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今年デビュー10周年を迎えるシンガーソングライター秦 基博の、通算21枚目となる両A面シングル『70億のピース/終わりのない空』が10月19日にリリースされる。表題曲は、アコギとウーリッツア、ハモンドオルガンの美しい響きが混じり合う、シンプルで美しいミディアムバラード。音楽が持つ力について、改めて正面から問い直した意欲作である。「終わりのない空」は、松山ケンイチ主演映画『聖の青春』主題歌。挫折や絶望の先にある光を描いたスケール感あふれるロックナンバーだ。「アコギと歌」を基軸に、人々の琴線に触れる「セツナソング」を作り続けてきた彼に話を聞いた。

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秦 基博、両A面シングル『70億のピース/終わりのない空』を10月19日にリリース


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■ 日常の中で、「今自分が歌うべきことは何か?」を考えたときに、こういうテーマになった

ーー「70億のピース」の歌詞、"愛の歌が届かない 暗い闇もあるの"という言葉が胸にズシンときました。ここにはどんな思いを込めましたか?

秦:音楽が聴き手に何かしらのきっかけを与えたり、その人の気持ちを少し動かしたりすることは必ずあることだと思いますが、ときには受けいれられなかったり、全く響かなかったり、届かないっていうことだってある。音楽に携わる者として、それは切実に感じた感覚ですね。

ーーこれまでに何か、実感した出来事があったのでしょうか。

秦:具体的な何かというよりは、日々の積み重ねの中でいろいろ思うことです。例えば震災のときもそうですし、悲痛な事件が起きたり、たびたびの選挙や、憲法改正にまつわる議論とか、日常を暮らすひとりの人間として結構、考えさせられることが最近は多かったり。そうした日常の中で、「今自分が歌うべきことは何か?」を考えたときに、こういうテーマになっていきました。

ーー"かたちの違う僕らは 近づくほど 傷つくけど"、"かたちの違う僕らは ひとつに今 なれなくても"という歌詞には、人と人とがつながるときのヒントが書かれているように思いました。

秦:そうですね。「ひとつになろうよ」と思っても、なれないときって絶対にあるし......。でも、例えばすごく近しい人、曲の中に出てくる「君」と僕は、形は違えども隣り合い、寄り添い合うことはできるんじゃないか? と。そんな思いを全て、この曲に入れようと思いました。

ーーサウンド面でのこだわりは?

秦:今回、楽器はすごくシンプルに、音数を少なくするということにもこだわりました。特にこの曲は、これまで以上に「歌と言葉」というものを、グッと前に出したかったので。アコギとウーリッツアとハモンドオルガン、この三つの音色が曲の世界を決めるだろうというイメージは、作り始めた段階で頭の中にありました。

ーーこの曲のミュージックビデオは、どのように撮影がおこなわれましたか?

秦:今回、いろいろな影が重なり合っているんですけど、それを全てアナログの手法で、紗幕(しゃまく)を張って人が歩いた影を映したりしているんです。番場(秀一)監督がこだわってくれました。CGや合成後から編集するのではなく、実際に僕が歌っているところで人が行き来したり、手をつないだりした影を撮影して。そういうアナログ感が完成した画面からも伝わってきて、とても温かい映像に仕上がり、曲の温度にも合っていると思います。

■ 命燃え尽きるまで......その瞬間へと向かっていく姿がとにかく圧倒的

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秦 基博、両A面シングル『70億のピース/終わりのない空』を10月19日にリリース


ーーカップリング曲「終わりのない空」は、どのように作っていきましたか?

秦:映画『聖の青春』でも描かれる、難病と戦い、29歳で死去した天才棋士村山聖(さとし)という人の生き方、そこに自分が何を感じ取り、何に一番心震えたかを思い巡らせながら作りました。サビで歌っていることそのままですが、本当に瞬間、瞬間に全てを注ぎ込んで生き抜いた人なんです、村山棋士は。命燃え尽きるまで、そこへと向かっていく様(さま)にとにかく圧倒されましたね。自分にはそうやすやすとまねできることではないと思う一方、それでも「瞬間を生きている」という意味では、僕自身もそうで。そのことを意識しながら形にしていきました。

ーーこの映画は、松山ケンイチさんの役作りが話題になりましたが、ご覧になった印象は?

秦:凄まじいものがありました。村山聖さんという人が、本当にそこにいるような感じがしました。場面によっては鬼気迫る表情だったし、でもちょっと将棋から離れたところでは、なんというか「愛らしい」人でもあったみたいで。そういう、いろいろな側面が映画の中で描かれていたのが、とてもすてきでした。

ーー映画には村山棋士の最大のライバルであり憧れの存在でもあった羽生善治さんも登場します。秦さんには、そういう存在はいますか?

