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 LUNA SEAやTourbillonのボーカリスト、河村隆一が自身のソロアルバム『Colors of time』を9月28日にリリースする。前作『Magic Hour』からおよそ1年ぶりとなる本作は、ロックやポップス、ジャズ、ニューウェーヴ、インダストリアルなど、さまざまな音楽スタイルを貪欲に取り入れつつも、全編にわたって「河村隆一ワールド」が炸裂(さくれつ)した壮大な作品に仕上がっている。ほぼ同時期にTourbillonでのアルバムもリリースする河村。その圧倒的な創作モチベーションは、一体どこから来るのだろうか。今作で「大人のロック」を目指したという彼に、46歳になった今だからこそ歌えるロックとは何かを聞いた

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河村隆一、アルバム『Colors of time』を9月28日にリリース


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■ 機械式時計が刻む"時"に想いを馳せながら書き上げた今作

ーー今作『Colors of time』を作るにあたり、何かテーマやコンセプトはありましたか?

河村:前作『Magic Hour』は、ちょっとジャジーな内容ということで、リヴァーブもゼロにして、録音されている楽器はハープに至るまで全て生楽器にしたんです。対して今回は、タイトル曲となった「Colors of time」で生の弦楽器を用いた以外は、あえてキーボードによってストリングスアレンジを構築しています。リズム隊がかなりロックな感じで暴れているのは、Tourbillonとの違いを明確にするという気持ちもありましたね。

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河村隆一、アルバム『Colors of time』を9月28日にリリース


ーーアルバムタイトルを『Colors of time』にした理由は?

河村:この曲は、実は2年前に作っていて。パテック・フィリップという時計メーカーが創業175周年のアニバーサリーを迎えた時に、「曲を歌わせて欲しい」と提案したんです。それで快諾をいただき、イベントで歌わせてもらったという経緯があるんですよね。「ミニッツ・リピーター」の音色から始まるんですけど、グロッケンのようなベルのような、心癒されるその音をサンプリングして、ループさせながら曲を作っていったんです。175年も作り続けることの偉大さであったり、馬車の時代からリニアモーターカーまでの、時のながれの移り変わりであったり......。さまざまな出来事に思いをはせながら書き上げました。

ーーなるほど。

河村:タイトルは最後につけたんですが、今回、アルバムを通して「雨」というフレーズがたくさんでてくるんです。「雨」というのは、「冷たい雨」とか「不幸な雨」とか、そういうネガティヴなイメージだけじゃなくて、「恵みの雨」や「閃きの雨」というイメージもあるじゃないですか。雨が降ることで、さまざまな感情が、さまざまな色を持つというか。そんなところから、『Colors of time』がアルバムタイトルに相応しいんじゃないかと思ったんです。

ーー河村さんは時計がお好きなんですね。

河村:機械式時計がすごく好きで、いろいろなメーカーの工場を見に行っています。今の時代、スマフォでも時間は見られるし、電波時計もクオーツもあるし、「正確さ」という意味ではそういう時計の方が正確なのかもしれないですけど、でも機械式時計に、特に男性が何十万、何百万というお金を出してしまうのは(笑)、歯車だけで作られたシンプルな宇宙に魅入られてしまうからだと思うんですよね。

ーーそこにはロマンを感じますね。

河村:そうなんです。ゼンマイを巻いて、そこに命を吹き込んで、ゼンマイがほどけるまで時を刻んでくれるっていうのは、なんだかわくわくしますよね。

ーー今作では「大人のロック」を目指したそうですが、年を重ねていった今の河村さんの年齢だからこそ歌えるロックというものがあると思いますか?

河村:やっぱりそれは、「余裕」ということだと思います。経験値を積んでいくと、どうしても芝居がかっていくというか、身につけた技術を使って、「もっとうまく歌ってやろう」「もっとすごいっていわせてやろう」と思いがちですよね。本来は歌詞に込めたメッセージを直球で投げるべきなのに、ついつい変化球を投げてしまう。そこをなるべくシンプルに聞かせるためには、できるだけ作り込まずに歌うことが大切なのかなと。そうすることで、歌にも余裕が生まれるというか。実際、以前よりもキーが高くなったんですよね。

ーーそれはすごいですね! 歌に「余裕」があるぶん、聞き手の方もそこに自分の想像力を投影させることができるのかもしれないですね。

河村:それはありますね。そういう曲の方が、大勢の人たちが共感してくれるというか、ポップスとしての強度があるといえる気がします。

■ ファンとの関係が、人生観を共有しての「戦友」みたいに変わっていくことに感動を覚えます。

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河村隆一、アルバム『Colors of time』を9月28日にリリース


