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 小渕健太郎と黒田俊介によるデュオ、コブクロの通算9枚目となるオリジナル・アルバム『TIMELESS WORLD』が完成した。
 「陽だまりの道」から始まった本作のレコーディングは、「未来」という楽曲を作ったことによって、自分たちの10年間を振り返るタイミングが訪れたという。2005年、「名もなき世界を音楽で表現したい」というコンセプトのもと、アルバム『NAMELESS WORLD』を作り上げた2人。そのときのジャケットは、あえて中心を空白にして"名もなき世界"を表した。

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6月15日リリース オリジナル・アルバム『TIMELESS WORLD』


今作は、その真っ白な世界をずっと支え続けてきてくれた、ファンとの絆を象徴するタイトル『TIMELESS WORLD』を掲げ、時を経ても決して色褪(あ)せない"タイムレスな楽曲"を詰め込んでいる。そのジャケットデザインは、空白に新たなイメージを描きこむという、非常に画期的なアイデア。モチーフとなっているのは、彼らがアマチュア時代に演奏していた大阪の戎橋だ。
 体調不良による半年間の休業など、この10年でさまざまな出来事を経てきた2人。そんな彼らに本作への思い、タイムレスな楽曲を作り続ける覚悟など大いに語ってもらった。

アルバム収録曲「hana」>>


コブクロ 「未来」>>


■ ちょっとでもルーチン化しそうになったらすぐ崩すようにしています

ーーまずは、『TIMELESS WORLD』を製作するまでの経緯を教えてください。

小渕: 前作『One Song From Two Hearts』を2014年の年末に出して、ちょっと時間があったのでプライベートでイギリスへ行ってきたんです。布袋(寅泰)さんのご自宅に、2週間くらい滞在させてもらって。そこから帰ってきて、最初に作った曲が「陽だまりの道」。それを取っ掛かりに、本格的にレコーディングがスタートしました。

ーーイギリスでの滞在は、今回のレコーディングに影響を与えていますか?

小渕:そうですね。これまで作ってきたコブクロの楽曲よりも、もっともっと大きな楽曲が作りたいって思いました。黒田と一緒に(コブクロを)16年やってきて、いろんな景色を見てきたし、上り坂も下り坂もいろいろ経験してきました。でも、いつも同じような場所を、ぐるぐるとたどっているような感覚もあって。というのも、イギリスの景色を見ながら自分たちの曲を聴いたときに、ちょっとこぢんまりと感じてしまったのが悔しかったんです。「もっともっとコブクロはいけるはず」「どこへ行っても響くような楽曲が、俺たちなら作れるはずだ!」と、強く感じたんです。イギリスという国は、最先端のカルチャーやアートから、すごくのどかな田園風景まで飲み込むパワーがあるじゃないですか。そういうイギリスの懐の広さに、負けないようなアルバムを作りたい。そう思いながら、一生懸命向こうの空気を体いっぱいに吸い込んで帰ってきました。

ーー今作は、2005年のアルバム『NAMELESS WORLD』と対になっていますよね。この10年間で、もっとも印象に残っているのは?

黒田:やはり2011年の休業期間ですね。今思えば、あれでまたリセットできたと。一周できて、細かいテクニックがどうとかよりも、今楽しくできてるんじゃないかなと思います。

小渕:もう、ほんっとうに好きなことしかやらないようになってます。自分が本気で楽しまなければ、伝わらないっていうことがわかったので。僕ら、一度休んでもう一回始めたわけですよね。にもかかわらず、好きじゃないことをやっていたり、なんとなく疑問を持ちながらやっていたら、応援してくれている人たちに対して失礼じゃないですか。「黒田も小渕も楽しそうやな~」って思われることを、常に探して実践していますね。

黒田:コブクロを結成してから18年になるんですけど、気がつくといろいろなことがルーチン化して、何事もスムーズにできてしまったりするんですね。でも、そうなってしまうと全然面白くない。そのことに最近気がついて、ちょっとでもルーチン化しそうになったらすぐ崩すようにしています。

ーールーチン化を崩すために、例えばどんなことをしていますか?

