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 昨年、デビュー20周年の節目を迎えた相川七瀬が、32枚目のシングル「ACROSS」を7月6日リリース。表題曲は、L'Arc-en-CielのTETSUYA提供によるポップかつハードなロックナンバー。藤林聖子とのタッグによる歌詞には、シンガーとしての自身の在り方を改めて確認し、「新たな10年」をポジティヴに突き進んでいこうとする、相川自身の強い意思が込められている。また、カップリング曲「僕らのEndless Dream」は、今年のライブでも共演しているギタリスト、柴崎浩(元WANDS)による提供曲。つまり本作は、相川、TETSUYA、そして柴崎と、激動の90年代をともに乗り越えてきた盟友3人が集う、記念碑的な作品に仕上がっているのだ。
 現在は三児の母として、育児をしながらアーティスト活動をおこなう相川。本作の制作秘話や、東京湾沿岸で撮影したというMVの見どころ、そして7月から始まったツアーについてなど、ざっくばらんに語ってもらった。

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7月6日リリース L'Arc-en-CielのTETSUYA提供「ACROSS」 相川七瀬


360°カメラを用いて演出されたミュージックビデオ「ACROSS」>>


■ ここから先の10年も、成熟した形でドライブしていきたい

ーー32枚目のシングル表題曲は、以前から交流の深いL'Arc-en-CielのTETSUYAさんからの提供曲ですが、このコラボが実現することになった経緯を教えてください。

相川:てっちゃんとは、90年代の頃から仕事も現場もよく一緒で。ご飯食べたり、仲良くさせてもらっていました。メロディメーカーでヒット曲もたくさんある彼と、久しぶりに再会してご飯を食べた時に「人に楽曲を提供したことがないんだよね」という話題になって。私はその言葉にすごくびっくりして、もしも誰かに書いてもいいと思っているのならぜひ私に書いて欲しい!!と、その場でお願いした事から始まりました。


ーー歌詞のテーマはどのようなものですか?

相川:デビュー当時の私は、「夢見る少女じゃいられない」に代表されるような、どこか満たされない、反骨精神を持った女の子をテーマにした主人公像を歌っていました。あれから20年たって少女も大人になり(笑)、充実した毎日を送っているんですけど、それでもどこかまだツッパッた部分は自分の中に残しておきたい。夢は諦めたくないし、自分に見切りをつけたくもない。ここから先の10年も、成熟した形でドライブしていきたいという思いを歌詞にしたかったんです。でも、自分のことってなかなかカッコよく書けなくて(笑)。それで以前、「Round ZERO~BLADE BRAVE」(2004年)で歌詞を書いてくださった藤林聖子さんにお願いしました。今、思っていることを彼女に全て話して、そこからストーリー立て直して書いてもらったんです。

ーーイメージ通りに仕上がりましたか?

相川:もうバッチリ! 彼女とだったら、今後も一緒にタッグを組んで作っていきたいと思いました。私の中にあるメッセージ、書ききれないメッセージを、これからも形にしてもらえる気がします。

■ 何度失敗したって、やり直しがきくんだっていうメッセージを込めたかった

ーー現在三児の母である相川さんは、執筆活動、そしてアーティストとしての活動とさまざまな分野で活躍されています。息切れはしませんか?

相川:先日、親交のあるディレクターさんと話をしていた時に、「女の人って大変だよね」って言うんです。「家庭をマネージメントしながら仕事しなきゃならないから」って。そういわれた時に私はそういうふうには思っていないなと思ったんです。あくまでも主軸は家族だし、その余白の時間......例えば子供たちが学校へ行ったり、夫が仕事へ出かけたりして、一人きりになった隙に仕事をしています。自分がいま持てる分だけの仕事に、全力を尽くす。昔みたいに、寝ないで歌詞を考えるようなことはしなくなりました(笑)。母親としての私と自分自身の夢との折り合いがついたっていうことなんでしょうね。

ーー「僕らのEndless Dream」は、相川さんの作詞ですが、これはどんなことをテーマにしていますか?

相川:誰しも、「なんであんな失敗しちゃったんだろう」って思うことありますよね。でも、その失敗をカバーしようとしたり、埋めようとしたりして頑張れば、「あの失敗があったからこそ、今の自分はここまで来られたんだ」って思える。たとえそれがものすごく痛い失敗で、それ自体は取り返しがつかなくても、それ以上の経験値を手に入れる瞬間ってあると思うんです。失敗した自分を否定してしまわず、これまで頑張ってきたことを、誇りに思える人生でありたい。何度失敗したって、やり直しがきくんだっていうメッセージを込めたかったんです。

ーー今って、他人の失敗に対して非常に不寛容な世の中ですし、そこで傷つくのが怖いから、どんどん失敗を恐れて萎縮してしまいがちですよね。

相川:そうなんです。でも、失敗の中に学びがあったり、遊びがあったり、楽しみがあったりするのに......。失敗しない人生なんて、私はないと思うんですよ(笑)。失敗し、泥まみれになりながら(笑)、最後はキレイな花になる。そんな人生を送りたいですよね。

■ ロックのライブをやりたいというのがずっとあった

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7月6日リリース L'Arc-en-CielのTETSUYA提供「ACROSS」 相川七瀬


ーーちなみに、相川さんにとって取り返しのつかない失敗とは?