ーー僕は河村さんとほぼ同年代なのですが、われわれが子どもの頃って、ロックは若者のための音楽というイメージがあったと思うんですけど、先日亡くなったデヴィッド・ボウイは69歳だったし、河村さんも含めカッコイイ大人のロックミュージシャンが増えましたよね。

河村:そうですね。ポール・マッカートニー、ミック・ジャガー、スティーヴン・タイラー。ほんと、大人のロックミュージシャンがたくさん活躍していますよね。エルヴィス・コステロとかロッド・スチュワートもそう。ロッドは最近、声も衰えてきたと言われているけど、その枯れ具合も含めてカッコイイと思います。ファンもそれに伴い、若者から団塊の世代まで、年齢層も幅広くなって。

ーー確かにそうですね。

河村:LUNA SEAももうすぐ30周年ですからね。当時20歳だった子たちは今50歳になっているし。10歳の子たちだって40歳ですから。先日、僕のファンクラブでツアーを企画したんですけど、その二泊三日の旅行にお子様を連れて来られた方が何組かいらっしゃって。それが、なんだかすごくうれしかったんです。かと思えば、「私、彼氏ができたからツアーに連れてきました」なんて紹介してくれる子もいたりして。ファンとの関係が今までは「恋人目線」だったのが、ともに時代を生きることで、人生観を共有しての「戦友」みたいに変わっていくことに感動を覚えます。それってきっと、愛情の形が育っていっているということだと思う。そういう関係を、ファンと時間をかけて築き上げて来られたことに、ありがたさをかみしめています。

ーー今回、ミュージックビデオを制作した『Longing for』の見どころは?

河村:「空間美」ですかね。借りたスタジオに柱があって、光の入り方などすごく奇麗に作り込んでもらいました。その光の中で、リップシンクとライブシーンを中心に構成されています。さっきの話に通じますが、あまり脚色しすぎず、歌詞の世界をストレートに伝えるということを意識しています。この曲はサウンド面でかなり実験的でもあるので。それ以上の演出はいらないかなと。

ーー9月からのツアーは、今回で11回目の「No Mic,No Speakers Concert」をおこなう東京オペラシティ コンサートホール、新作中心のライブと、「2001.1st stage 深愛」(日本武道館)のSET LISTの再現ライブの2種類をおこなうZepp Tokyoと、会場ごとに趣向を凝らしていますね。

河村:ツアーでは、全部の会場に足を運んでくださるファンの方も結構いらっしゃって。演目を毎回変えればそういう方たちにも満足してもらえるし、そうじゃないファンの方たちも、着るものを選ぶようにお好きなスタイルのライブを選んでもらえるんじゃないかと。同じ河村隆一がやっているわけだけど、それこそTourbillonも含め、さまざまなカタチの河村隆一を楽しんでほしいですね。

ーー来年はソロ20周年になりますが、それに向けて考えていることはありますか?

河村:今回のアルバムは、最後の楽曲から来年へとつながっていくイメージなんです。ある意味では、来年に向けての序章というか。もちろん、「序章」だからといって簡単に作ったわけではないんですけど(笑)、来年の本編へ向けてのエッセンスがギュッと凝縮されたものになっていますので、本作を聞きながら来年を楽しみに待っていて欲しいですね。

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河村隆一、アルバム『Colors of time』を9月28日にリリース


◆ 河村隆一
1970年5月20日生まれ、神奈川県出身。1992年にLUNA SEAのボーカリストとしてメジャーデビュー。1997年、バンド活動休止期間中にシングル「I love you」でソロ活動をスタートさせる。2ndシングル「Glass」は100万枚以上、1stフルアルバム「Love」は320万枚を超えるセールスを記録。そのほかドラマ出演や小説の出版、他アーティストへの楽曲提供やプロデュースなどでも活躍。2000年12月のLUNA SEA終幕を経て、2001年よりソロ活動を再開。2005年にはLUNA SEA時代の盟友INORAN(G)と、H.Hayama(葉山拓亮 / Key)とTourbillonを結成し、日本武道館でデビューライブを行った。近年は復活したLUNA SEAの活動に加え、役者として「CHICAGO」「嵐が丘」「銀河英雄伝説シリーズ」「走れメロス」などのミュージカルや舞台にも出演。今年9月に通算13枚目のアルバム『Colors of time』をリリース。ツアーも控えている。

(取材・文・写真/黒田隆憲)

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