黒田:最近、すげえ久しぶりにボイトレへ行きだしました。昔はよく行ってたんですけど、あらためて行ってみると、歌に対してまた新鮮に取り組めるようになってきたんです。技術的なことがどうこうというより、ボイトレ行って、それから歌うとなんか楽しいんです。

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6月15日リリース オリジナル・アルバム『TIMELESS WORLD』


ーー今作のタイトルは『TIMELESS WORLD』ですが、これまでコブクロは「永遠にともに」や「桜」など、ずっとタイムレスな楽曲を作り続けてきました。そのモチベーションはどこから来ているのでしょうか。

小渕:例えば、海外でもヒットした日本の曲といえば「上を向いて歩こう」(スキヤキ)ですよね。この曲のことはもちろんみんなが知ってるけど、もはやCDやレコードというカタチで手元に持っている人は少ないと思うんです。僕らコブクロは、そういう曲を目指したい。

ーーというのは?

小渕:今、CDが世の中から少しずつ消えていってますよね。配信が主流になりつつあり、みんなスマートフォンで音楽を聴く。じゃあ、スマフォがなくなったら音楽はどこへ行くんだろう? って考えてみると、最後は口元にしか残らない。「歌う」っていうことでしか、存在しなくなります。みんなが歌えなくなったら、その曲の寿命はそこまで。でも、タイムレスな曲っていうのは、みんなが学校で、家で、会社で、ずーっと歌い続けてくれますよね。そうやって、いつまでもみんなの「口元」に残っているような、そんな曲を目指しています。でも、そうなるには1年や2年じゃ無理。10年、20年、いやもっと月日がたっても、おじいちゃんおばあちゃんから子供まで歌ってくれるような曲にならなければならない。そんな曲が、今回のアルバムからも生まれたらいいなという、強い思いがありました。

ーーそれって、「歌」以外のもので例えると何でしょうね?

小渕:本作に、「hana」っていう曲があるんです。花というのは、うれしいときも悲しいときも供えられる、いろいろな感情に寄り添ってくれる存在ですよね。僕らが作る「歌」も、そんな「花」のような存在になってほしい。みんなのうれしいとき、悲しいとき、あるいは何でもない日常にもそっと寄り添うような、そんな歌を歌っていきたいなと。
僕らのファンの方のブログを読んでいたら、「コブクロの曲には"待ってる"っていうフレーズがとても多い」って書いてくださった人がいて「ハッ」としたんです。そうか、コブクロの曲は、「花」のように待っている存在なんだ、と。花は光を待ってる、雨が降るのを待っている、地面から栄養が来るのを待ってる。決して自分から何かを取りには行かないんです。それを眺めていると、こちらが優しい気持ちになれる。そういう感覚って、コブクロがストリートミュージシャン出身だから生まれたのかもしれないですね。僕らも道に立って、人が集まってくれるのをずっと"待って"いたから。

■ 誰かの人生に深く入り込んじゃったらもう、辞めるわけにはいかない

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6月15日リリース オリジナル・アルバム『TIMELESS WORLD』


ーー新曲「STAGE」は、そんなストリートミュージシャン時代を彷彿(ほうふつ)させる曲ですよね。"歩いても、歩いても、何も見つけられない日"というフレーズには、下積み時代の思いを込めたのかなと。

小渕:お客さんが一人も集まらないで帰る日のむなしさ......。デモテープを100本持って行って、一つも売れずに持ち帰るときの重さは、いまだに忘れられないですね。ただ、そんなときでも「いつかはきっと」という気持ちが挫けたことは、一度もないです。たった一人で泣きながら見てくれていた学生さん、「この曲を聴いて、わたし会社を辞めたんです」って打ち明けてくれたOLさん......。そういう人たちに、ストリートではたくさん出会ったんですね。そうやって、誰かの人生に深く入り込んじゃったらもう、辞めるわけにはいかないって強く思って。それに、自分たちの楽曲には特別な何かがあるんだっていうこと、その人たちに教えてもらったわけですから。

黒田:人が集まらなかった時は、「場所が悪かった」とか「時間が悪かった」とか、「天気が悪かった」っていう話にはなるんですけど、「曲が悪い」とか「歌が悪い」っていう話は一度もしませんでした。天気が良い日に、しかるべき場所を選んでしかるべき時間帯にやれば、絶対に人が止まるっていう、確固たる自信がそのときからあったんです。

ーーところで本作には、「何故、旅をするのだろう」という曲があります。お二人は旅は好きですか?

