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最先端の科学技術で死んだ人の脳内に残る記憶を映像化させ、迷宮入り事件の謎を暴く。しかし、それは絶対に知られたくない「心の秘密」をも同時に暴いてしまい......。
「脳内捜査」という驚異の設定で、少女マンガ界に革命をもたらした清水玲子の大ヒットコミック「秘密 THE TOP SECRET」が、『るろうに剣心』シリーズの大友啓史監督により、映画化(8月6日公開)。インターネット調査で97.3%という高い満足度で読者をひきつけたロングセラー、待望の映像化であり、主演に生田斗真や岡田将生ほか実力派俳優を迎えた本作は、公開を前に注目度が上昇中。今回、原作者・清水玲子氏に作品にこめた思いを語ってもらった。

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清水玲子の大ヒットコミック「秘密 THE TOP SECRET」(8月6日公開)
(c)2016「秘密 THE TOP SECRET」製作委員会


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■映画化は私の漫画をもとに生まれた「違う」世界、映像畑の人の才能に感動

――ご自身の作品が実写化されるという話がきた際、原作者としてどのようなお気持ちでしたか。不安と喜び、どちらの気持ちが強いものでしょうか。

不安半分、喜び半分。今回の松竹さんのお話以前にもいろいろありましたが、どれも諸事情で形にならず。たくさんの人が関わり、お金がかかる映画は本当に大変なんだなぁと感じていました。

―― 完成した映画を初めてご覧になったときのお気持ちをお聞かせください。

正直、観る前は「つまらなかったらどうしよう。監督になんて言ったらいいんだろう」とちらりと思いましたが、嬉しいことに2時間半があっという間でした。撮影現場に何回もお邪魔させていただいたのですが、どちらかというと動きの少ないピリピリした細かい現場だったので、それがまさかこんな迫力のある映像に変化するとは想像できず、ただただ驚きました。監督の頭の中では、このイメージがずっとあったのかと、映像畑の人の才能に感動しました。

―― 大友監督に対し、脚本について意見をされたとプレスのコメントにありますが、直接お話されたのでしょうか。その時の監督の印象をお教えください。

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清水玲子の大ヒットコミック「秘密 THE TOP SECRET」(8月6日公開)
(c)2016「秘密 THE TOP SECRET」製作委員会


私も私の担当も脚本の段階では、不安のほうが大きかったです。監督のインタビューにもありましたが、この脚本を映倫に読ませたら、「R指定どころじゃない。問題外だ」と言われたらしいですし(笑)。
とにかく脚本では、かなりエグくて。同席した松竹の方にも「この脚本で本当にいいんですか?」などと、監督を前にして気の小さい私にしては、かなり頑張って意見しました。それに対する監督の答えは「(エロやグロは)どこよりも厳しいNHKで鍛えた僕を信じてください」と。監督の姿勢がはじめから全くブレないので、段々「ああ、監督にはもうはっきりとしたイメージが出来ているのだな。もうこれはお任せしてしまうしかないな。映画は監督のものだし」という気持ちに。一見穏やかでユーモラスな柔和な印象ですが、いい意味ですごく頑固で自信に満ちた方だとも感じました。

―― 原作と映画では登場人物の見た目や人間関係も異なり、そして映画ならではの登場人物が登場と、原作と異なる部分もありました。そういった「違い」について原作者としてはどのように思われるものでしょうか。

映画あるいはアニメは原作と違うのは当たり前。漫画と同じ流れで同じコマワリやアングルで作るのなら、映画を作る必要はない。むしろ「違い」が面白い。受け入れられなければ、オリジナルの漫画を読んでいたらいいのです。
私の漫画をもとに生まれた「違う」世界が見られて、しかもこんなすごい監督と役者さんで本気で作っていただいて、作家として大変幸せです。

―― 「秘密」の映画化の話があがる前、または話があった後に、大友監督の作品をご覧になっていらっしゃるかと思います。また、今回「秘密」の映画完成版をご覧になって、大友監督の魅力とはどんなところだと感じられていますでしょうか。

「常に変化を求めている」「進化するためには失敗することもあるだろうけれど、それもいとわない」方かと。『ハゲタカ』『るろうに剣心』『白洲次郎』『秘密』、全ての作品の傾向が、売りが違う。『るろうに剣心』が世間にうけたからといって、同じようなアクションばかり撮ったりしない、その挑戦する姿勢。優秀なスタッフが「ついていこう」と思う人って、こういう人なんですね。

―― 映画の中の「第九」の研究室内と主観映像がとても印象深かったのですが、先生はこれらを「実写映像」としてご覧になり、どのように感じられましたか。

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清水玲子の大ヒットコミック「秘密 THE TOP SECRET」(8月6日公開)
(c)2016「秘密 THE TOP SECRET」製作委員会


MRIの主観映像がこの映画の「肝」だと思います。岡田将生さん演じる青木になって捜査しているような「体感系」。ここに監督の「こだわり」が凝縮されていて、迫力があります。
家に帰って自分の漫画を読み返して、「こんなにおとなしかったっけ?」「まだまだだったな」と、なんだか悔しかったです(笑)。

