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Perfumeやきゃりーぱみゅぱみゅなど進化系のJ-POPをプロデュースし、海外のアーティストからも白羽の矢が立つクリエイター、中田ヤスタカ。映画『何者』(10月15日公開)の主題歌では、新世代のカリスマ的存在である米津玄師と初めてコラボレート。嫌なほど自分自身の深層心理と向き合う就職活動を舞台に、いま勢いのある役者が勢ぞろいした同作で、主題歌はじめサウンドトラックを手掛けた(10月5日リリース)。中田ヤスタカの新章を思わせる楽曲は、ストーリーと共に物語る大事な要素となっている。中田ヤスタカの新しいサウンドはいかに生まれたのか?

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中田ヤスタカ「NANIMONO EP / 何者(オリジナル・サウンドトラック)」10月5日リリース


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■米津玄師のボーカルに一目(聴)ぼれ!?

「主題歌のコラボ相手には多くの候補がいたんですが、『いい声だな!』と声だけで米津くんに決めました。米津くんの存在は知っていましたが、お互いに活動している音楽のフィールドが違うので、先入観がない真っ新な状態で声を聴いたんです。
僕はメロディーを書くときに歌詞も自然と出てくるんですけど、今回は米津くんが歌詞を担当したので、言葉のことは考えないようにして楽曲を制作しました。米津くんから『仮のこんな歌詞ですけど、どうですか?』と送られてきた時点で、直すところもなく、そのままにしています。歌詞が個性的で、言葉のチョイスが面白いなと思いました。もともとこの映画の話があるなしに関係なく、いろんなゲストボーカルを招いて、自分の作品を作ろうと思っていたタイミングでもあったので、今後の自分の作品作りにとっても、すごく良い機会となりました」

■音作りの幅が広がったサントラ楽曲

「劇中に使われるサントラの楽曲は、制作前に川村さんから『今まで中田ヤスタカって名前聞いたときに、思い浮かぶ音楽と違う音楽をやる場としておもしろいんじゃないかな?』と言われたことを覚えています。僕は音楽プロデューサーとしての作品のサウンドのイメージも強いと思いますが、これまで手がけた映画やドラマの音楽ともさらに違うアプローチをしていると思います。そこに面白さを感じてくれればなと。主題歌と違ってサントラの楽曲は、"僕の作品"と言うよりは"映画の作品"という立ち位置で、三浦大輔監督と一緒に作ったという気持ちがありますね。クラブミュージックや、ポップスのフィールドの枠にとらわれない活動を普段から続けていた中で、映画のストーリーに合う音を追求したら、ピアノを基調にした曲がたくさんできて、新しいサウンドを作るきっかけになりました」

■サントラ制作上の正解、不正解とは?

「映画というと、『LIAR GAME』のときはドラマ用に作った楽曲の流れで映画のサントラも作ったんですが、今回はいきなり映画用に作ったので、作り方はだいぶ違いました。勉強になったことも多かったですね。監督とのやりとりは、メロディーうんぬんよりも音を出すタイミングについて話すのが一番多かったです。次の展開を知っている僕が場面に音を当てるのが、正解の場合とそうじゃない場合があったんですよ。演技の動きと音が必ずしもジャストで合っていない方が、良いこともあるんだなと。見ている人に勘違いさせたくて、あえて展開がわかりやすくなってしまう音の運び方を変えたりしました。場面によっては見たままの状態の音楽がかかってほしいとか、そういうやりとりが面白かったですね。作業を進めていく過程で監督のやりたいことがわかるようになっていきました。『LIAR GAME』のときと違って、既に僕のサウンドを知ってくれている役者さんが演技をしているという状況も楽しかったです」

■自分の体験に置き換えて『何者』を見ると...

「学生の就職活動の話だけど、仕事でも同じようなことが起こっていると思うので、一般的な就活の経験がない僕にとっても面白い作品でした。自分の体験を映画の中の就活に置き換えて見ていましたね。みんなのことをちょっと引いてみる拓人(佐藤健)の気持ちもわかります。僕も人を見るときにその人を表す短いプロフィールを考えちゃうんです。その点で僕は拓人と似ているのかもしれません。でも、一番わかるなと思ったのは、空想クリエイター系男子の隆良(岡田将生)ですね。"他の人と自分は違う。就職活動しない俺かっこいい"みたいな尖(とが)った子たちは今でも僕の周りにいっぱいいます(笑)。僕はいつも隆良みたいな子たちに囲まれているかもしれない。劇中の場面に出てきてないですけど、隆良は絶対DJやってそうだなとも思いました(笑)」

■海外からも認められる日本人になるには?

「住んだこともない土地、それも海外となると予想で何かをやろうとしたりするのは、ひとりでは無理な話ですよね。それよりは、自分が普通だと思っている感覚を意識することが大事だと思います。海外の人が、日本にやってきてカメラに収めるものって、日本人が撮ろうとしないものだったりしますよね。それくらい感覚的に違っていると思うので、海外向けに狙って何かをするというよりは、自分の身近な人に受け入れられることを自然にやっている方が、その人や街を象徴するものが出てきて、海外から見たときに個性的なものとして目に映るんだと思います」

■若い世代に伝えたいことは?

「『売れてから好きなことをすれば良いは嘘』です。そんなこと言う人のことは絶対信じちゃだめですよ(笑)。それはその人の仕事が楽になるだけだから。100%好きなことをやるというのは難しくても、上手く両立して表現できたもので売れないと一生好きなことはできないです。嫌々やってブレイクして、もしチャンスが来て、いざ本人のやりたいことをしたときに、それがファンにすら受け入れてもらえない状況が出来上がっている。それは本当に辛いことだと思うから、好きなことをやり続けられる規模で活動続ける方がまだマシかもしれない。結成30周年とかで、その売れ筋の封印を解いて、ライブで趣味全開のものをやるのをいいかもしれないですけどね(笑)」
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恋愛、友情、就活、裏切り。これが僕たちのリアル。
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◆中田ヤスタカ
音楽家・DJ・プロデューサー
'01年に自身のユニットCAPSULEにてデビュー。その独自の音楽性によってシーンを牽引し続けている。プロデューサーとしては、Perfume、きゃりーぱみゅぱみゅなど数々のアーティストを世に送り出した。
また、世界中のアーティストから支持を受けている数少ない日本人アーティストであり、Madeon、Porter Robinson、Sophie(PC Music)など第一線で活躍中の彼らも「強くインスパイアされたアーティスト」として中田ヤスタカの名を挙げるなど、海外シーンへの影響力も大きい。
国際的なセレモニーへの楽曲提供や、北陸新幹線金沢駅の発車予告音などパブリックな作品の他、ハリウッドを始めとする国内外数々の映画の楽曲制作にも携わっており、映画スター・トレック イントゥ・ダークネスでは監督であるJ・J・エイブラムスと共同プロデュースによる劇中曲も手がけているなど、その活動の幅は多岐に渡る。
近年では映画「何者」('16)のサウンドトラック、及びに主題歌「NANIMONO(feat.米津玄師)」を発表している。
座右の銘は「売れてから好きなことをすれば良いは嘘」

(取材・文/岩木理恵@HEW

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