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4月8日、AKB48劇場で行われた卒業公演をもって、AKB48を卒業した高橋みなみ。総監督として強烈なリーダーシップを発揮し、300人近い女の子たちをまとめあげ、秋元康から「AKB48とは高橋みなみのことである」と言わしめた彼女。そのリーダーシップはアイドルファンのみならず、ビジネスパーソンなどからも注目を集め、自身初の著書「リーダー論」は売り上げ12万部を突破した。今後は歌手として活躍する事を明言している彼女の活躍が期待されている。

そんな高橋みなみをスタッフとして支えてきたのが、ファンの間では名物スタッフとして知られる湯浅順司氏。AKB48のCD制作ディレクター、AKB48選抜総選挙選挙管理委員長として、彼女を間近に見てきた彼に高橋みなみはどう映ってきたのか。その思いを直撃した。

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高橋みなみと共に歩み、AKB48を支えてきた湯浅順司氏


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――AKB48時代、高橋さんとはどのような関わりをしていたのでしょうか?

湯浅「僕が最初に彼女に会った時はキングレコードの人間だったので、基本的に仕事をするのは主に四つ。レコーディング、MV撮影、それから曲をリリースした後の歌番組、握手会が多かったですね。例えば歌番組でこのシングルはこういう曲で、というような説明はほとんどたかみなが担当していました」

――その説明をどうやるかというのも湯浅さんと相談していたそうですが。

「曲を聴きながら、歌詞を見ながら、この曲はなんて説明をしようか、この歌詞の意味はどういう事なんだろう、という事を話し合っていました。『大声ダイヤモンド』や『ヘビーローテーション』『フライングゲット』あたりまでは、なんとなく根本となるものを僕が考えて、それをたかみなが手直しして、現場に持って行き、説明するというパターンでやっていたんですが、後期になると、二人で考えて持って出て行くようになりましたね。彼女は歌詞の意味をすぐに理解する子だったんで、レコーディングの時に、ブースに入って歌詞を見た瞬間に感激して泣いてしまったという事がありました。」

――世間で思う、レコード会社の担当者とアーティストの関係性というものに比べるとかなり深いように感じるのですが。

湯浅「そうですね。握手会などのイベントも多いので、一緒にいた時間は他のメンバーよりも一番長かったと思います」

――AKB48グループの総監督としてまとめ役を任される一方で、アーティストとして自分を成長させたいという思いもあったと思います。なかなか両立は難しい立場ですが、「もっと歌いたい」というような彼女自身の葛藤もあったのでは?

湯浅「でも、あの子はAKB48が大好きなので、本人に聞いてみないと分からないんですが、歌手に専念するのは卒業してから、という思いがあったんじゃないかと思います。

彼女がすごいのは両方やれる事なんですよね。AKB48グループはコンサートが多いので、おそらくここ10年近くいるうちに、演出や衣装、ステージに関する見せ方を相当勉強した気がします。
この前行われた、ファンクラブ向けイベントでもそれが生かされていて。1人で出て行かなければいけないので、着替えの時間をどうしようとか、自分が着替えでいなくなるならこうやって登場したら面白いとか、そういったアイデアがポンポンと出てくるんです。それはやはりAKB48時代に大きなホールと、逆に劇場と、両方を経験した部分も大きいと思います」

――ちゃんとその日のステージで何が行われるのか、目配せがなされていると。

湯浅「例えばライブ前ってよく円陣をやりますよね。別のアーティストさんとかだと、すべてが準備できたうえで本番5分前に『いくぞ、オー!』で終わりなことが多いんですけど、AKBの円陣は珍しくて。30分くらい前にメンバーを集めて、曲の確認をするわけです。セットリストを見ながら、細かい注意点を言うわけです。『ここが終わったら、誰々ちゃん、早替えです。この曲が終わったら、チームKは早替え。次はチームAが2曲やって、それから反対側のステージに移動して......』みたいな。それはセットリストの紙には書いていない事も多い。つまりあの子はきっと全部覚えているんです。もしかしたら、自分以外のMCの内容まで知っている時もある。全体の流れが頭の中に入っているんですよね。そういった事を15分くらいバーッとしゃべって。どういう頭の構造をしているのか分からない。たとえ、自分が体調的につらくて、リハーサルをあまり見られなかったとしても、当日になると絶対にそれをやれるんですよ。本当にすごいなと思います」

――横山由依さんが総監督を引き継ぐ事になりましたが、プレッシャーはあるのでは。

湯浅「たかみなにはまとめる力があり過ぎるので。由依ちゃんはあのままをやらなきゃいけないんじゃないかという、プレッシャーがあると思います。他のメンバーは、たかみなに若干甘えているところも絶対にありますから。由依ちゃんがまったくもって同じ事をやらなくていいんだよという事は、メンバーも含めてスタッフが皆で言っている事です。色々なことを、みんなで助け合ってやればいいじゃないかと」

――今後、横山さんはどういうリーダーになっていくのでしょうか?