■「脳内捜査」という発想、着眼点

―― 原作につきまして質問です。「秘密 THE TOP SECRET」を描くきっかけが何だったかをお教えください。

はじめはロボットの脳で考えていたように思います。そのほうが取り出しやすそうですし。でもそれだと監視カメラと同じでつまらない。でも、もしロボットに感情があって、それが映像に出ていたら面白い......というように変化しました。

―― 脳は記憶そのままのプロジェクターではなく、感情という主観によって変換された記憶が残っている。脳の記憶によって「事実・真実」を客観的に解明しようとするMRI捜査を描いているが、「心の秘密」を開いた瞬間、生身の身体を貸した人物たちが翻弄されていく展開が印象的でした。ずばり「脳内捜査」は、脳科学の最先端技術として世に貢献するものでしょうか? それとも人間が犯してはいけない領域だと考えますか? 生みの親としての見解をお伺いしたいです。

実際に起きる猟奇的な殺人事件。真実がわからないまま、忘れ去られていくたくさんの悲しい事件の当事者にもし自分がなってしまったとしたら。つらいだろうけれど、脳捜査してほしいです。一緒に開けてはいけないものまで開けてしまい、悩み苦しむとしても真実が知りたいです。闇を知らないと光も見えないと思うし、人間はその闇に負けないと信じます。

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清水玲子の大ヒットコミック「秘密 THE TOP SECRET」(8月6日公開)
(c)2016「秘密 THE TOP SECRET」製作委員会


―― 先生ご自身が日常生活で「記憶」による稀有な体験(デジャブなど)をしたことはありますか? もしくは「記憶」を意識するような瞬間がありますでしょうか。あれば、どのような時でしょうか。

自分の「記憶」ほど信用ならないものはないし、同時に「視界」もたくさんの錯覚が紛れ込んで「自分」をだますので、信用ならないと思っています。

―― 映画の登場人物として、生田斗真さん扮する薪(「第九室長」)、岡田さん扮する青木(「第九 捜査官」)、松坂さん扮する鈴木(「第九 捜査官」)など、自身の脳が覗き見られるとしたら、誰であれば見られてもよいと思われますか?

え? 自分の脳が? こんなイケメンにのぞかれるなんて、どんな羞恥プレイですか。もちろん断固拒否です。頭撃ち抜きます。

■原作者視点での映画「秘密 THE TOP SECRET」の魅力とは

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満足度97.3%「秘密 THE TOP SECRET」(全12巻)


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―― 物語の面白さはもちろんのこと、登場人物の魅力、美しい絵に惹かれて、原作のファンになった方がたくさんいらっしゃると思います。カラーページの色彩はうっとりする程です。先生が、本作品を描かれるにあたり、気を配っていることがありましたらお教えください。

物語が「少女漫画」とはほど遠いシビアでダークなものなので、唯一のきれいどころ『薪』は美しく描くこと。ミステリーものなので、なるべくひとつの巻で、きちんと区切りをつけて少しでも読みやすくしたことですね。

―― 原作に登場する薪と鈴木の出会いを描いた「秘密 season0」は、ファンが待ち望んだ待望の連載だと思います。再び描こうと思われたきっかけは何だったのでしょうか。また、再び「秘密」の世界を、登場人物を描いてみて、初めての連載の頃と異なる感覚・感情はありますか。

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禁断の過去を掘り起こす! 創世記&原罪「秘密 season0」(1~3巻発売中、4巻8月5日発売)


きっかけは「映画化」です(笑)。はじめは無個性だった薪も青木も、ありがたいことに段々「生きて」頭の中で動くようになりました。自分の中で、この愛着あるキャラクターたちをもう少し描いていきたい気持ちもありましたし、「事件」次第では新しい展開の話を楽しく描けるとも思いました。

―― 原作のファンの皆様に、映画「秘密 THE TOP SECRET」の魅力を、清水先生のお言葉で伝えていただければと思います。

この映画をご覧になったあと、ちょっとご自分の目線を考えてみてください。自分がもし死んでしまったとしたら。そして今この時の映像を誰かに「捜査」で見られているとしたら。自分は恋人を友人を世界を一体どんな風に見ているだろうか。その「捜査をした人」は「自分」をどんな人だと感じるだろうか......。そんなことに思いをはせてしまう映画です。

映画「秘密 THE TOP SECRET」は8月6日から公開。

清水玲子
1962年生まれ、東京都出身。82年、「フォクシー・フォックス」で第9回LaLaまんがハイ・スクール(LMHS)佳作受賞、83年、「LaLa」(白泉社)掲載の「三叉路物語(ストーリー)」でデビュー。代表作に、ジャック&エレナシリーズ、「月の子 MOON CHILD」など。「輝夜姫」で第47回小学館漫画賞受賞、「秘密 THE TOP SECRET」で第15回文化庁メディア芸術祭優秀賞受賞。秀麗な画風と、独創的な作品世界で多くの読者の支持を得ている。

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