小渕:好きですね。イギリス旅行も誰かにアテンドしてもらったわけではなく、一人でチケット取って、ヒースロー空港で降りて、何とか道を確認しながら布袋さんの家までたどり着いたんですけど、そのドキドキ感も楽しい。やってよかったなあと思ってます。一人旅も、みんなで行く旅もどちらも楽しいですよね。

黒田:一人で旅してる時って、何やってるの?

小渕:家でもできるようなことやってるかな。わざわざ遠いところまで行って、船のデッキで漫画読んだり。何もしないぜいたくってやつだね(笑)。

黒田:オッシャレだなおまえ!(笑)僕は一人で旅するより、みんなで旅する方が好きですね。しかも国内がいい(笑)。なにしたらいいかわからんし。何の目的もなく旅する人っているじゃないですか。何時間も飛行機に乗って、言葉が全く通じない国にわざわざ行くとかほんッと無理なんですよ。なんかあったときに、どうにもならないじゃないですか。

ーー(笑)。でも、海外一人旅が好きな人は、それが楽しいんだと思いますよ。道に迷ったり、危うく飛行機の乗り継ぎに遅れそうになったりしながら、「生きてるなあ!」って思うんじゃないかと。全感覚が研ぎ澄まされる感じがするというか。

小渕:そうそう。

黒田:全然わからない......。

ーー(一同笑)

黒田:たぶん、臆病なんですね僕。だから、僕らタイプが全然違うんですよね。真逆だと思います。

ーーこうやってお話を聞いてると、お二人は今も本当に仲良しですよね。ずっとそうあり続けるために心がけていることはありますか?

黒田:年末年始のごあいさつじゃないですか?(笑)

小渕:そこだけは"Timeless"にね(笑)。タイムレスなごあいさつをしっかりと。桃とか贈って。

ーー(笑)。けんかとかします?

小渕:そんなの全然ないですね。もしかしたら、人から見たらけんかしているように見えるようなことも、けんかでもなんでもなくて。「これとこれ、どっちにした方が良くなるか?」みたいな話し合いを、相手の主張も聞きつつ自分の意見も言っているときはいいバトルなんです。お互い、納得いくまで話し合って、少しでもいいと思える意見を採用していくんです。

ーーお互いをリスペクトしているっていうことなんですね。

小渕:そりゃもう。黒田と同じことを僕はできないし、ほんと二人で一つなので。

黒田:今年のお盆は何が贈られて来るか楽しみです(笑)。

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6月15日リリース オリジナル・アルバム『TIMELESS WORLD』


◆ コブクロ
1998年、路上ライブをしていた小渕健太郎と黒田俊介が出会い結成。2001年シングル「YELL~エール~」でメジャーデビュー。2005年に発売したシングル「ここにしか咲かない花」「桜」がロングヒットを記録する。2006年5月には初の日本武道館公演を大成功に収め、続いてリリースした「ALL SINGLES BEST」は300万枚を超える大ヒット。その後も数々のヒット曲やコラボ作を発表し、活動の幅をさらに拡大させるが、2011年8月に小渕が発声時頸(けい)部ジストニアを患っていること、黒田も持病の腰痛や喉の疲労が悪化したことから、療養期間に入る。そして2012年7月に活動再開を発表。2015年4月からは過去最高規模の全国TOUR「KOBUKURO LIVE TOUR 2015"奇跡" supported by Ghana」をスター ト。2016年8月 27日からは、KOBUKURO LIVE TOUR 2016 "TIMELESS WORLD" supported by Ghana が控えている。

座右の銘
黒田「パット・イズ・マネー」
小渕「宝くじの一等を当てるためには、当たるまで買い続けること(成功するためには、成功するまでやり続けること)」(ウォルト・ディズニー)

トレンドニュース「視線の先」 ~築く・創る・輝く~
エンタメ業界を担う人が見ている「視線の先」には何が映るのか。
作品には、関わる人の想いや意志が必ず存在する。表舞台を飾る「演者・アーティスト」、裏を支える「クリエイター、製作者」、これから輝く「未来 のエンタメ人」。それぞれの立場にスポットをあてたコーナー<視線の先>を展開。インタビューを通してエンタメ表現者たちの作品に対する想いや自身の生き 方、業界を見据えた考えを読者にお届けします。

(文/黒田隆憲)
(写真:トレンドニュース)

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