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10股不倫をするような輩......。そんな度し難い役を船越英一郎が怪演している。『黒い十人の女』というドラマでのことである。
元々は1961年に映画が封切られている。その時の10股の"股黒い"主人公は船越英二。なんと今回主役の船越英一郎の父である。2002年に単発テレビドラマとしてリメイクされ、11年の舞台化を経て、今回の連続ドラマである。"他人の不幸は蜜の味!"というが、一人の男を巡って多くの女が右往左往・阿鼻叫喚となる様は、見る人の快哉を得てきたのだろう。

サムネイル

船越英一郎/Eiichiro Funakoshi, May 07, 2016 : 東京・丸の内TOEIにて開催された映画「ヒーローマニア-生活-」の初日舞台挨拶
写真:MANTAN/アフロ

黒い十人の女 第2話「クズ女ども、嵐の一夜」 2016年10月6日放送分>>



木曜深夜23時59分の日テレ枠は、読売テレビが制作するドラマ枠。
今年1月からは、『マネーの天使』『ドクターカー』『相続弁護士 柿崎真一』が放送され、10月クールから『黒い十人の女』が放送されている。
各ドラマの初回と2回のビデオリサーチ社の視聴率、およびデータニュース社の満足度を比べると以下の通り。
               視聴率        満足度
『マネーの天使』    初回3.8%・2話3.8% 初回2.79・2話3.47
『ドクターカー』    初回4.5%・2話3.2% 初回2.70・2話3.40
『相続弁護士 柿崎真一』 初回2.7%・2話3.4% 初回3.21・2話3.19
『黒い十人の女』    初回3.1%・2話3.9% 初回3.17・2話3.63

如何だろうか。『黒い十人の女』は初回だけで見ると、決して傑出していない。ところが2話目は視聴率も満足度も明らかに前3ドラマの上を行く。
勝因はズバリ「女たちの"本音""情念""嫉妬心"を笑いとともにあぶりだしている」点。稀代のダイアローグメーカーのバカリズムの脚本が受け入れられている。さらに普段のテレビドラマでは、「犯人を追い詰める"熱い男"」を演ずる船越英一郎が、今回は全く異なる「追い詰められる"だらしない男"」を怪演している点も評価されているようだ。

見逃してしまった方の為に、これまでを簡単に振り返っておこう。
初回は、冒頭から主人公・風松吉(船越)が倒れている(殺されている?)。
その3か月前。
松吉はドラマプロデューサーで、次回作の準備をしていた。テレビ局の受付嬢・神田久未(成海璃子)は、松吉と不倫関係にある。妻がいるとは知らずに男女の関係になってしまった。いけないことだとわかりつつ、離れられない久未である。
ある日、久未に松吉の妻と思われる女性から電話が入る。慰謝料でも請求されるのかと怯えながら、カフェで如野佳代(水野美紀)と会う。涙ながらに不倫を謝罪する久未に、佳代からは思わぬ言葉。「謝らなくていいから」・・・舞台女優の佳代と松吉との不倫関係を知る久未。あまりの衝撃に気が動転し、やがて口論になり、水をぶっかけられ、逆に飲んでいたカフェオレを佳代にかけてしまう。
そこに居合わせた、ドラマAPをしている弥上美羽(佐藤仁美)。やはり松吉と不倫関係にあることを知る久未。ところが言い合いから、今度は佳代と美羽がコップの飲み物を掛け合ってしまう。

他人の不幸は蜜の味。初回から、このドラマの"真骨頂"が全開となった。
しかも愛人は他にもいた。次のドラマのキャスティングの対象となった新進気鋭の女優・相葉志乃(トリンドル玲奈)。志乃もまた、久未たちと同じ悩みを抱えていた。

第2話では、受付嬢の神田久未が不倫から抜け出そうと新たな恋を見つけようとするが、またしても不倫だったことが判明。相手の妻に土下座という無様な醜態をさらす羽目に陥ってしまう。また若手女優の相葉志乃も、別の男との間で揺れ動く。その裏で、松吉を他の愛人たちと別れさせようと動き出すドラマAPの弥上美羽。恋敵のはずの女優・如野佳代と関係を深めて行く・・・
さらに松吉には、4人以外にも愛人がいることが徐々に発覚し、不倫女たちの愛憎劇が加速し始める・・・

読売テレビ制作の過去の作品は、序盤こそ満足度が高くないが、話の展開と共に徐々に数字は上がっている。ところが今回は、2話で既に過去を上回る早いテンポで評価がうなぎ上りだ。

初回では、今後への期待の声が少なくなかった。
「バカリズムの才能が出ていて面白い」59歳男
「次回以降が楽しみ」51歳女

ところが2話では、感想は明らかに変化している。
「自分とリンクして共感できた」48歳女
「久未ちゃんがせっかく一歩踏み出したのに、また変な男に捕まって本当にかわいそうだった」26歳女
「共感部分が多かった」33歳女
明らかに自分に引き付けて、のめり込んでいる人が増えている。

「深夜、寝る前に観るドラマとしては、面白い」58歳男
「ところどころにあるギャグっぽい演出がとても笑える」51歳男
「なんとなく見たらおもしろかった。前回を見逃したのがくやしい。残りの愛人が気になる」50歳
脚本や演出への評価もかなり高くなっている。

55年前に巨匠・市川崑が独自の世界観で描いた斬新な設定を、バカリズムが現代に置き換えた新たな物語。
どうして人は「不倫」に走るのか?
なんで「不倫」で大騒ぎするのか?
今年、誰もが抱いたそんな疑問に、バカリズムなりの分析を交え、「不倫」を笑いとともにズバッと斬り付ける物語。史上最大の「不倫」の実験ドラマ=他人の不幸は、やっぱり蜜の味である。

文責・次世代メディア研究所

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