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「天才たけしの元気が出るテレビ」「ねるとん紅鯨団」「浅草橋ヤング洋品店」といった数々のヒット番組を手がけ、天才演出家として名をはせたテリー伊藤。近年は情報番組などのコメンテーターとして、歯に衣(きぬ)着せぬコメントを連発。炎上を恐れないその姿勢は、今なお世間を鋭く揺さぶり、存在感を増している。過激な企画の数々を世に送り出し、日本のテレビ史の1ページを刻んできた男が、現在のテレビの現場をどう見ているのか。女性向け映像クリエイタースクール「ラブストーリー・クリエイター・スクール」の特別講師として参加していたテリー伊藤を直撃した。

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写真:トレンドニュース


■テレビの可能性は広がってきている

――「最近のテレビは面白くなくなった」という意見がありますが、そういった意見についてテリーさんはどうお考えですか?

テリー: 「テレビって面白くないですかね? 今の時代はCSやBSがあるから、むしろパーソナルなものになってきているんじゃないかな。チャンネルだって、ディスカバリーチャンネルとか時代劇チャンネルとか、いろいろあるから。お笑い芸人が出てくるようなトークバラエティーが好きな人もいれば、自然ものが好きな人もいる。だから昔に比べて選択肢が増えているだけという感じがするんです。
例えば今、地上波の野球ってほとんどないじゃないですか。放送しても視聴率は6~7%くらいかもしれない。でも例えば今は、土曜日だったら12球団全部見られるわけなんですよ。昔は東京にいたらジャイアンツ戦しか見られなかったけど、今はCSがあるから日ハムやソフトバンクの試合が、しかも試合が終わるまで見られるんですよ。だからむしろテレビの可能性は広がっているような気がしますよね」

――昔に比べると、視聴率も下落傾向にあります。

テリー: 「確かに今は、絶対的な20%、30%の視聴率をとるテレビ番組ってなかなか少ないのかもしれない。その理由としてライフスタイルの多様化だという人もいますけど、例えば家に帰ってインターネットをやっているだけだと、結局は自分の好きなページしか見ないじゃないですか。映画だって、お金を出して見るものだから、嫌いな映画は見に行かないですよね。でも、テレビや新聞というものは、ページをめくったり、見続けたりしていれば興味のないものも目にするわけ。で、その興味のない部分が実は次の自分の刺激にもなると思うんですよ。だからそういう見方をしていけば、テレビってのもまんざらでもないんじゃないかなと思いますけどね」

■今のテレビの現場は

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――例えばテリーさんが昔に演出を手がけた「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」や「ASAYAN」といった番組に比べると、今はコンプライアンスや放送倫理・番組向上機構(BPO)、視聴者からのクレームなどにがんじがらめになっているようにも見えます。テリーさんには、今のテレビの現場はどう映っているのでしょうか?

テリー: 「でも、今の人は昔の現場を知らないわけでしょ? だからコンプライアンスでがんじがらめになっているというのは言い訳だと思うんですよ。例えば自由気ままなアメリカでの一人旅もいいけれど、修学旅行のような団体行動にだってそれなりの面白さがあるのと一緒で、そこはあまり関係ないかなと思います。
例えば『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』を今、放送したとして、それが現代の視聴者のニーズに100%応えられるかというと、それは分からない。単なるノスタルジーかもしれない。例えば今の音楽は進化しているし、音も凝っているんで、70年代、80年代の音楽を聴いたら、こんなにもゆっくりだったのかと驚くかもしれない。面白くないと思っている今のテレビも、単に今のニーズに応えているだけなのかもしれないですよ」

――今の視聴者のニーズが過激な番組を求めていない?