相川:今から10年くらい前かな。自分自身を追い込みすぎたことが原因で一時期声が出なくなってしまったことがあって。随分、もがきました。それで、思い切ってボイストレーナーの先生を変えそれまで築いたものを崩し、180度違う発声法を取り入れました。
最初はもう戸惑いしかなかった。それまで10年くらい積み重ねてきたやり方を、一度全てチャラにして一から立て直していくわけですから、とても厳しいプロセスでした。

ーーとても勇気のいることですね。

相川:「これでうまくいかなかったらどうしよう」「また声が出なくなったらどうしよう」と最初のうちはものすごく葛藤しました。トレーニングを重ねていくうちに、自分の思う響きの声が戻ってきて少しずつ歌に対する自信を取り戻し始めました。
ちょうどその頃、次男が私の過去のライブ映像をよく見ていたんですね(笑)。当時、つらい思いをしながら歌っていた時期の映像を、息子はとても楽しそうに見ているんです。そんな様子を見ていたら、20代で駆け抜けてきたあの時間がとても大切で愛おしいものに変化しました。

ーー自分の過去を受け入れ、自信を取り戻し、歌うべき対象を見つけられたのは、「歌えなくなる」っていう試練を乗り越えたからこそなんですね。

相川:そうですね。デビューの頃から私についてくれているスタッフは、変わらずそばにいてくれて。20年前と何も変わってなどいなくて、いつもみんなが支えてくれている。そういうことすら忘れてしまうくらいの、今思えばスランプだったのだと思います。でも今はそれを越えたから充実していると胸を張って言える。
こから自分はどんなメッセージを発信できるのか、模索しながら進んでいくことが、これからの10年の課題だし醍醐味(だいごみ)でもあるのかなと思います。

ーーGYAO! では「ACROSS」のMVを配信しています。こちらの見どころは?

相川:「360度撮影できるカメラで撮りたい」という提案があって、私は最初、言っている意味がわからなかったんですけど(笑)、実際の映像を見たら、本当に360度撮れていて、ビックリしました。「絶対ロケがいいよね!」っていう話になり、今回は船に乗っての撮影にしたんです。前日は大雨だったので、すごく心配したんですけど、当日はすっごく晴れて気持ちよかったですね。見どころはレインボーブリッジの下をくぐる時。あんなアングルでレインボーブリッジを見ることってめったにないと思うので(笑)、ぜひそこは注目してほしいです。

ーー7月3日からツアーが始まりましたが、こちらの見どころもぜひ!

相川:ここしばらく、東名阪でロックのライブをやれていなかったんです。私としては、ロックライブをやりたいというのがずっとあったので、今年ようやくそれが実現できるのはすごく楽しみです。ロックを歌っている瞬間は、過去も未来も無くなり、今その瞬間を「自分」として生きているような気持ちになれるから、自分にとってとても大切なんです。デビュー21年目に突入し、新曲もお披露目しますし、昔の曲も大事にしつつ進化していく相川七瀬を見てもらえたらうれしいです。セットリストがものすごくハードなので、体力も進化させなきゃ......!(笑)

"エグスプロージョン"と "トレンディエンジェル・斎藤 司"とコラボした、「満月にSHOUT!」>>


岡本真夜が作曲、相川七瀬が作詞を担当。桜の季節をモチーフにした「桜舞い降りる頃、涙色 feat.mayo」>>



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7月6日リリース L'Arc-en-CielのTETSUYA提供「ACROSS」 相川七瀬


◆相川七瀬(あいかわ ななせ)
1975年生まれ。大阪府出身。1995年「夢見る少女じゃいられない」でデビューして以来、現在までのCDトータルセールスは1200万枚を超えている。2016年3月16日に、12年間毎年品川教会で開催してきたアコースティックライブのダイジェストと「七瀬の日 2015」を2枚組としたLIVE DVD「月と太陽~NANASE'S DAY2015 & MOON DANCE~」をリリース。4月25日、相川が書き下ろした小説「ダリア」が漫画家・尾崎南の作画でコミックスとして出版された。7月6日には32枚目のシングル「ACROSS」をリリース。秋には待望のアルバムを予定している。
座右の銘 「明けない夜はない」

(取材・文/黒田隆憲)
(写真:トレンドニュース)

トレンドニュース「視線の先」 ~築く・創る・輝く~
エンタメ業界を担う人が見ている「視線の先」には何が映るのか。
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