秦:えー(笑)。そうだなあ......。憧れという意味では、やっぱり同じ事務所の山崎まさよしさんですかね。シンガーソングライターで、僕より10年以上も先にデビューして。パイオニア的な存在ですよね。そういう方と、ライブで共演させてもらったり、間近で演奏が見られたりするというのは、すごく恵まれているなあと思います。
山崎さんが『ONE KNIGHT STANDS』と銘打って、一人で武道館で演奏しているのをCDで聴いた時には本当に圧倒されました。自分も弾き語りをしている端くれとして、いつか武道館公演で弾き語りライブができたらって思いましたし、それが2011年の「GREEN MIND AT BUDOKAN」へと向かわせる原動力になりました。自分なりのルートで、自分のスタイルでしかそこにはたどり着けなかったわけですけど。

ーー弾き語りというシンプルな形態でオリジナリティを出していくのは、難しいぶんやり甲斐(がい)もあるのでしょうね。

秦:もちろん、バンド編成で求めるオリジナリティの表現方法もあるんですけど、弾き語りは自分にとってとても大事な軸だし、山崎さんは最高のお手本というか、すごい人が近くにいて有難いことだと思います。

■ 思い通りにいかなくて悔しい思いをすることも一度や二度じゃない

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秦 基博、両A面シングル『70億のピース/終わりのない空』を10月19日にリリース


ーー映画では、村山棋士にとって「師匠」も大きな存在でした。

秦:二人が出会い、どんなふうにして師弟関係が育まれたのかとか、非常に興味深いです。村山棋士には、周囲の全ての人との関係性の中に深い愛情があるんです。その距離感がとても巧みに描かれている。本当に魅力的な方だったんだろうなって思います。

ーーキャリアのターニングポイントで、「師匠」のような人には出会いましたか?

秦:アマチュア時代にお世話になっていた、ライブハウスのオーナーさん。その方との出会いは大きかったと思います。音楽そのものはもちろん、音楽に対する向き合い方とか、曲の作り方とか、本当にいろいろなことを教わりましたね。僕は19歳くらいだったんですけど、20歳くらい離れた大人の人と、真剣に話す機会って、その頃の年齢ではなかなかないと思いますし、貴重な体験でした。

ーー"生きるほど 僕ら 悲しみを重ねる""飛べない僕らは 這うように進むだけだ""絶望だって 抱きしめながら 明日へと向かおう"といったフレーズは、挫折や絶望を知っているからこそ書けるのではないかと思いました。

秦:音楽を長くやっていると、思い通りにいかなくて悔しい思いをすることも一度や二度じゃないですし、そこで「いい曲を書きたい」「いい演奏をしたい」と発奮することの繰り返しで、ここまで来られたんです。とにかく、曲を書き続けるということが大切なんじゃないかと思います。

ーー今回GYAOでは「秋のセツナソング」に秦さんの楽曲を選ばせてもらいました。「切ない曲」というのは、秦さんの作風の大きな要素なのかなと思います。

秦:そうおっしゃっていただけるとうれしいです。聴き手の胸にどう響かせられるのか、震わせられるかっていうのは、自分の楽曲の要素として大事にしています。テクニック的なものではないんですが。いろいろな人の琴線に触れるメロディを作りたいというのはいつも思っています。

ーーデビュー10周年記念ツアーが始まりますが、それに向けての意気込みをお聞かせください。

秦:今回、ツアーのタイトルを「All The Pieces」としたように、全ての「piece」がそろうような充実したライブにしたいと思っています。ミニマムな弾き語りしかり、今までやってきたアプローチもそうですが、今回バンドに加えてストリングスも入るので、さまざまな編成でダイナミクスをつけながら。それと、来てくれる方々も含めて、全部のpieceがそろうというか。一体になって楽しめるものにできたらいいなと思っています。

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秦 基博、両A面シングル『70億のピース/終わりのない空』を10月19日にリリース


◆ 秦 基博(はたもとひろ)
2006年11月にシングル「シンクロ」でメジャーデビュー。繊細で透明でありながら力強い歌声が"鋼と硝子でできた声"と評される。2011年には自身三度目となる日本武道館公演を全編弾き語りで大成功に終わらせるなどライブアーティストとしても揺るぎないポジションを確立。2014年リリースのシングル「ひまわりの約束」は100万ダウンロードを超す大ヒットとなった。最近では、全国15か所17公演をまわる全国ツアー「HATA MOTOHIRO CONCERT TOUR 2016 -青の光景-」も即完売を果たした。

(取材、文、写真/黒田隆憲)

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