テリー: 「それは分からない。例えば今のCMの映像って淡い色が多いでしょ。どぎつい画質で刺激のある映像って少ないじゃないですか。まるでセックスレスみたいな淡泊な感じがしますよね。でも、そういう時ってのは反動があるもんなんですよ。そういう淡泊な有機野菜みたいなものばっかり食べていても、その反動として体に悪い食べ物が食べたくなる人だって出てくるわけですよ。別に俺は長生きなんかしたくねぇよという人も出てくるだろうし。そういうのって表裏一体だから。明日になったら、そういう過激なものが来る可能性だってあるよね。料理にしろ、風俗にしろ、そういった人間の価値観ってのはあるんですよ」

――メインストリームが拡大すれば、当然、アンチやサブカルチャーが生まれてくると。

テリー: 「例えばみんながみんな、AKB48やジャニーズが好きなわけではないのと一緒で。そういったアイドルを冷ややかに見ている高校生だって当然いるわけだから。そういう子たちが次なる何かを持って世に出てくる可能性だってあるわけですよ。もうすぐ18歳に選挙権が与えられるわけじゃないですか。そういった子たちの価値観も変わると思うんですよ。それが地方のパワーなのか、子どものパワーなのか、やさぐれたパワーなのかは分からないですけど、何かが起きると思いますよ」

――テリーさんはテレビの未来は明るいと考えている?

テリー: 「もちろん。そういう人が3人くらい出てきたら世の中はひっくり返りますよ。今はこういう価値観を持っているやつらがいるんだなって。そういう人はきっと、どこかから勝手に出てくると思うんだよね」

■テレビで"伝えること"の難しさ

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――テリーさんの歯に衣(きぬ)着せぬコメントは、炎上上等といった感じにも見えますが。

テリー: 「僕ね、あんまりインターネットに興味がないんですよ。ネットもあまり見ないから、人にどう思われるかなんてあまり考えていないというか。まあ、普通にやっているだけだし、全員に好かれようとは思ってないからですからね」

――自分のコメントに反省することはあるんですか?

テリー: 「自分の言いたいことが伝わらないということは、俺の言葉がまだまだ未熟なんだなと思うだけだよね。テレビの時間はどんどん流れていってしまうから、言い直すチャンスはもうないしね。だから反省はします。俺の言ったことが伝わらなかったな、誤解されてるなって」

――反省はするけれど、スタイルは変えない?

テリー: 「例えば診療報酬を不正受給した女性の医者がいたじゃない。あの時、『医者ってろくでもないやつばかりだよ』と言っちゃったんだけど、それを最初に言っちゃったら次の言葉は誰も聞かないよね。もちろん言葉としては刺激的でいいんだけど、その言葉がインパクトありすぎて、次の言葉を誰も聞かなくなっちゃった。だから最初に『いい医者もいるんだけどね』といった感じで始めれば、次の言葉を聞いてくれたかもしれない。そういう伝え方はありますよね。自分でしゃべりながら、『俺、順序を間違えたな』って思ったから。そういう意味では反省はしていますよ」

――近年は視聴者の目が厳しくなっていて。芸能人の方も、何とか炎上させないようにと言葉を選んでいるように見えるのですが。

テリー: 「そうだよね。そこは難しいところだけど、仕方ないよね。そういうことで萎縮してしまうんだったら芸能界にいるなよって話になっちゃうしね。下手なことを言っちゃいけないからと言って、それで萎縮してしまっていたら、おまえ、なんでそこの席に座ってるんだということになるじゃない。テレビって面白いもんで、自分の隣に引っ越してきてほしくないような人が人気者になるんですよ。例えばデヴィ夫人とかも、テレビで見ると面白いじゃない。テレビってそういうところなんですよ」

◆テリー伊藤(てりーいとう)
1949年、東京築地出身。早稲田実業中等部、高等部を経て日本大学経済学部に入学。大学卒業後、テレビ番組制作会社"IVSテレビ"に入社。「天才たけしの元気が出るテレビ」「ねるとん紅鯨団」などヒット番組を手がける。その後独立し、テレビ東京「浅草橋ヤング洋品店」を総合演出、「サッポロ生搾り」「ユニクロ」「プロピア」「MGローバー」など、数々のテレビ番組やCMを演出している。

トレンドニュース「視線の先」 ~築く・創る・輝く~
エンタメ業界を担う人が見ている「視線の先」には何が映るのか。
作品には、関わる人の想いや意志が必ず存在する。表舞台を飾る「演者・アーティスト」、裏を支える「クリエイター、製作者」、これから輝く「未来 のエンタメ人」。それぞれの立場にスポットをあてたコーナー<視線の先>を展開。インタビューを通してエンタメ表現者たちの作品に対する想いや自身の生き 方、業界を見据えた考えを読者にお届けします。

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