根強い人気があったテレビ東京のバラエティ番組「家、ついて行ってイイですか?」が、この4月からゴールデン進出を果たした。テレ東といえば「Youは何しに日本へ?」も好評を得て深夜からゴールデンに昇格。今テレ東の"ついていく系"番組が面白いのだ。

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矢作兼/Ken Yahagi(おぎやはぎ/Ogiyahagi), ビビる大木/Bibiru Oki, 鷲見玲奈/Reina Sumi, Apr 05, 2016 : テレビ東京の人気バラエティー番組「家、ついて行ってイイですか?」ゴールデン帯に進出会見
写真:MANTAN/アフロ


■ガチだから出せるリアルな画

「家、ついて行ってイイですか?」は終電を逃してしまった人に「タクシー代を払うから家に入れてください」と声をかけ、OKとなれば帰宅に同行しその様子を放送する観察バラエティ番組。ただのインタビューではなく、"素人に密着し家にお邪魔する"のがポイントだ。

仕込み、ヤラセは一切なくガチで終電を逃してしまった素人を探して交渉。終電を逃して困り果てた人々に突然「家に行っていいですか?」と声をかければ困惑しないわけがないのだが、この時点で素人だからこそのリアルな反応に視聴者の期待感が高まってくる。いち素人が画一的で没個性な人物であったのは今は昔。すでに「この人はどんな家に住みどんな生活をしている人なんだろう」と興味を抱かざるを得なくなっている。

いざお宅に到着すると、その部屋の小汚さやだらしなさはリアリティを生む装置になるだろう。奇麗であっても、意外性があっておもしろい。家や生活を観察すれば、普段目にしないものの一つや二つは出てくる。イメージ通りでも予想外でも、どっちに転んでもまさに"期待通り"なのだ。

「家、ついて行ってイイですか?」はレギュラー番組になる前の特番時代に、日本民間放送連盟賞のテレビエンターテインメント番組部門の最優秀賞を受賞した経歴を持つ。テレビ東京の番組が同賞に選ばれること自体が初めてのことでまさに快挙だった。また、同局には他にも「YOUは何しに日本へ?」や「逆向き列車」など素人に密着するスタイルの番組が高い人気を博しており、"素人についていく"系の系譜が存在するといえよう。

■遠いようで身近、不安定な距離感

芸能人の波乱万丈な半生や、ドラマチックなドキュメンタリー番組などは、どこか自分とは別の次元の物語として見てしまう。身近なものに感じることはない。その点、"ついていく系"番組で密着する素人は、われわれ一般視聴者と同じ立ち位置。自分や身の回りの平凡な日常でもない、かといって遠い存在でもない、どっちつかずの距離感を感じるだろう。

そんなどっちつかずの距離感だからこそ、見る方のスタンスも不安定。その生き方や人物像への興味はわく。だが、他人の人生なんて当然知らないことだらけだ。自分とは無関係な他人の人生を気にしながら生活することなど、実生活上ではまずない。だから、画面に映るのは予想外のことばかりとなり、常に見ている側の期待は裏切られ続ける。密着すればそれだけ微妙なズレは多くなり、距離感がちょっと近い分、こちら側の感情の振れ幅も大きくなる。

■どんな破天荒芸人よりも予想外

もちろん、素人だからこそのハプニング的な面白さもある。素人にはテレビ慣れしたタレントとはまた違う間、面白さがあり、"ついていく"系の番組では、普段テレビに映らないようなものが見られる。"お約束"なんて存在せず、次にどんな展開を迎えるのかわからない。だからこそアツいのだ。

素人だからこその息の合わなさ、間の悪さは言い知れぬ面白さとなる。ついていくことで、より演出できない人間クサさがにじみ出てくる。それはタレントや芸人では決して出すことができない類の楽しさだろう。ある意味どんな破天荒芸人よりも予想外。予想外なのに期待通り。それが"素人についていく"系番組の(だいごみ)なのだ。

(文/空閑叉京@HEW

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