湯浅「由依ちゃん自身は、劇場の観客が7人しかいなかったような時代を知らないんですが(僕もですけど・・・)、それでもある種、彼女が一番危機感を持っている、というのが面白いところだと思います。彼女はとにかく真面目なんです。AKB48が今、成り立っているのは、それを経験した先輩たちがいるからだという思いがある。11年目を迎えるにあたって、もう先輩たちはいないわけじゃないですか。それこそ小嶋(陽菜)さんと、みーちゃん(峯岸みなみ)くらいしかいないですよね。だから昔を取り戻すというよりは、今いる子たちで、次を担っていかなきゃいけないんだ、という思いがすごくある。その辺の考えがしっかりしていますね。リーダー(総監督)の形は1つではないと思うので、由依ちゃんなりの、リーダー論が出てくるといいな、と思います。」

――卒業を発表してから、実際の卒業まで1年間の猶予がありました。その1年はどういう期間だったのでしょうか?

湯浅「たかみなは何かを直接教えるという事はしていないと言っていました。背中を見ておけという事ですよね。例えば歌番組でも、女の子なんて、じゃいきますよと僕らスタッフが促しても、どうしても2、3人がメイクなどで遅れて来たりする事もあったんですけど、たかみなが『行くよ』と言ってくれると全然変わるんです。最近ではそういった事を由依ちゃんがやり始めてくれました。あれって多分、言われたわけではないと思うんです。自然発生的にあの子がやり始めたという事。卒業を発表しちゃいましたけど、宮澤佐江ちゃんもそういった感じの子なんで、彼女もそういう事をやっていましたね」

――他のメンバーたちはどうですか?

湯浅「たかみなが卒業すると決まってから、歌番組や握手会を見ても、わりとみんながしっかりしてきたように思います。それはきっと、たかみながいなくなるというのが分かっているから。逆に言うと、きっと甘えていたんでしょう(笑)。でも1年の猶予をくれたというのは、こちらとしてはありがたかったし、その一年を通じて、他のメンバーもだいぶ変わったんじゃないかなという気がします」

――6月18日には、HARD OFF ECOスタジアム新潟で「AKB48 45thシングル 選抜総選挙」が開催されますが、高橋さん不在の中、今年はどういう選挙になりそうですか?

湯浅「今年で言うと昨年の選抜16人から、たかみな、宮澤佐江、みるきー(渡辺美優紀)が卒業、柴田阿弥、松村香織が辞退と、5人が一気にいなくなる。そういう意味では、若い子にチャンスが広がるという事だと思います。今年はちょうど11年目で、新しい世代がどれくらい入ってくるのか、というところが見どころになると思います。また、今までなかった2連覇を指原(莉乃)が成し遂げられるのかという事もあります」

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AKB48劇場卒業公演後の囲み取材で涙を見せた、高橋みなみ


――3月27日には横浜スタジアムでの卒業コンサート、そして4月8日にはAKB48劇場で卒業公演が行われました。

湯浅「コンサート前はずっと練習をしていました。やはり彼女の中でこの公演は大きかったんでしょうね。それから横浜スタジアムでは、姉妹グループとの共演という初めての試みがありました。たかみなとSKE48、たかみなとHKT48、たかみなとチーム8という形が見られるのは相当レアだったと思います。他のグループと一緒に歌を歌う機会ってあまりなかったですからね。そういう意味でも背中を見ろということだと思うんです」

――たかみなさんといえば「努力の人」と言われていますが、湯浅さんから見たたかみなさんとは?

湯浅「すごいですよ。あの子は努力しかしていないですから。例えばMVなどを撮りますよという時も、今でも覚えているのは、ずっと鏡の前で練習しているあの子の姿なんですよ。何かの歌番組の時も、本番10分前だというのに、それでも鏡の前で黙々と振りの確認をしていた。今は彼女の背中を見て、それを引き継いでいる子も多くなったんで、彼女だけじゃなくなりましたけど。
あと偉いなと思うのが、きちんと楽屋をキレイにしてから帰るということ。その精神は宮澤佐江とか、最近の若いメンバーにも引き継がれていて、わりと最近は、彼女たちもきちんと片付けるようになりました。本当にすごい人ですよ」

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高橋みなみと共に歩み、AKB48を支えてきた湯浅順司氏


◆湯浅 順司(ゆあさじゅんじ)
1982年東京都生まれ。2005年、法政大学卒業後に、キングレコード株式会社に入社。アニメ部門を経て、J-POP部門に所属。AKB48のA&Rチーフプロデューサー、AKB48選抜総選挙選挙管理委員長などを担当し、AKB48ファンの間では名物スタッフとして知られる。2013年にはキングレコードを退社し、Sizuk Entertainment 株式会社を設立。音楽コーディネート、インディーズCD制作、楽器演奏指導など幅広く活躍する。座右の銘:上善は水の如し

(取材・文/壬生智裕)
(写真:トレンドニュース)

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